ゴルフのための体作り!硬いのは生まれつきと勘違いするな!

最終更新日:2017/08/29

体が硬いと感じたとき「生まれつき?」と思いがちですが、実際に赤ちゃんのときにはやわらかい体をしていたはずです。

大人になるに連れていつの間にか使わない部分の可動域が狭くなり、筋や筋肉が硬くなってしまったようです。

これではスイングにとっても支障があるので、今回はゴルフに必要な部分のストレッチ法について確認します。

運動能力で生まれつき体が硬い人はいない!

体が硬いのは生まれつきという人がいますが、ご承知のように生まれたての赤ちゃんの体はやわらかいです。
つまり成長過程で、動かしていない関節は徐々に可動域が狭まり、いわゆる硬い体になっていきます。

野球ボールを投げるときを考えます。
子供の頃は目一杯の力をこめて遠くに投げることができたのに、大人になるとわずかな距離しか投げられなくなり、しかも肩に痛みが残ることがあります。
これは肩の関節が硬くなったと考えがちですが、ボールを投げられず痛みが出るのは、肩甲骨の可動域が狭くなったからです。

肩甲骨は背中をカバーするように張り付いている逆三角形の骨の板です。
下部が横にスライドすることで肩関節の可動域を広げていましたが、周りの筋肉が硬くなり肩甲骨が動かなくなったわけです。
肩だけでボールを投げようと無理な運動をした結果、ボールは遠くにボールを投げることができず、しかも痛みを感じる症状が現れたのです。

実はゴルフのスイングにも、このような体が硬いことで、テークバックやダウンスイング、フォロースルーやフィニッシュなど、一連の動きがロボットのようにぎこちなくなることがあります。
これこそ体の硬さに問題があると言わざるを得ません。

体の硬さは肩甲骨の動きで分かる

最初に肩甲骨について考えていきます。

肩甲骨は体のどこの骨とも接続されておらず、腱や筋肉を介して他の骨と連携しています。
ですから生まれつきの動きとしては自由度が高く、上下左右の他に立体的に浮き上がることもできます。

人間の祖先が手足を使って移動していた頃には、きっと大活躍した骨だったのでしょうが、今では肩や腕の動きをフォローするのが主な役目となっているようです。

ただ腕や肩を使うゴルフにおいては、今も重要な役割を担いでいます。
単純に考えればクラブを握る腕をサポートしているだけなのですが、実際にはスイングそのものを主導する役割を果たしています。

スイングの基本は体の捻転にあります。

テークバックからトップまで、軸を中心にできるだけ左肩を回します。
確かに軌道から見ると肩が回っていますが、体の内部から見ると左肩甲骨が外側にスライドしているのです。
大きくスライドしているほど、捻転率は高くなり理想のトップの位置が形成されます。

ところが体が硬いと肩甲骨が外側に動きません。
肩が回っていると思えた捻転は、上体が斜めに傾いているだけなのです。

つまり肩甲骨の動きを良くすることが良いスイングを作る上で欠かせないものと言えます。

生まれつき体の硬い人でも柔らかくなるストレッチ法

では実際に肩甲骨の可動域を確認しましょう。

最初に両腕を肩の高さまで上げて、右手から左手まで一直線の姿勢をとります。
そこから肘を曲げて、手を「バンザイ」の準備段階の形にします。
そして顔の前で肘を付け、手のひらを合わせます。
このとき肘が目線よりも下だったら肩甲骨の動きが鈍くなっています。

鈍いと感じたら壁を利用してストレッチをしましょう。

壁から10センチほど離れて背中を壁に向け、膝を曲げずに捻転で両手を壁に付けます。
右回りのときは左肩甲骨が外側になるように、右肩甲骨は背骨につくようなイメージで捻転します。
さらにこれと反対の左回りの運動もすることで、調体にもよい効果が表れると思います。
また体を捻るときには息を吐き出します。
最初に鼻からゆっくり息を吸い込み、口先をすぼめて徐々に息を吐き出しながら回転させていきます。
最後のひと呼吸で、きっちり両手で壁にタッチするだけでストレッチは完成です。

リフレッシュタイムも兼ねて、生まれつき体が硬いと感じるようであれば、1日に何度でも空いている時間に行ってください。
壁があれば、室内でも屋外でもどこでもできます。

生まれつき体が硬いために動きがギクシャクする時

「生まれつき体が硬い」という人の多くは前屈が苦手です。

床に足を揃えて手を伸ばし、足先に手の指が届けば「やわらかい」と言われているようですが、触るどころか前に屈むことさえできない人もいます。

それは明らかに体が硬いわけですが、ゴルフのスイングでは悪影響があるので、ストレッチで体をほぐす必要があります。

そもそもスイングをチェックするとき、グリップやヘッドの動きに意識が集まることから連動する手首や肘もしくは肩関節などに注目が集まります。
でもそれらはすべて上半身であって、上半身を支えているのは要(かなめ)となる腰なのです。

この腰の動きがスムーズであれば、ギクシャクすることもなく「流れるような」スイングができることになります。

しかし実際に「腰」といっても骨盤が動くわけではなく、骨盤とつながる背骨や股関節が動くことになります。
つまり硬い原因は、背骨周辺の筋肉と股関節の腱の動きです。
これらが硬くなったことで腰の動きが鈍くなっています。

最初に腰の硬さを確認します。
壁を背にして10センチほど開けて立ち、腰を壁に付けて軽い前傾姿勢をとり、テークバックと同じように左肩を回します。

このとき膝を動かさずに壁に右腰をつけられれば大丈夫です。
キツイようでしたら股関節の動きが鈍くなっているので、壁に腰を付けた左肩を回す運動を繰り返します。
また同じように右肩も回す運動もすることで、左右両方の腰周りの筋肉がほぐれることになります。

1日に何度でも空いている時間にこの運動を行うと徐々にほぐれてきます。

体が硬い?ダブル・トリプルのストレッチ法とは

ゴルフのスイングでもっとも大事なことは「インパクトの瞬間」です。
そのわずかな瞬間で大事なことはボールとフェースが確実に接触することです。
時速150キロのヘッドがボールに当たるとき、わずかにフェースが開いただけでスライスボールになったり、わずかにフェースが被っただけでフックボールになります。

この微妙な動きをコントロールするのが手首の役目です。
手首を必要以上に使うと悪影響があると言われますが、やわらかい手首の動きがないとスムーズなスイングはできません。

硬い手首をやわらかくするストレッチは、最初に指を伸ばすことから始めます。
左腕を前方に伸ばして、手首を折って指を上に立てます。
人差し指から小指までの4本を右手で押さえて引くと、手のひらと手首の筋が伸びます。
同じように手首を指先の下に向けて折り曲げ、指を手前に引くことで手首の筋をゆるめます。
また親指も同じようにストレッチします。

次に体の前で両手の指を交差して組み、そのまま手のひらを伸ばすように腕を前に突き出します。
そのまま腕を上げ肩甲骨とのダブルストレッチで、さらに柔らかい体作りをします。

背中側でも指を交差して組み、両腕をまっすぐにして突き出し、上体をかがめて腕を上げるようにします。
これで手首と肩と肩甲骨のトリプルストレッチが可能になります。

やわらかい手首が飛距離を生むと言われていますので、生まれつきだからと言わず日頃から充分にストレッチしておくことが大切です。

生まれつき硬い体でもやわらかい部分がある

スポーツをする上で重要な部分に、大地をキープする足の裏と足首があります。
特に足首はテークバックのとき左サイドの壁を保つために重要な役割をしています。
つまり他の関節と違って可動するのではなく、「頑張る」ことが求められる役割を担っています。

テークバックで左肩を回していくと、徐々に体重は右脚に乗っていきます。
これ自体は問題ありませんが、右足の甲よりも外側に体重が移動すると「壁のない」スイングになってしまします。
つまりグリップがトップのときに、上体が右に傾いた状態になっているわけです。

これを抑えてくれるのが右足首です。
もしも右足の甲より外側に上体が移動しているようなら右側を壁にして立ってみましょう。
右足の外側を壁につけると足首が固まります。
そのまま右股関節を後ろに引くと、下半身はスイングした状態になるはずです。
そして「右足首が動かない状態」を知ることができ、同時に右壁を知ることができます。
生まれつき硬い体でも、足首だけはやわらかいことが多いので、たまに壁で確かめてみると良いと思います。

体の硬いゴルファーはケガにご注意を

ゴルフのストレッチというと上半身が主たる部分になると思いますが、実際にはラウンド中、約10キロの歩行をして、しかも山や谷などの悪路にボールが飛ぶこともあります。

スイングにとって硬い体をほぐすのは上半身ですが、ケガなく楽しむには下半身のストレッチが重要だと思います。