最近はドライバーの球筋を安定させるために、バックスピンを活用すると良いと言われています。
以前は吹け上がりによる飛距離減の原因と言われていたバックスピンですが、適正な活用法で飛距離アップと球筋の安定が実現できます。
今回は縦回転を上手く使ったドライバーショットについて説明します。
ドライバーの曲がりをトップスピンとバックスピンで解消!
ドライバーは飛距離を求めるクラブですから、飛びを最優先しなければなりません。
飛んで曲がらないのが最良ですが、そう簡単に最良が訪れるようなら、ゴルフは簡単なスポーツになっているはずです。
思い通りにいかないのは、飛ばそうとすると曲がること、曲がらないようにすると飛ばないことなのです。
ドライバーで打ったボールが曲がる原因は、サイドスピンがかかっているからです。
インパクトでボールを横に擦ってしまうことが、スライスやフックの原因となるわけです。
したがって曲がらないようにするためには、サイドスピンがかからないようすれば良いと単純に考えられます。
ここで大事なことは、「サイドスピンをかけない=フラット(無回転)ボール」ではないということです。
ドライバーでボールを打ったときには、必ず何らかのスピンがかかるのですが、進行方向と同じスピンがかかれば、スライスやフックを防ぐことに繋がります。
具体的にはトップスピンかバックスピンということになるのです。
ボールの曲がる原因をバックスピンで抑制できるのか
前項で触れたように、ドライバーで打ったボールがスライスやフックをする原因は、インパクトでサイドスピンがかかっているからです。
そのサイドスピンを止める簡単な方法は、ボールに別なスピンをかけることです。
そこで考えられるのがまずトップスピンです。
いわゆるドライブボールですが、ドライバーのフェース面とスイング軌道を考えると、前方回転をかけることは至難の技のような気がするはずです。
また仮にトップスピンをかけることができたとしても、ボールに浮力がないためとてつもない高い打ち出し角が必要と考えられます。
ドライバーのロフト角が11度だとして、トップスピンがかかるときの打ち出し角は、適正と言われる14度よりもはるか上に向けて打ち上げる必要があります。
一方バックスピンであれば、ロフト角によるフェースの斜度で普通にインパクトをすればかかります。
そのバックスピン量が多ければ多いほど、サイドスピンは消えるためスライスやフックはなくなる可能性が高くなります。
ただし浮力が強くなり、吹け上がったボールとなるため、残念ながら飛距離ダウンになるでしょう。
ドライバーの飛距離を失う原因は増えすぎたバックスピン量
ドライバーを普通にスイングすると、バックスピンがかかります。
アマチュアの平均的なバックスピン量は4000回転というデータがありますが、これだけ回転数が多いとボールが吹け上がって飛距離ダウンになると言われています。
つまりアマチュアの飛距離が伸びない原因は、このスピン量にあるわけです。
同じようなヘッドスピードの女子プロゴルファーは、バックスピン量が2500回転以下に抑えられているそうです。
この回転数の差は飛距離に表れていて、アマチュアゴルファーの平均飛距離が220ヤード、女子プロゴルファーの平均飛距離が250ヤードですから、いかにバックスピン量をコントロールすることが大事であるかが分かります。
では、バックスピン量はどこまで減らせば良いのでしょうか。
減らし過ぎたボールは球筋が安定せず、また浮力も失われることから、マイナスに作用することが多いはずです。
もっともゴルフの場合は、ボールにディンプルがあるので無回転ボールはありえません。
以前は、女子プロゴルファーと同じ2500回転を理想としていましたが、最近では1700回転前後が「良く飛ぶ」と言われています。
ドライバー飛距離減の原因であるバックスピン量をロフト角で調整
ドライバーでバックスピン量をコントロールするためには、正しいスイング軌道を取ることが大切だと言われています。
ティーアップしたボールを下から打ち上げるのが、ドライバー独特の打ち方であるアッパーブローです。
スイングを時計の針に見立てて、6時がスイングの最下点だとすると、7時でインパクトをするのがアッパーブローのスイングです。
上昇するベクトル方向とロフト角の差が縮まって、バックスピン量が減ることになります。
つまりロフト角の少ないドライバーでアッパーブローのスイングをするほど、バックスピン量は減るため飛距離はアップします。
ロフト角12度のドライバーよりも9度のほうが飛ばせるのは、このアッパーブローのスイングでボールをとらえる技術を持っていることが大前提なのです。
ただし前述したように、バックスピンがかからないとサイドスピンが入りやすくなります。
そのためロフト角の小さなヘッドのドライバーほど曲がる原因となるわけです。
進化したドライバーはバックスピン量を気にせず振っていける
飛距離を出すためにドライバーをアップブローでインパクトしバックスピン量を軽減するというのはもはや時代遅れかもしれません。
確かにパーシモンの時代はバックスピン量が多く、バックスピンの回転数を落としても3500回転はあったと言われています。
ところが現在では2500回転以下が目標となり、理想は1700回転となっています。
使っているボールは大きく違いますし、ヘッドスピードやスプリング効果も違っていますから、一概に適正な回転数は判断できませんが、増えやすいバックスピンが原因で飛距離が大きくダウンすることはないようです。
現在男子プロゴルファーの多くは、ダウンブロー気味のレベルブローでインパクトをしています。
本来ダウンブローはバックスピンを増やす打ち方です。
それでも低くて浅い重心のヘッドのフェース上部寄りで打つことで、縦のギア効果を引き出しバックスピンを減らせるようになりました。
ハイロフトを選んでも、吹け上がることなく適正な高さで飛び、飛距離アップにつなげているようです。
そのスイングで300ヤードをマークしていますし、中には400ヤード近くの飛距離を叩き出しているのですから、アッパーブローでバックスピン量をコントロールし飛距離をつかさどる時代は終わりに近づいているのかもしれません。
サイドスピンもバックスピンも抑制するのではなく活用する
ドライバーの飛距離を伸ばすために、サイドスピンやバックスピンを取り入れていきませんか。
トップスピンに少しのサイドスピンを盛り込めばドローボールになり、バックスピンは少しのサイドスピンを入れたらパワーフェードになります。
縦のスピンと横のスピンを同時に使うことできれば、飛距離アップに繋げられると考えられます。
昔はパーシモンのドライバーで、200ヤードを少し越えると飛距離に満足をしていたのですが、現在はアマチュアゴルファーでも250ヤード以上、さらには300ヤードを狙う時代になってきています。
曲がりを恐れずに飛距離を求めるためには、曲がらないように打つのではなく、適度に曲がりを盛り込んでコントロールするほうが良さそうです。
また飛ばし屋はドローボールと言われたた時代から、フェードボールに変わってきたのは、着弾後のランが「読めない」ことを避けているからです。
道具の進化とスイング理論の変化によって、今後も飛距離の要素は変わってくるのかもしれません。
バックスピンの回転数が原因で飛ばない時代は終わりを告げて、バックスピンを活かしたドライバーショットが飛距離を生む時代になってきていると考えられます。
ドライバーの飛距離はバックスピンを使って延ばす時代
ドライバーはインパクトの反発力と打ち出すときの角度、そしてバックスピン量が飛距離に関係してきます。
昔からバックスピンを抑制することが飛距離に直結すると言われていましたが、道具はめまぐるしく進化し、スピンを利用して飛距離を伸ばすのが現在の主流の考え方となってきたと言えるでしょう。