長らく「藍ちゃんのお兄ちゃん」と言われていた宮里優作プロが、史上初の72ホールノーボキープレーで完全優勝し、ついに妹以上のプロと認められたようです。
わずか170センチで体重70キロ、男としては小柄なほうですが、飛距離300ヤードと飛ばし屋であり小技も秀逸です。
そこで小柄なプロ宮里優作のスイングについて紹介します。
170センチで体重70キロ男が300ヤードを飛ばす理由とは
宮里兄妹の中で、国内トーナメントを牽引している宮里優作ですが、当初は「藍ちゃんのお兄さん」として認識されていました。
しかし今や国内男子トーナメントで大活躍です。
2017年シーズンでは世界初の4日間全ホールがノーボギーでしかも一度も首位を明け渡さない完全優勝を果たすほど、まさに絶好調のプロゴルファーと言えます。
そんな宮里優作は170センチで体重70キロと男としては小柄な体格ですが、平均飛距離は約300ヤードと、飛ばし屋としても有名です。
そして芸術的とも言えるスイングフォームは、宮里家独特のゆったりした綺麗なスイングをしています。
アマチュアファンはもちろんのことプロ仲間からも、リズムのよいスイングに憧れを持つ人が多いようで、誰もが1度は挑戦しますが見た目以上に難しいゴルフ理論が合うようです。
そこで男として170センチの小柄な体型でも、300ヤードの飛距離を放てるそのスイング法を確認していきます。
170センチで体重70キロの小柄な男は頭を残すスイングで飛ばす
170センチ体重70キロの小柄な男が平均飛距離293.68ヤードを出せる、そのドライバーのスイングを確認してみます。
宮里優作は、あの宮里藍のすぐ上のお兄さんで、長兄宮里聖志もプロゴルファーですし、お父さんもティーチングプロです。
まさにゴルフ一家ですが、優作はジュニア時代から学生時代までタイトルを総なめする逸材でした。
宮里家では藍ちゃんが高校生でプロになったこともあり、当初はメディアの露出も少なかったわけですが、ゴルフスイングの美しさは同じプロ仲間からも評価を受けていました。
スイングの基本はゆっくりしたリズムです。
テークバックでは、両肩とグリップでできる三角形を崩さないように、ヘッドを引いてきます。
トップの位置でのグリップの形は若干オーバースイング気味ですが、ヒンジに硬さがないからこそシャフトが地面と平行になっています。
その柔らかい手首はダウンスイングで生かされ、インパクトゾーンでの切り返しは、至ってスムーズです。
そして頭を残す「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」で飛距離を引き出しているようです。
男子プロとは言え170センチ体重70キロで300ヤード飛ばす秘訣
ただ、ゆったりしたスイングと頭を残すスイングだけでは、男子プロとは言え170センチ体重70キロの選手が300ヤードをコンスタントに飛ばすのは難しいです。
その飛距離を維持して、しかも勝利に結びつける試合運びができるようになったのは、道具類をフリーにしたことが大きかったのではないでしょうか。
デビュー以来、ブリヂストンと専属契約を結んでさまざまなサポートを受けていましたが、勝ち始めた頃からコースに合わせたセッティングを求めるようになったようです。
結果的に同一メーカーのものを続けていくのではなく、試合に合わせて自由に選択できるフリーとなります。
フリーになっても当初はブリヂストンをメインに使用していましたが、徐々に変更していくことになります。
本人は、さまざまなクラブを試してみて、フィーリングが合うまでには数か月以上かかると言っています。
やっと、自分に合ったクラブが見つかり、そのフィーリングが良い方向に向いているのが、この試合結果に現れているのだと思います。
170センチで体重70キロの小柄な男が大きく見える
170センチで体重70キロの小柄な男が大きく見えるのは、スムーズでシンプルなスイングアークが大きく見えるからです。
インタビューを受けているときに宮里優作と、ティーグラウンドでスイングする宮里優作とでは、ずいぶん身体の大きさ違うように見えます。
まずはスムーズでシンプルなテークバックです。
宮里優作の特徴はグリップの握り方はフックグリップですが、これはアイアンで身につけたものと思われます。
左手甲の向きはフェース面の角度と同じにします。
3番アイアンなら左手甲はターゲットに向けて、アプローチウェッジなら空に向けています。
このアドレスでクラブを引くと、地面と左腕が平行になる辺りから、腕の外側の左手甲がフラットになるように、向きを大切にしてトップの位置まで持っていきます。
トップでは左手甲とフェースが同じ向きになるため、インパクトでのスクエアに不安はなく、スムーズにクラブを振り下ろすことができるわけです。
170センチで体重70キロにコンプレックスを抱いた男の決断
そして最大の武器が「寄せワン」です。
史上初の偉業を達成した「HONMA TOURWORLD CUP」の72ホール・ノーボギープレーは、この寄せワンが光っていました。
それまでの宮里優作は、自分の中でも「飛ぶ男」だったのでしょう。
わずか170センチで体重が70キロ、決して恵まれた体型とは言えないからこそ、飛距離では負けたくないと考えていたのかもしれません。
実際にパー5ではツーオン狙いで失敗するとボギーになることが多く、歯車があったときだけ成功するギャンブル的なゲームが多かったわけです。
ところがグリーン前で一度刻み、寄せてバーディーを獲るコースマネジメントに変えたことで、ミスのないゴルフをすることができ、史上初の偉業を手にすることができたのです。
知らず知らずに自分の中で、小柄な体型に対してコンプレックスがあったのかもしれませんね。
170センチ体重70キロの宮里優作の意外なパッティングスタイル
170センチで体重70キロの小柄な男が飛ばすことができるのは、ゆったりしたテークバックとビハインドザボールですが、スコアを作るのは寄せワンで拾える技術とメンタルです。
ただ通常の攻めでもバーディを獲っていけるのは、やはりロングパットの感覚の良さがあります。
宮里優作のパッティングスタイルは、男としては珍しく、非常に狭いスタンスで、しかも若干クローズ気味(内股)です。
ドライバーの大きなスイングとはまったく逆で、どちらかと言うと肩幅を狭めて細い棒のように構えています。
パッティングは身長や体重に左右されることはありませんが、考え方を変えるとボールに視線が近いほど有利ですから、もしかすると背の低い人のほうが有利かもしれません。
宮里優作のパッティングは「ジャスト」の距離感で打っていますが、自分のイメージではラインを消すぐらい強く打っているそうです。
テークバックは非常に小さく、狭いスタンスをはみ出すことなくヘッドを引き、パチンと打つようなストロークにしています。
それだけにショートパットの確実性は高く、ロングパットはイメージよりも転がりが悪いので、最後のひと転がりでコロンと入ることが度々あります。
そして、そのひと転がりが勝利に結びついているということになります。
170センチと155センチで体重も軽量級の男女のプロが教えたもの
宮里兄妹の中でもっとも実績を残したのは藍ちゃん、彼女も女子プロの中では小さい155センチで体重も軽量級、宮里優作も170センチで男としては小柄なほうです。
「大は小をかねる」と言いますが、ゴルファーだけは小さくても上手い人が勝てると言うことだと、宮里兄妹が教えてくれた気がします。