身長155センチで体重は60キロ未満なのに飛ぶ理由ってなに?

最終更新日:2017/09/01

女子プロ業界を牽引してきた宮里藍選手や横峯さくら選手は、身長が155センチで体重も60キロ未満と軽いのに日本のトップとなり、世界で活躍した選手です。

小柄であっても飛距離は250ヤードもあり、一般のゴルファーと比べると「飛ぶ」存在だと思います。

そこで身長や体重が飛距離の関連があるのか確認していきたいと思います。

横峯さくらは155センチで体重60キロにも満たない小柄な選手

ゴルフをする上で体形は影響するのでしょうか?

野球だと「重い球」という表現があって、身体の大きな投手が投げると重く、小さな投手の場合には軽いと言われています。

実際にはボールの重量は変わるはずもなく、また自分の体重をボールに乗せることなどできません。
つまり身体の大きさとボールの威力に関係性はなく、感覚的な表現ということになるのかもしれません。

ゴルフの場合もボールを打つのはクラブで、そのクラブのヘッドの動きによって飛距離や方向性は変わるもので、身長や体重に影響されることはないはずです。
でも現実には身体の大きな人の方が遠くに飛んでいるような気がするのではないでしょうか。

基本的に飛距離はヘッドスピードと関連があります。
ドライバーのヘッドがスピードが速ければ速いほど、ボールをインパクトしたときの衝撃は強くなります。
ですから小柄な女性であっても、スイングスピードを速くできれば、同じように遠くに飛ばすことができるはずです。

ちなみに横峯さくら選手は身長155センチ、体重60キロにも満たない小柄な選手で、しかも年齢は30歳を超えているので体力的なピークは越えていますが、それでも飛距離はキャリーで230ヤード超なので、ランを入れると250ヤードは越えているはずです。

飛ばす場合には体型よりもヘッドを走らせることが必要なようです。

宮里藍選手は155センチで体重が軽くても初速は60m/sもある!

身長と体重は飛距離とは関係ありませんが、スイングにとっては大きく関係してきます。
基本的にグリップからヘッドまでが長ければヘッドスピードは速くなります。
もちろん長ければシャフトのしなりなどもあり、フェースをコントロールすることが難しくなりますが、飛距離だけを考えれば長尺ドライバーは飛ぶことになります。

身長の高い人ほど長いクラブを楽に振ることができます。
それはグリップする位置が高いこと、トップの位置が高いことも理由の1つですが、何よりも自身の腕の長さが身長の低い人よりは長く、「クラブの長さ+腕の長さ」でヘッドは速くなる可能性が高くなります。

確かに身長の低いプロを見るとトップの位置はかなり高く、155センチの宮里藍選手は憧れるほどの高さからダウンスイングを開始しています。

ちなみに宮里藍選手と横峯さくら選手はともに155センチで、それよりも小さな馬場ゆかり選手は149センチでも245ヤードの飛距離と言われているので、自分の体形に合った飛ばし方を知っていれば、クラブの性能を上回る飛距離を持つことができるようです。

その飛ばし方で重要なのが打ち出しの初速、宮里藍選手であれば初速は60m/sを超えています。

体重60キロ未満や155センチの身長は飛距離に影響しない

身長が低く体重が軽くても飛距離に遜色がないというのは机上の空論ではなさそうです。
テレビで見ると大柄に見えるけど実は小柄な宮里優作選手は、身長170センチでおよそ300ヤードの飛距離ですし、同じくらいの身長の藤田寛之選手は168センチで280ヤード、女性でも横峯さくら選手や宮里藍選手が身長155センチでともに体重は60キロ未満で250ヤードオーバーですから、一般のプレイヤーと比べるとはるか遠くまでボールを運んでいます。
確かに身長が低くても飛距離は出ていますが、同じレベルのプロ選手で比べてみると、人気の石川遼選手が175センチですが最長で370ヤードを飛ばしたことがあります。
また松山英樹選手は180センチでメジャーの試合での平均飛距離が300ヤードを超えているのでロングヒッターと言えます。

ちなみにメジャー選手でヘッドスピードが速いのはアンドリー・ループ選手で56.3m/sだそうですが、飛距離は世界で5番目にとどまっています。
また日本でも有名なセルヒオ・ガルシアはヘッドスピードが54.91m/sで世界5位ですが、飛距離は28番目で300ヤードにも満たないことから、ヘッドスピード=飛距離とは限らないのかもしれません。

体重60キロ未満で身長155センチならクラブのスペックは変わる

では身長や体重はもちろんのこと、ヘッドスピードも飛距離に影響しないのでしょうか?
根拠は分かりませんが昔からの通説として、ベスト身長は170センチと言われていました。

これはゴルフは道具を使う競技なので、道具に適した身長が良いと思われていたようです。
ただしこの通説が生まれた頃は、今のように道具を向上させるギアアップのようなこともなく既製の品を使用していたからで、現在では進化した道具によってそれらをカバーできるだけの性能を備えているので、ベストな身長という考えはないと思います。

逆に必要とされるのは、自分に合ったクラブを使用することです。
身長155センチ体重60キロ未満の宮里藍選手と、193センチ80キロ超のダスティン・ジョンソンが同じスペックのクラブを使うわけはありません。

そのため一般のゴルファーも年齢や体重が似通っていても、技量やキャリアによってクラブを選択していくことが大切です。
クラブを選択する上で大事なことは、シーズンを通して同じようなスイングが可能であることです。

飛距離に体重は影響しない!155センチであれば腕は60センチ

身長と体重は飛距離に影響しないとお伝えしていますが、腕の長さは飛距離に影響を与えます。

クラブの長さが1インチ長くなると飛距離は5ヤード以上伸びると言われています。
ちなみに1インチはわずか2.5センチです。
指の幅1本分で5ヤード伸びるのですから、グリップエンド一杯に握ると今よりも飛距離は伸びるかもしれません。
何よりも腕が長ければ、クラブが1インチ以上長くなるのと同じ効果があることになります。

そして腕の長さは身長に比例すると言われていて、両手を広げた指先までの長さと、身長はほぼ同じと言われています。
つまり身長が高い人ほど腕が長いということです。

ちなみに宮里藍選手の身長は155センチで、両脇までの身体の幅はおよそ30センチ、そうすると指先までの腕の長さは約60センチということになります。
一方で松山選手は身長180センチで、両脇までの長さは40センチ、腕の長さはおよそ70センチとなります。

指先までの長さですが、単純に2人の差は10センチなので飛距離では20ヤードの違いが算出されることにあります。
実際の飛距離は松山選手の方がもっと遠くに飛ばしていますが、腕の長さが飛距離に関係すると考えれば、身長はその指針となるかもしれませんね。

155センチで体重も同じ2人の選手の飛距離の違いとは

身長155センチの宮里藍選手と同じ身長の横峯さくら選手、同じ年齢で体重も60キロ弱とほぼ同じです。
ただ2人の飛距離には20ヤード以上の差があるのは、そのスイングに違いがあるようです。

宮里藍選手はコントロール重視のスイングで、右肩を軸にして左肩を大きく外転しながらテークバックし、一般的な選手よりも高い位置にトップを置きますが、決して左サイドが伸びきるような姿勢はとりません。
あくまでもダウンスイングのためのテークバックであり、またダウンスイングもインパクトは通過点として、フォロースルーでヘッドスピードを最高速にしています。

一方で横峯さくら選手は自身のタイミングを重視していて、トップの位置ではあきらかなオーバースイングですが、ダウンスイングに入る前にヘッドの遅れを修正していて、その時の手首の動きを効果的に使ってヘッドスピードを加速させています。

2人の共通点はミート率が高いことです。
いわゆるミスショットが少なく、確実にボールを捉えることができるため、スイートスポットの反発力を最大限に生かすことができています。

つまり20ヤードの飛距離はスイングスピードではなくコックの使い方にあります。
宮里藍選手はコックを意識せずにスイング全体の安定度を重視していて、横峯さくら選手の方が良いタイミングでコックをほどいているので、「ヘッドが走る」ようになっているということです。

重い球は体重ではなくスピン量が関係している?

身長や体重によって飛距離が変わる時代は昔のことで、現在は自分の体形にあったクラブを選択するのはいわば常識となっています。

ただ気になるのは「重い球」の存在です。
横風に影響されることなくまっすぐ飛ぶボールを見たことがあれば、「もしかすると」と思っても不思議ではないと思います。

ちなみに野球によると重い球はスピン量に関係すると分析されているそうです。