ゴルフ界一の卓越した理論を持つことで有名な藤田寛之選手。
それはスイングだけでなく、トレーニングや練習法にまで及びます。
体格に恵まれているとはいえない身体から繰り出す華麗なショットはかなり参考になります。
そんな藤田寛之選手のスイングを様々な角度から徹底分析し、自分のゴルフの何かのヒントにしてみましょう。
プロゴルファー藤田寛之選手とは
藤田寛之選手は、現在では遅く感じますが、高校1年生でゴルフを始めました。
高校3年では頭角を現し、日本ジュニア選手権で4位に入りました。
そして専修大学時代にプロへ転向し、その5年後に初優勝を飾りました。
20代では、テレビ中継に出ることもないくらい無名で、大変苦しい時代を送った選手です。
身長168cm、体重70kgとプロゴルファーとして身体能力に恵まれていませんが、ショートショットを得意としています。
またパッティングも得意とし、3種類の違うパターを使い分けます。
ツアーを見ると分かりますが、リカバリーアプローチも巧みです。
芹沢信雄選手の下で、宮本勝昌選手とチームになり、レッスン本を数多く出しています。
宮本選手は飛距離、藤田選手はアプローチを専門にしています。
日本ツアー通算18勝、予選落ちではありましたが、41歳で初めてマスターズ・トーナメントにも出場しました。
2012年には、史上初の日本シリーズ3連覇を含む年間4勝をし、悲願の賞金王になったのです。
藤田寛之選手のゴルフスイング分析【アドレス~バックスイング】
プロゴルファーとしては遅咲きなイメージですが、藤田寛之選手が、実績・実力共にある選手であることは間違いありません。
そんな彼のゴルフスイングを細かく分析していきます。
まずは、アドレスからバックスイングに注目してみましょう。
まずアドレスを見てみるとややフックグリップです。
ドライバーのボール位置は、左足親指の前に置いていますね。
そしてつま先をやや開くスタンスで、リラックスした土台を作っています。
バックスイングが開始されても手首とシャフトの角度が変わりません。
トップの位置からでも大きくコッキングしません。
アドレスで構えた手首の角度を変えずに、そのままトップまで持っていくバックスイングのスタイルです。
これが常に一定のバックスイングが行ないやすく安定した再現性のあるスイングを生み出しているのです。
スイングで一番大切なのは「再現性」です。
これを実現するこのテクニックはみなさんに是非参考にしてもらいたいポイントです。
決して難しくないので、一度鏡の前や練習場でトライしてみてください。
藤田寛之選手のゴルフスイング分析【バックスイング~トップ】
藤田寛之選手のゴルフスイングで次に注目して欲しいのが、バックスイングからトップです。
彼は、ややアップライトなトップの形を取ります。
アップライトにすると、インパクトゾーンがフラットよりも前後に長く取れるからです。
これが彼が方向性を出すのに優れている理由です。
前に言及したように彼は身長168cmと小柄なため、フラットなスイングに寄りがちなのですが、これをバックスイングでキチンと矯正しています。
バックスイングの始動始めのときは、ヘッドをやや低めに引きます。
このまま肩を中心に捻転させるとフラットなスイングになりますが、グリップの軌道が腰の位置からやや上方に引き上げています。
直線ではなく緩やかな曲線を描くことで、トップが高くなる形になるのです。
このトップの形で、左へ引っ掛けるミスが減ります。
しかしデメリットとしては、スライスが出やすくなることです。
ひどいフックに悩まされている方は参考にすると良いでしょう。
藤田寛之選手のゴルフスイング分析【トップ~切り返し】
藤田寛之選手のトップには大きな特徴があります。
それはトップで1度動きが止まることです。
この動きには、高いトップの位置で止まる肩甲骨周りの柔軟性としっかり上体を捻転させる強い筋力が必要となります。
一度トップで止めているということは、反動などを使って捻りを発生させているわけではないということです。
そしてトップから腰と上体を回転させて打つスイングをしています。
ボディーターンを積極的に使うスイングなのです。
インパクトゾーンで右腕で押し込む形でアームローテーションもかなり使っています。
これだけだとフックを多く出してしまうのですが、トップの位置をアップライトにすることで相殺しているのです。
トップからの切り返しで主に頭が後ろに流れ始めます。
アドレスの時よりも頭が後ろに移動することで、ヘッドの動きと軸が逆の動きをするのです。
藤田寛之選手のスイングは、腰は順回転、頭は後方へ引く動きをするのです。
これが、インパクトでヘッドを走らせるゴルフ技術の1つなのです。
藤田寛之選手のゴルフスイング分析【フォロー】
最後に藤田寛之選手のゴルフスイングのフォローに注目しみましょう。
インパクトからフォローの際に、後方に引いた頭はしっかりと残したままです。
これはインパクトの身体のブレを抑えるために、身体をしっかりと止めていることがこの動きに現れています。
グリップが肩口に差し掛かってきたくらいから、ようやく軸が前に移動してきます。
そこからフィニッシュへと一気に持っていくのですが、彼のフィニッシュはかなりハイフィニッシュです。
フォローの途中で左肘を少し抜くような動きをしていますが、それがこのハイフィニッシュへと繋がっているのです。
この動きが彼の持ち球でもあり、彼を日本のトッププロへと躍進させた「パワーフェード」に一役買っているのでしょう。
彼のスイングを見ると、身体全体でボールを打つ動きをしながらも、スイングは左方向へのミスを抑えようとしているのがよく分かります。
方向性が良く、強いパワーフェードの弾道は、アマチュアゴルファーの憧れです。
ボールのつかまりすぎに悩むゴルファーは、藤田寛之選手のスイングを参考にすると良いでしょう。
藤田寛之選手の代名詞パワーフェードってどんなボール?
日本人プロゴルファーでパワーフェードの代表格なのは、藤田寛之選手です。
ところで「パワーフェード」って一体どんなボールのことなのでしょうか。
フェードとドローは、どちらが飛ぶかと言うと、基本的にはドローボールの方が飛びます。
しかしパワーフェードは「飛ぶフェードボール」なのです。
フェードが持ち球の人にはなんとも魅力的なボールですよね。
パワーフェードは高さがあり、ボールの回転数も普通のフェードよりも少ないのが特徴です。
ドローボールは、ボールの回転と地面に落ちたときのランで飛びます。
それと対照的に、パワーフェードは少ないボールの回転数と高さで飛ばすのです。
普通のフェードボールは、クラブヘッドがアウトサイドから入り、インサイドに抜けます。
それがボールに横の回転を加えるのです。
対してパワーフェードは、クラブヘッドが飛球線の後方から真っ直ぐ入り、真っ直ぐ抜けます。
それがボールに横の回転をかけにくくなるのです。
世界で活躍する選手でパワーフェードの使い手は、世界一の飛ばし屋と呼ばれているバッバ・ワトソン選手でしょう。
アマチュアが参考にしやすいスイング
アマチュアが男子プロゴルファーのスイングを参考にすることはあまりオススメしません。
しかし今回お話ししてきた藤田寛之選手は別です。
彼は男子プロゴルファーとしては小さくて華奢です。
またそれを上手くカバーしたスイングをしています。
ですから、アマチュアの男性でも女性でも参考にすべきスイングと言っても良いでしょう。
今回は彼のスイングに注目しましたが、アプローチやパターも動画を見るなどして参考にしてみましょう!