アイアンショットでボールを捉えるときは左右どちらの目線?

最終更新日:2017/08/07

アイアンショットのとき、利き目でボールを見ていますか?
もしかすると両目で見ていると思っている人もいるかもしれません。

意外に気がつかない目線とスイングの関係、そして理想の「いつものスイング」について考えていきます。

7番アイアンは中央に置いたボールを目線で確認できる

基本的に「いつも同じスイング」が理想です。
番手の違いやコースコンディションの状況に合わせてスイングを変えることなく、いつも通り打てるようにすることが、多くのゴルファーの目標になっています。

ただし、実際のプレーでは状況によってスイングを変えることがあります。
これは自分のスイングのコンセプトをすべて変えると言う意味ではありません。

ゴルフは自然の中での屋外スポーツですから、置かれた状況に対応したスイングをするのは当たり前のこと、だけど基本となるものを変えずスイングするのが「いつもと同じスイング」となるわけです。

文字で表すと面倒に思えますが、実際には簡単な考え方なので自分スイングに当てはめて確認してみてください。

スイングの基本を作るときは、7番アイアンを使うのが一般的です。
適度なシャフトの長さ、ボールが上がりやすいロフト角、飛距離を求めない番手、といろいろな要素はありますが、7番アイアンを使う1番の要因はボールの位置にあります。

7番アイアンのボールの位置は身体の中央、つまり目線の真ん中にあります。
自然な姿勢でボールに向き合い、しかも視線のズレがスイングのズレに繋がることから、基本のスイングを造るときには、もっとも適したクラブと言われています。

ではボールの位置について、もう少し確認していきましょう。

アイアンでアドレスした時どちらの目線でボールを捉える?

7番アイアンは、正面にボールを置きます。
7番アイアンを構えた姿勢は、前傾をかけて両手をダラリと下げたところでグリップを握っているわけです。
その状態で目線を下ろすと、ボールの真上から前面が見えるはずです。
同時に両側の側面も見えて、後側と接地面以外の全体を見ることができます。

単純に考えると、真上は両目で、左側面は左目で、右側面は右目で見ていることになります。

ところが実際にスイングを始めると、どちらか一方の目線でボールを捉えているはずです。
そのとき利き目を使って見ているわけですが、この目の使い方自体はどちらでも構いません。
利き目が右目であれば、インパクトする箇所を確認することができます。
利き目が左目であれば、インパクト後のヘッドの抜けを見ることができます。

実は、ここに「いつも同じスイング」の意味が隠されています。

アイアンショットのとき右の目線はボールを見ていない?

アイアンはその性質上、芝面をはぎ取るようなショットをすることがあります。
この場合のアイアンのリーディングエッジ(刃)が芝面に入る位置は、ボールの最下部、つまり接地している部分です。

本来はアイアンの刃が入るところはボールに隠れていて、自分の目線から確認することはできません。
でも実際にはインパクトとほぼ同時にボールは飛び出して行きますから、タイムラグなくターフをはぎ取る部分を見ることはできるはずです。

では実際に刃が入るところを見たことがあるでしょうか?
たぶんはぎ取った芝を見ることはあっても、刃が芝面に刺さっていくところは見ていないのは右目で見ているからです。
もし左目で見ていれば、刃が抜けてくるところを見ることができるはずです。
ということは、右目はボールを見ていないのではないでしょうか。

そこでスイングの基本となる「アイアンは番手によってボールの位置が変わる」ことと、目線の関係を確認していきます。

番手の数が大きなアイアンはボール右に移動してショットする

一般的に7番アイアンで中央に置いたボールは、8番で半個、9番で1個分右側に移動します。
両目で見たときに左右の側面が見える7番アイアンに対して、アプローチウェッジにすると右側は見えないはずです。
もしも見えるようであれば上体が右に傾いているかもしれません。

右目の役割は、ボールの真上とインパクトする部分を見ることです。
でもボールが右側に移動したために、右側面は見えにくくなっています。
逆に左側面を見ることができるようになり、右目が左目の役目を果たすことになります。
ピッチングやアプローチなどは、7番アイアンからみると2個分右側に移動したボールを見ることになり、もはや右目でも左目でも、左目視線で見えたものと変わらなくなったと言うことです。

アイアンはどの番手も方向や距離は正確性を求められますが、番手の数が大きくなるほどピンに絡むショットが求められます。
微妙な感覚が要求されているのに、右目を使うとボールの存在は認識していても、実際にはボールを見ていないのと同じ状態になっているかもしれないわけです。

いつもと同じスイングを目指すのであれば、いつもと同じ目線でボールを見ることは重要です。

そこで、ボールの位置と目線を再確認したいと思います。

アイアンでボールをとらえる2つの方法と1つの目線

まず1つ目はボールの位置を変えて打つ場合です。
今まで通り、クラブの番手に合わせてボールの位置を変える、つまりグリップ位置を変えずにスイングする方法です。

グリップの位置を変えないことのメリットは、スイングがブレないことです。
左下がりなどスタンスの状況が違っても、スイングを変えずにボールを捉えることができます。

2つ目はボールの位置は常にセンターに置く場合です。
アドレスのときにボールの位置は変えず、グリップの位置でフェースを調整するスイング方法です。

ボールの位置が変わらないことがメリットで、これによって目線を一定に保つことができます。
フェースを開くことで対応できるので、スイング自体を変える必要はありません。

一方でダメなスイングは、ボールの状況によってスイングを変えること。
ボールを見るときの目線、特に左目で見たり右目で見たりと一定でないこともダメなスイング方法です。

アイアンの番手によって利き目を変えているようであれば、スイングに迷いが生じるので、なるべく早めに一定の目線でボールを捉えられるようにしましょう。

目線を保つ「ボールを見よ」はアイアンショットの極意?

アイアンを構えるときには、利き目を意識して、番手が変わろうとも常に同じ目線でボールを見ることが大切です。

ここでよく耳にする「頭を動かすな」「ボールを見よ」といったゴルフの格言です。
確かにボールをよく見ることは大切ですが、野球とは違い止まっているボールに動きはないので、ボールの場所を確認した後、見続ける必要性はあるのでしょうか。

もっと大切なことは「なぜボールを見るか」ということです。
ボールを見ることで今まで見えていたものが見えなくなったり、反対に見えるようになったりすると、それは上体が左右に傾いていると言うことです。
つまり頭が動いているわけです。

では頭が動くとスイングに悪影響はあるのでしょうか。
答えはNOです。

現在のスイング理論の中には、1本の軸だけでスイングするのではなく、テークバックからトップの位置で軸を右に移し、インパクトで中央に戻し、さらにフォロースローからフィニッシュで左に軸を移すといったスイングもあります。

つまり頭が動いても問題はありません。
問題なのは、スイング中に上体が揺れることです。
軸ごと移動しているのは問題ありませんが、上体だけが傾くスイングにメリットはありません。
それをスイング中にチェックできるのが目線です。
スイング中に左右の目線を変えたり、ボールの位置によって目線を変えたりしなければ、頭が動いても問題はないわけです。

ちなみに最初に「頭を動かすな」「ボールを見ろ」と言った人は、パッティングのアドバイスとして発したものでしたが、50年経つ間に本来の意味が変節してショットの格言となってしまったようです。

アイアンショットで大事なことは目線ではないかも

小さな子供が練習に飽きてくると、上や横を見ながらショットをしていることがあります。

大人が見ると曲芸のような気がしますが、子供は身体でスイングを覚えているので、目線を意識せずとも確実にボールを捉えています。

そんな彼らもジュニアから大人になると、スイングに悩み目線でボールを捉えるようになります。
そう考えるともしかしたら「ボールをよく見る」ことが迷いの根源かもしれませんね。