ドライバーの長さを利用しないプロのスイングを真似できる?

最終更新日:2019/11/09

ドライバーの飛距離を伸ばすためには、スイングスピードを強化して、強いインパクトを与えるか、もしくはシャフトの長さでヘッドスピードを上げるかの選択が必要です。

そのうちほとんどのプロゴルファーはスイングスピードを強化するほうを選択しますが、アマの場合はどちらを選択したほうが得なのでしょうか。

その理由を考えてみます。

ドライバーの長さを利用するとプロ並みのショットは打てる?

プロのドライバーショットを生で見ると、「さすがプロ!」と目で追えないような打ち出しの速さと高さ、そして飛距離に圧倒されるものです。

プロだから飛んで当たり前と思うかもしれませんが、プロであっても最初から飛んだわけではありません。

練習を積み重ねて、徐々に飛ぶようになったはずです。

ここで大事なのは、スイングの速さを求めるのか、ジャストミートを求めるのかです。

もちろん両方を求めた結果が人並み外れた飛距離となったわけですが、ゴルフを始めたときにボールを芯でとらえる癖をつけておくと、そのあとの練習が血となり肉となっていきます。

ジャストミートを心がけるための第1歩は、スイング軌道を安定させることです。

スイング軌道を安定させるには、遠くに飛ばすことよりも、きちっとフェースの芯でボールをとらえる練習が必要です。

そのためにはドライバーのような長さのあるクラブではなく、短めのアイアンを使うのが一般的です。

短いクラブのほうがスイング軌道は安定するということは、その後のドライバーも短めのものを使ったほうがボールを芯でとらえやすいということにつながるでしょう。

アマが苦しむドライバーの長さもプロにとっては気にならない

ドライバーの飛距離は、シャフトの長さに影響されると言われています。

背骨を軸としてスイングをすると、軸から遠いものほど外周を回る速度は速くなります。

長いシャフトほどヘッドは遠くなるので、ヘッドスピードは速くなり、インパクトの衝撃は大きくなります。

その強いインパクトによって、ドライバーの飛距離は伸びることになるはずです。

しかしながら実際に長尺ドライバーを使ってみても、思うほどの飛距離アップになっていないことがあります。

そうなる理由は2つあって、1つ目はすでに想像がついていると思いますが、スイング軌道が安定しないため、インパクトでジャストミートができていないことです。

スイングスピードが速くなっても、ボールをフェースの芯でとらえることができなければ、「当たり損ね」になって反発力が落ちてしまいます。

ヘッドをコントロールするためには、自分の技量を超えるシャフトの長さはマイナスにしかなりません。

確かにアマの場合はジャストミートは難しいかもしれませんが、プロの技量があればそう難しいことはないはずです。

それでも多くのプロは長尺ドライバーを使っていません。

その答えは2つ目の理由が関係していると思われます。

プロが長さを利用したドライバーショットを選択しない理由

長尺ドライバーの飛距離が伸びない2つ目は、スイング自体が遅くなってしまうことです。

ゴルフクラブよりも短い野球のバットを振ったときのスイングスピードと、長い竹竿を振ったときのスピードを比べてみると分かるはずです。

長いシャフトのドライバーを振ってヘッドスピードが速くなるのは、同じスイングスピードと比べてのことです。

スイングスピード自体が遅くなると、長さのあるドライバーを使ってもヘッドスピードは上がることはなく、インパクトは弱くなってしまいます。

これはプロアマを問わず同じことです。

ただしプロゴルファーには相応の技術があるため、短いシャフトのしなりを利用して、ヘッドスピードを上げることができます。

勢い良くダウンスイングをするとシャフトはしなりますが、インパクトの直前でコックをリリースして、シャフトを逆側にしならせる術を持っています。

そのテクニックで、インパクトまでにグリップよりもヘッドのほうを先行させることができるのです。

これであれば飛距離を伸ばすことはできますが、シャフト戻りの大きさによっては方向性の安定がなくなります。

プロはドライバーの長さで飛距離を得るより大事なものがある

長さのあるドライバーを使うと、スイングスピードが落ちるので、タイミングを合わせたリリースが必要になります。

ただシャフトが長くなれば、プロの技量を持ってしてもタイミングを合わせるのは難しくなります。

そこでシャフトのしなりが少ないフレックスを選ぶことになります。

RであればS、SであればXと、硬いシャフトを選ぶことでしなりを抑制するのです。

これでシャフトの曲がりが少なくなるのでジャストミートできるはずなのですが、それでも多くのプロは長尺ドライバーを使いません。

それどころか、短尺ドライバーを使用しているプロもいます。

長尺ドライバーの剛性を整えても、スイングスピードが速いため、「気を使ったスイング」を強いられることになります。

ドライバーの性能を存分に引き出すために、自分の技量を合わせるのではなく、自分のスイングに合ったドライバーを選択するほうが信頼がおけると考えたからかもしれません。

プロにとってドライバーの長さは精神的によろしくない

ドライバーの長さはプロにとっても飛距離アップに通じますが、短いシャフトのドライバーのほうが信頼感は増すようです。

プロほどのスイングスピードがあれば、1インチ程度短くても、それ以上のスイングをすることは可能なのかもしれません。

もっとも多くのプロは、ドライバーを100パーセントの力でスイングしているわけではありません。

プロの場合いわゆる「満振り」をするのは、余程の条件が揃っているときくらいのもので、あとはフェアウェイのセンターを意識した中での最大飛距離を狙っています。

それでも曲がるときは曲がるのですから、不安のある長いドライバーは精神的に良くないのかもしれません。

一方でアマの場合を考えると、プロほどのスイングスピードに達する人は極わずかです。

それもあってか、スイングスピードをカバーしてくれる長尺ドライバーは、飛距離に欠かせないものになっているようです。

ドライバーの長さをプロが敬遠する理由はアマに当てはまらない

近年のプロの世界における短尺ドライバーの使用状況はアマにも影響を与えていて、長さを求めず短いシャフトでジャストミートができる短尺ドライバーを好む傾向が広がっています。

ただプロとアマの違いは、短いシャフトならしなりが少ないからと、満振りでもOKと思い込んでしまうことです。

スイング技術を比べると、プロのほうがはるかに勝っているのにもかかわらず、そのプロはセンターを狙うために100パーセントのスイングをしていません。

短尺ドライバーはヘッドコントロールがしやすいとは言え、常に満振りのスイングをするのは無謀です。

しかしながらプロほどのスイングスピードはありませんから、80パーセントの力でスイングをすれば飛距離が伸びないことも分かっているはずです。

そのためすべてのアマに当てはまるわけではありませんが、なるべくシャフトは長さのあるものを選び、シャフトのしなりを利用して、ヘッドスピードを上げたほうが飛距離を稼げるはずです。

ただしドライバーの性能に頼るのですから、長さだけに頼るのではなく曲がらないドライバーを選ぶ必要があります。

ヘッドの形状が薄く、後ろ側にせり出したシャローヘッドのドライバーを選び、シャフトを先調子にすれば、ゆったりとしたスイングでもヘッドが走って飛距離を伸ばすことができるはずです。

アマはプロと違ってドライバーの長さを利用したほうが有利

ここまで話してきたように、ドライバーの長さは飛距離に関係しますが、長いほど使いこなすのは難しいということです。

最高峰の技量を持つプロの多くも長尺ドライバーを使わずに、逆に短尺ドライバーの傾向が強くなってきています。

それを見習って短いドライバーで最大限の飛距離を追求するのは、決して間違いではありません。

ただしアマの場合は、ラフに入ってもプロのようなセッティングではないため、自分に合ったセッティングにさえすれば、長尺ドライバーのほうが飛距離は伸ばせるはずです。