ゴルフスイングの捻転しすぎは百害あって一利なし!

最終更新日:2018/08/16

ゴルフスイングにおける捻転の重要性を説いている教本をみかけますが、身体を捻るためには思いのほか不自然な姿勢をとっているはずです。

その無理な姿勢を求めてスイングすると、捻転のしすぎで弊害が現われミスショットの原因となることがあるようです。

そこで捻転のスイングが本当に正しいのかを確認していきます。

多くのゴルフスイングは捻転しすぎかもしれない?

ゴルフスイングにとって大事ことはインパクトの瞬間ですが、多くの指導教本は捻転の重要性を説いていて、インパクトの準備段階こそが大事と考えているようです。

ゴルフにおける捻転とは、身体を捻って向きを変えることを言います。

個人差はありますが、トップの位置で左肩が90度、左腰は45度回転していると、「十分な捻転」と言われています。

この捻転によってパワーを蓄積し、ダウンスイングからインパクトにかけて解放すると、飛距離がアップすると考えられているのです。

また円の動きを考え背骨を軸にスイングをすると、ヘッドの軌道が安定するとも考えられていて、正確なミートに通じると言うことだそうです。

確かに捻転による効果はありますが、身体を捻っただけで本当に250ヤードを飛ばせるほどのパワーを与えることができるのでしょうか?

多くのゴルファーは飛距離の結果に不満を持っていて、理想とする90度の肩の回転を超えて捻転しようとします。

しかし、この捻転のしすぎがスイングを壊す原因となっています。

ゴルフスイングで捻転しすぎとしなさすぎはどちらが悪?

飛距離を伸ばすためには、十分な捻転が必要と言うのは「ゴルフ神話」のようなものかもしれません。

とても身体の柔らかい、例えば新体操の選手がゴルフクラブをスイングしたとして、左肩の角度が理想の倍にあたる180度回ったとしても、それで爆発的な飛距離につながることにはなりません。

一方でプロ野球選手は、ほぼ捻転をしないハーフスイングでも、信じられないくらいの飛距離を出します。

本来は左肩が90度で左腰が45度であれば飛距離がアップすると言う考え方ですが、捻転した肩と腰の角度の差が大きいほど飛距離がアップするとも言われています。

腰はできるだけ飛球線に平行になるようにして、肩だけを回転すると腰と肩の角度の差は大きくなります。

確かに身体を捻る観点では正しいように思えますが、これでは手打ちになって方向が安定しない可能性が高くなります。

つまり捻転のしすぎは良くありませんが、捻転しなさすぎもスイングとしては良くないということになります。

捻転しすぎてもゴルフスイングは速くならない?

ゴルフの指導教本の話が当てにならないということではありません。

捻転することで本当に飛距離がアップするのかが疑問なわけです。

捻転しすぎるほど肩や腰を回転させても、飛距離がアップしたと言う話は聞きません。

一方で「捻転しないから飛距離が伸びない」とも聞きます。

これはスイングスピードとヘッドスピードが一体であると言う考え方から成り立っている論理で、実際のゴルフスイングとは少し違うようです。

怪力のゴルファーがトップから鋭角的に振り下ろせば、円のスイングよりもグリップの移動スピードは速くなるはずです。

スイングが外周円の軌道だから、捻転のスイングの方が速いと言う考え方もあるかもしれませんが、ドライバーの長さはわずか110センチです。

しかもグリップを握った位置からだと90センチ程度しかありません。

鋭角的なダウンブローのスイングが、円をイメージした捻転のスイングよりも遅いとは考え難いのです。

捻転しすぎがゴルフの構えを崩す原因になっている!

そもそも鋭角的なダウンブローは、インパクトだけ正確であれば方向性に問題はなく、あとはインパクトの強さが飛距離とイコールになるはずです。

一方で捻転を重視したスイングは、左肩の回転が浅いと手打ちになりスライス、左肩が回転しすぎると上半身が右に寄ってスエーします。

こうしたスイングフォームの乱れは、インパクトの乱れに繋がり、ダフリやトップなどのミスショットを誘発する可能性が高まります。

そんなリスクのある捻転のスイングを多くの指導者が推奨する理由は、プロのスイングに近づけたいからです。

一般的にはプロゴルファーの方がこれから始める初心者ゴルファーより上手です。

そのため初心者が目標とするゴルフスイングとして、捻転をしたスイングを推奨しているのだと思います。

しかし、実際にはプロのように柔軟な身体作りができていない、体力的にも劣っていることが多く、同じスイングを真似すること自体無理があるのではないでしょうか。

今日初めてスキー板を履いた人に、ジャンプの空中姿勢を教えているようなもので、意味はないとは言いませんが「今は必要ない」のかもしれません。

左肩が回転したゴルフスイングは捻転しすぎではないらしい

捻転が必要なスイングとは、クラブヘッド(グリップも)がインサイド・インの軌道を通るスイングです。

テークバックで身体の右後方であるインサイドに引いて、そこからインパクトまで斜め下に向けて円を描いてスイングし、インパクト後のフォロースルーも左後方であるインサイドに引いてフィニッシュを迎えます。

こうして文字でみると簡単なようですが、実際にこのゴルフスイングができるゴルファーはわずかです。

多くのゴルファーは、インサイド・アウトやアウトサイド・インの直線的な軌道なので、円を描くスイングはしていません。

もちろん多くのゴルファーは、最初に覚えた「捻転のスイング」をしているつもりです。

しかしそれは身体がスエーしているだけで、捻転をしていない可能性が高いようです。

そのため、自分の捻転の限界角度を確認してみて、もしもそれ以上に捻転していると感じるのであれば、捻転しすぎでスエーしていると思った方が良いかもしれません。

ゴルフスイングにこだわって捻転しすぎるより大事なこと

ゴルフスイングでスエーを防ぐためには、自分のイメージする捻転のしすぎを確認することです。

捻転の確認はクラブを握りシャフトを立てて、腕を真っ直ぐ前に伸ばします。

そのまま肘を曲げずに右回転させた時、多くの人は右45度を指しているはずです。

これが正しい捻転の角度で、これ以上回転すると捻転のしすぎになってしまいます。

今度は先に右腰を後ろに引いて、腰の回転角度を45度にしてから同じ捻転をしてみてください。

腰の45度に肩の45度が加わり、左肩の位置は90度になっているはずです。

つまり左肩だけでみると45度しか回転しないと言うことです。

多くのゴルファーは左肩を90度回転させようとするため、無理な姿勢をとらざるを得なくなっています。

身体の限界を超えた捻転をしようとするため、そのしわ寄せがスエーとして現われるしかなかったわけです。

しかもスイング軌道はインサイド・インではなく、直線的なスイングですから、上半身が左右に揺れる分だけマイナスになっているはずです。

そういったことからスイングを難しく考えずに、シンプルに「インパクトの瞬間」だけを考えたほうが良いショットが生まれるように思えます。

ゴルフスイングのイメージが捻転のしすぎになっている?

ゴルフスイングで捻転すれば「良いスイング」と思いがちですが、イメージしているスイングは捻転しすぎになっていて、それを実行しようとするからミスショットの原因となるわけです。

難しいスイング理論よりも、大事なインパクトの瞬間に集中した方が結果は良くなるのではないでしょうか。