ゴルフが上手になりやすいのは野球経験者ではなくテニス経験者だと昔聞いた覚えがあります。
実際、野球もテニスも道具を使う点、動いているボールを打つ点と一致するところが多いですよね。
でもいざゴルフをやるとどうなのでしょうか?
それぞれのスポーツの技術を活かせるものなのでしょうか?
そこで今回はゴルフと他スポーツとの違いについてお話ししていきます。
ゴルフと野球のボールの違い
ゴルフと野球はどちらもボールを打つのですが、動いているボールと止まっているボールを打つという大きな違いがあります。
ですから、野球のバッティングは反射的に体が動いて反応しますが、ゴルフはボールを打つために反射運動はしないので、リズムを取りづらいです。
止まっているボールを打つのは、野球のように反射的に反応できないので、じつはとても難しいのです。
野球のバッティングでは体がどれだけスウェーしたとしてもバットコントロールができればヒットにすることができます。
ゴルフはスウェーしすぎてしまうと思い通りのショットになりません。
しかし全くスウェーしないと、窮屈でスイングスピードが上がらず飛距離が出ません。
5~10cm程飛球線方向にスウェーさせて、その推進力を使い腰を回転させます。
腰の回転力が上がる上に、インパクトゾーンが長くなり正確性も増し、飛距離もでます。
ここで注意するのは体全体をスウェーさせるのではなく。腰の部分だけをスウェーさせるということです。
野球はいくら投手方向に体がスウェーしても90度の広角内にヒットやホームランが打てればOKですが、ゴルフではラフならまだいいですがOBになります。
ゴルフと野球のスイングの違い
野球とゴルフのスイングは似ているようで違うものです。
クラブを左手で引っ張る打ち方でインパクトのときにヘッドよりグリップの方が先にあることです。
野球のスイングでボールを捉える時に体は投手の方へ向き、右肘は脇腹について左手の甲が上を向いています。
ゴルフで同じようにインパクトの時に左手の甲が右手より上になると、クラブヘッドが飛球線より開くのでスライスになることが多いです。
ゴルフスイングもボールを捉えるときには右肘は脇腹に付きますが、左手の甲は目標にしっかりと向いていなければなりません。
またフィニッシュの形が野球スイングは後ろ足にも体重が残りますが、ゴルフのフィニッシュでは体重を目標方向の足に移動してパワーを増大させます。
ゴルフクラブは長いシャフトの先端に小さなヘッドがついていて、そのヘッドでピンポイントにボールを叩いて弾き飛ばすので、飛距離を伸ばすためにはスイング自体のパワーよりもヘッドを速く動かすことが重要です。
しかし野球はヒッティングゾーンが高さ・前後・内外などの幅があり、バットも丸く当てる位置も関係ないのでスイングフォームが無数にあります。
またゴルフクラブのようにシャフトがしなるわけではないので、純粋にボールを弾き返します。
ゴルフとテニスの違い
ゴルフとテニスの違いは、まずは野球同様止まっているボールを打つか、動いているボールを打つかです。
テニスは右にテークバックして左に打つだけなので、体重も右から左へ移動するというシンプルなものです。
しかしゴルフの場合は、テークバックの途中からクラブヘッドが逆に戻ってくるのでその時に体重も左に少し戻ります。
テニスとゴルフではこのように体重移動の仕方が違います。
またテニスは右手1本でスイングします。
ですからテニスのイメージでクラブを振るとフェースの向きに神経が集中してインパクトでフェースがかぶったり、開いたりのするのが感じやすくなります。
テニスは体の向きでポイントを前にして左方向へ打ったり、体を開いて右に打ったりとスイングに自由度があります。
ゴルフではそうはいきません。
もちろんゴルフも肩が早く開けばボールは右に行きます。
しかしそれはゴルフではあまり好まれません。
ゴルフはいかに真っすぐにボールを飛ばすが大事です。
右へ左へと飛ばしてしまうとラフやOBになってしまいます。
ゴルフと野球の違いを考えるより共通点を見つけて活かそう!
ゴルフと野球の違いにばかり注目してしまうと、野球経験者がゴルフを始めるのが難しいというイメージになってしまいます。
ただゴルフと野球のスイングにはもちろん共通点もあります。
野球経験者がその経験をゴルフに活かせるように共通点を考えていきましょう。
スイングとピッチングの共通点は腰を使うという部分です。
腰が回るとスイングも良くなります。
ピッチング能力が高い投手は、腰がしっかりと固まっているのが投げているときにも確認できます。
良い投手のピッチングの投げた後に注目してください。
投げた後に腰に捻りが加えられています。
ゴルフでもスイングをするときに腰の捻りを加えるとボールに力が加わりやすくなります。
また、バッティングでは腰を開いて打つように見えるのですが、体の正面で球を捉える感覚はゴルフに似ています。
バッティングの場合は飛んでくるボールを弾き返すため、もっと前方で球を捉える必要があるので腰が開いているように見えます。
しかし球を捉える位置から見た場合腰は開いていなく、体の正面でしっかり捉えているのです。
実はイチローは岡本綾子選手のスイングを参考にしていたと言います。
そしてジャンボ尾崎は野球選手でしたし、ジャンボ軍団は落合選手を参考にしました。
上手く共通点を理解し活かせればゴルフの上達は早いでしょう。
ゴルフ上達のためには”ホームラン”より”ピッチャー返し”
ゴルフを上手く野球に例えたものがあります。
ピッチャー返し=ライン出し、アイアンショット。
センターフライ=ドライバーショット。
サードゴロ・ショートゴロ=フェード・スライス。
セカンドライナー=インテンショナル・ドローです。
”ピッチャー返し”はセンターフライとは違って、ライナーでピッチャーをめがけて打ち返します。
もちろんアップライトにはスイングしません。
ですからアイアンショットはピッチャー返しを打つ感覚です。
アドレスでピッチャー方向に構え、ボールをセンターにセットして、クラブフェースをピッチャー方向に合わせます。
ピッチャーにライナーを打つのですから、大振りは必要ありません。
ストレートボールをライナーで狙って打てればOKなのです。
ホームランのように大振りするのは、ドライバーだけでいいかもしれません。
ピッチャー返しが上手く出来るようになったら、センター前ヒットのつもりで徐々に距離を伸ばしていくといいでしょう。
いろいろと理論的に考えるより、野球とゴルフの違いと共通点からイメージを作ることが大事です。
野球選手からプロゴルファーになった偉大な存在!
野球選手からプロゴルファーになった選手で代表的なのは先ほど名前を挙げた「尾崎将司選手」です。
「ジャンボ尾崎」と言った方が分かりやすいかもしません。
実は1965年にプロ野球の西鉄ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)へ入団しています。
投手として活動していましたが、同期入団した池永正明選手の投球を見た際「こんなピッチャーがいたんじゃ、俺なんかピッチャーで飯が食えるわけが無い!」と打者(外野手)に転向しました。
二軍で4番ではあったものの一軍では目立った活躍もなく1967年に退団を申し出ました。
期待した選手がわずか3年での退団に激怒した球団社長から越年で慰留されたけど「池永に勝ちたいという気持ちが野球を辞める理由だった。野球では負けたけど、違う世界であいつを追い抜く。そんな気持ちだった。」と尾崎選手は結局西鉄を退団しました。
プロゴルファーに転向してからは、世界ランキング最高18位、日本ゴルフツアー通算94勝、賞金王12回、メジャー大会20勝。
通算優勝回数は113回です。
この経歴を見ただけで、「違う世界であいつを追い抜く」を達成したことが分かります。
彼のスイングこそ野球とゴルフの違いではなく、共通点に注目して上手く活かした力強いものです!
スポーツ経験を無駄にしないで!
小学時代、中学時代、高校時代にスポーツの経験をした人はたくさんいるでしょう。
どんなスポーツでも必ずゴルフとの共通点はあるはずです。
ゴルフに関係ないスポーツだから!と諦めずに、せっかくした経験を今から頑張る、もしくは今頑張っているゴルフに活かしましょう。
必ず共通点はあるはずです。
違いばかりに注目してしまうと、ゴルフの悪い癖の部分に繋がってしまうので、共通点に注目して良いスイング作りをしましょう!
プロゴルファーの経歴を見ると、意外といろいろなスポーツを経験している選手が多いです。
そんな経験が身体能力を作り上げているだけでも十分ゴルフに活かせるでしょう。