ゴルフクラブを構えて迷いや不安があるときは、スタンスの広いアドレスにすると、下半身が安定してそれらの問題を払拭することができるそうです。
また飛距離アップと方向性が共に良くなるとも言われていますが、本当のところはどうなのでしょう?
スタンス幅でスイングの安定が図れるかを考えてみます。
ゴルフのスタンスの「広い」の基準はどこにある?
ゴルフスイングにとって「スタンスを決める」 ことはとても重要なことです。
グリーン周りのアプローチショットでは、正確な距離感と方向性が重視されるので、スタンスを狭くさせて確実なミートをします。
同じグリーン周りでもガードバンカーの中からのショットでは、体の動きを最小限にして下半身を安定させる広いスタンスをとります。
これから行うスイングによって、スタンスの幅を変えるとしても、基本のスタンス幅は必要です。
一般的には「丁度良い」スタンスは肩幅と言われていますが、実は身体を尺度にしたこの表現法は、とり方によって同じ肩幅の人でもスタンスが変わってしまうものなのです。
実際肩幅とはどこのことを言いますか?
肩の外側を基点にしたとして、足の外側を合わせたときと、内側を合わせたときでは、1足分の違いが出てしまいます。
両足だと15センチ程度の差が出てくるのですが、50センチ程度の肩幅での15センチはかなりの違いと言って良いのではないでしょうか。
つまり身体を尺度にしたものは感覚的な部分が大きく、基準が曖昧な場合が多いということになります。
ゴルフのアドレスで広いスタンスを取るときのコツ
ゴルフのスタンスの基本は「肩幅」ですが、その肩は基準が不明確なので、身体の箇所を指定して表現した方が良いと思います。
肩の外側のラインを垂直に下ろして、足裏の中心線と一致したところを肩幅のスタンスとした場合、狭いスタンスは足裏の外側で一致したところ、広いスタンスは足裏の内側で一致したところとなります。
つまり普段のスタンスよりも、7~8センチ程度広いか、狭いかの違いということになるでしょう。
一方で肩の外側のラインと足裏の内側が、基本のスタンスという考え方もあります。
この場合は1足分ずつ幅を変えることになるので、肩幅のスタンスが50センチで広いスタンスは65センチ、狭いスタンスは35センチということになります。
数字で表すと分かり難いようですが、足幅で計測するとしたら、両足を揃えて足2足分左右に開くとざっと広いスタンス、1足分ずつ開くと狭いスタンスとなります。
あとは自分の足のサイズと感覚の微調整で、程良いスタンスを見つけましょう。
自分に合ったゴルフの広いスタンスは安定感がある
自分にとっての基本のスタンス幅が決まったら、今度は使用するゴルフクラブにスタンスを合わせなければなりません。
一般的にはドライバーなどの長めのクラブは、身体を安定させるために広いスタンスをとります。
一方でショートアイアンなどクラブが小さくなるほど、狭いスタンスにして柔らかいショットを打ちやすくします。
ただしバンカーショットやロブショットのように、ある意味特殊な打ち方が求められる場合は、クラブか小さくても広いスタンスをとることがあります。
またグリーンエッジから転がして寄せるショットでは、足を揃えるくらい狭いスタンスをとることもあります。
ボールの置かれた状況や芝の状況、またターゲットまでの距離などを考慮して、ショットに合わせたスタンスをとらなくてはなりません。
その上で自分にとって最も安心感あるスタンスの幅を基準にすれば、状況に合わせて変更するときに迷うことはなくなるはずです。
強いゴルフに不可欠の広いスタンスは正しいの?
では実際に基準よりも広いスタンスの幅で考えてみましょう。
ドライバーなどの長めのクラブを振るときには、方向性と同時に飛距離を求めています。
ハーフスイングなどの中途半端なスイングであれば、ミドルアイアンで十分に用を足すことができるわけですから、長いクラブを使うときにはフルショットに近いスイングをするはずです。
そうしたフルスイングで大事なことは、定めたターゲットまでの飛距離と方向性です。
そのためには、フルスイングをしても身体の中心軸が歪まない、安定感のある下半身が必要になります。
通常のスタンスでも問題はありませんが、より強いゴルフスイングをしようと思うのであれば、広いスタンスにしたほうが安定感は増すはずです。
一方で広いスタンスにすると、腰の回転が制限されて捻転が不足する懸念が出てきます。
捻転不足はスイングスピードの低下に繋がり、さらにアウトサイドインのスイングでスライス気味の球筋になる可能性が高くなるのです。
飛距離と方向性を安定するために広いスタンスにしたにも関わらず、それが原因で「飛ばない・曲がる」ことになってしまいます。
広いスタンスでも飛ぶゴルフスイングができる理由
広いスタンスをとると下半身は安定しますが、捻転が不足して飛距離や方向性が低下してしまいます。
しかしスイングをわずかに変えるだけで、この捻転不足を補い方向性も是正することができるのです。
広いスタンスの特徴は安定感です。
これは下半身を安定させる役割だけではなく、骨盤が地面と平行な状態を保ち続けることができることから、回転軸である背骨の台座の傾き防止にもなっています。
また左右の動きに対しても、広いスタンスのおかげでスエーをしない姿勢を保つことができます。
その利点を活かして、あえて体重移動をするのです。
テークバックで右足の上に体重を乗せて、インパクトで中央に戻し、フィニッシュで左足に体重を移動させます。
こうした「身体を使ったゴルフスイング」をするためには、右壁から逃げない広いスタンスの方が有利です。
この横に移動するスイングによって捻転不足を補強することができ、インパクトゾーンが広がることからスクエアなフェースでインパクトが可能になります。
ゴルフクラブを構えるときの広いスタンスの尺度は自分にある
野球選手はピッチャーが投げたときに左足を上げて、インパクトの直前に左足を踏み込んで打ち込みます。
このとき多くの選手は、最初のスタンスより踏み込むときの足幅の方が広きなっています。
つまり強く打ち込むときには広いスタンスの方が飛ぶということになります。
一方でゴルフのスタンスは、両足で立って、自分の基準となる肩幅で下半身を安定させて、その形を変えないようにしてインパクトを迎えようとします。
そうであれば、強いインパクトを望むときは、最初から広いスタンスをとった方が理に適うはずです。
広いスタンスのときは腰を落とせば、右足に体重を移動させても、上半身が右に流れることがありません。
逆に左側(中心)で残ろうとしますが、回転軸をまっすぐにするイメージを持っていれば、スイングフォームに歪みはなくなるはずです。
ただ広いスタンスが、すべて良いというわけではありません。
お腹が出ていて身体のねじりがイマイチな人や、そもそもスイングスピードが遅い人にとっては、ゴルフスイングのデメリットになることもあると考えられるからです。
自分にあったスタンスを見つけることが、もっとも大切なことと言えるでしょう。
ゴルフにおいては広いスタンスが良いとは限らない?
勢いのあるゴルフスイングするためには、いつもよりも広いスタンスをとったほうが良いとされています。
ゴルフに限らず野球などのほかのスポーツでも、遠くに飛ばすためにはスタンスを広くとります。
ただしスタンスの幅には個人差があるので、自分に合った形や安心できるものにすることが、結果的には良いスタンスになるでしょう。