ゴルフ場でなかなかめぐり合う機会のないバンカーの形のひとつ、ポットバンカーですが、そこからバンカーショットを放った経験はありますか?
日本国内では、タコ壺バンカーといったり、設計士の名前を付けたりと人気のバンカーでしたが、いつしかゴルフ場から消えていきます。
今回はポットバンカーが作られた経緯と消えた経緯、さらに打ち方などについて紹介します。
日本のゴルフ界ではポットバンカーとアリソンバンカーは同じ
日本ではタコ壺バンカーとも呼ばれるポットバンカーですが、日本国内ではアリソンバンカーとも言います。
スコトッランドのゴルフコースには、自然のポットバンカーがあって、バンカーに入ると1打は確実に多く叩くことになる難易度の高いものです。
しかし日本では自然のポットバンカーを見ることはなく、留学先から帰国したゴルファーたちは、本場のバンカーとしてその凄さを風潮したのかもしれません。
そこで1930年代に来日した設計士のチャールズ・ヒュー・アリソンによって、日本でも名だたるコースにポットバンカーが作られることになります。
現在では敷居の高い名門倶楽部の東京ゴルフ倶楽部の朝霞コースを皮切りに、廣野・川奈・藤沢にもポットバンカーを設置しました。
有名なゴルフコースの設計士の名前をとって、当初はこの4つのコースのポットバンカーを『アリソンバンカー』と呼ぶことにしたのです。
その後にできたゴルフ場でも、アリソンは設計していませんが、同様のバンカーをアリソンバンカーと呼ぶことになったわけです。
日本のゴルフ場にポットバンカーは向かない理由
日本国内だけは、ポットバンカーのことをアリソンバンカーと言っても通じますが、海外ではなんの事だかさっぱり分からないはずです。
もっともアリソンは英国の出身なので、もしかすると「アリソンが設計したバンカーなのかも」と想像する人はいるかもしれません。
しかし英国人が実際のポットバンカーを見たら、きっと驚くことでしょう。
多くのコースでゴルフをされていると気がつくでしょうが、今ではこのポットバンカーにめぐり合う機会はかなり少ないはずです。
これは日本の気候と土質によるものが影響していて、せっかく作ったポットバンカーをなくしてしまいました。
この大きな理由は2つです。
1つ目は、高温多湿で雨量の多い日本では、ポットバンカーを作ると雨の日はハザードになってしまうことです。
日本は降雨日が多いため、常に水抜きを迫られることになります。
仮に排水設備を設けいても、何年に1度は掘り返して粒子の細かな砂を掻き出す必要があるでしょう。
つまりコース管理上、日本には向いていない形態のバンカーなのです。
ポットバンカーが日本のゴルフ場から消えた理由
日本国内では設計士をリスペクトして、アリソンバンカーと命名するほど名門の印しとなったポットバンカーですが、いつの間には日本のゴルフ場から消えてしまいました。
理由の1つは、先ほど説明した本場に比べて降雨日の多さがあり、2つ目はゴルフ人口の増加です。
深いポットバンカーからボールを脱出するには、運が良くて1回ですが、ミスが続けば延々とバンカーショットを繰り返すことになります。
運良く1回で出すことができても、それはバンカー周辺のラフの中なので、アプローチではさらにミスショットの可能性もあるのです。
そのため、早朝から星空が出るまでフル稼働でギュウギュウ詰めのコース内で、ラウンドの流れが止まるホールがあっては、廃止することを検討しても致し方のないことです。
今では閑散としたゴルフコースですが、ピーク時は進行に影響を与えるレイアウトは改善せざるを得なかったわけです。
そんなバブル時代も過ぎ去り、伝統的なコースレイアウトが見直される中、またポットバンカーを設置しているところが現れてきたようです。
ゴルフ場の難敵ポットバンカーに入ったら1発で脱出する
国内のゴルフ場で、実際にポットバンカーにボールが入ったことのある、経験者は少ないはずです。
深いポットバンカーといえども、スイングするスペースはあります。
しかしボールの位置によってはテークバックを取ることすらできずに、打ち出す方向を変えなくてはいけません。
この判断を間違えると、大叩きの原因となるからです。
通常のバンカーはピンを狙ってスタンスをとりますが、バンカーに入ったらサンドウェッジを振りながら、もっとも支障なくスイングができる位置でアドレスを取るようにします。
ピンを狙うとかグリーンオンを狙える場合もありますが基本は脱出第一です。
グリーンエッジとボールの位置を目算して、通常のバンカーショットで脱出できるかを判断します。
高さに余裕がないようであれば、オープンスタンスでフェースを開く、エクスプロージョンショットで脱出します。
ちなみにポットバンカーは、グリーンから少し離れていることが多いので、無理にグリーンを狙うよりも1発でバンカー外に出すことに集中することが大切です。
確実にポットバンカーから脱出できるゴルフスイング
ポットバンカーは雨が入ると硬くなりやすく、砂と一緒に打ち出すエクスプロージョンショットが難しい時があります。
逆に手入れの行き届いたゴルフコースの場合には、人の手で掘り返してフワフワの状態にしていることもあります。
プレーヤーとしては前者のほうがありがたく、後者は確実にボールが目玉になっているはずです。
ポットバンカーは、前方の高さを気にしたなりのバンカーショットになるので、上半身が起きやすく、いわゆるヘッドアップのスイングを注意しなければなりません。
インパクトの直前で上半身が起きてしまうと、ヘッドの入りが浅くなって、トップ気味のインパクトが想定されます。
しっかり腰を落としてクラブを短くに握り、ややハンドダウンで構えて、ソールから砂面を捉えるようにスイングをします。
この時大事なことは、ヘッドを強く砂面に叩きつける必要はないということです。
手首を柔らかく保ちヘッドを走らせるようにスイングして、フォロースルーでシャフトを立てれば、確実にポットバンカーから脱出できるはずです。
日本のゴルフ場におけるポットバンカーは希少価値!
日本のゴルフ場でポットバンカーが見直されているのは、雨が降っている時でも水がたまらない排水設備を作れるようになったことと、ゴルフ場の入場者が減少したことに原因があるのかもしれません。
歴史のあるゴルフコースは砲台グリーンが多いのも、降雨の影響を受けないよう、また根腐れを起さないように気象を考えた結果だったのでしょう。
本場スコットランドの歴史的なコースは、グリーン面のほうが低い位置にあります。
より多くの水を吸収できるようにと、短く刈り込むグリーンは低くなっていたわけです。
そんな気象ですから、ポットバンカーは「罠」として効果的な役目を果たしてました。
しかし日本でポットバンカーを作ったら、維持管理に膨大な作業量が必要になったのです。
しかし時代とともに技術は進歩して高温多湿で降雨量の多い日本でも、手間のかからないポットバンカーが作れるようになりました。
本場スコットランドのリンクスのテイストを感じることができるポットバンカーがあれば、避けずに真正面から攻めて行きましょう。
ゴルフ場にポットバンカーがあればチャレンジしたい!
本場のゴルフコースでは、自然を利用したポットバンカーは珍しくはありません。
しかし日本でポットバンカーにめぐり合えたら、それは奇跡といっても過言ではないわけです。
もちろんわざとバンカーに落としてまでとも言いませんが、是非ともチャレンジしていただきたいバンカーです。