スライスとプッシュアウトは表裏一体の関係にある?

最終更新日:2018/07/04

スライスの原因を確かめてスイングを修正すると、今度はプッシュアウトが出始めることがあります。

一見するとまったく逆のスイング方法なのに、実はこの2つの球筋は同じスイングとも言えます。

そこで今回は、表裏一体の球筋の原因と対策についてお話します。

スライスとプッシュアウトの違いはスイングによるもの?

ゴルフプレーで困るのは、風もないのに右に曲がっていくスライスと、いつ出るか分からないプッシュアウトです。

この2つのショットは、同じ右方向にボールが飛びますが、スライスは曲線を描いて右方向に飛んでいきますし、プッシュアウトは打ち出しから右に向けて真っ直ぐ飛んでいきます。

このスライスは、打つ時にフェースがボールを擦ることで横回転が生じたことが原因です。

一方でプッシュアウトは、フェースの向きが右方向のまま、しかも右方向にスイングしているからストレートにボールが飛び出します。

スイングをみると、スライスの多くはアウトサイドインで振っています。

テークバックでグリップを、後方に真っ直ぐに引こうとしたことがアウトサイドの大きな原因です。

グリップは飛球線に沿って動かすと、先端にあるクラブヘッドは、外側(アウトサイド)に向って引くことになります。

正しいスイングは、身体の右側(インサイド)に弧を描くように引くこと。

グリップの動きを修正しないとスライスを防ぐことはできません。

スライスを抑えたらプッシュアウトが出るのはなぜ?

アウトサイドインのスイングがスライスの原因と分かれば、クラブをインサイドに引くことで修正できます。

ところが、このインサイドに引くことで、プッシュアウトが生まれるわけです。

このプッシュアウトの原因は、インサイドアウトのスイングが一般的です。

テークバックでグリップを真っ直ぐ引くアウトサイドのスイングがスライスの元となるので、身体の右側に引くインサイドのテークバックに変更したわけです。

これによって確かに初期の目的だったスライスは修正できますが、クラブを放り投げるようなインサイドアウトのスイングは別のミスショットに繋がるリスクがあります。

正しいスイングはインサイドインです。

テークバックは身体の右側に引くインサイドで、インパクトは身体の正面で捉えて、フィニッシュは身体の左側で迎えます。

プロゴルファーのスイングを見ると、素敵なフィニッシュポーズをとっていますが、グリップは左肩よりも左側にあるのが分かるはずです。

一方でインサイドのテークバックを始めたばかりだと、テークバックとダウンスイングはできますが、インパクト以降の姿勢を保つことが難しくなります。

そこでスイングを簡単にするために、フォロースルーをアウトに向けて振り切り、グリップを直線で動かすインサイドアウトのスイングをするわけです。

この時フェースが開いたままだとプッシュアウトが出てしまいます。

インサイドアウトでスライスを防げてもプッシュアウトになる

インサイドアウトがプッシュアウトになるのは、フェースを閉じれないからです。

インサイドアウトのスイングは、スライスを防止するために選択したものでしょう。

インからアウトに向ってヘッドを動かせば、ボールへは左回転がかかりやすくなるからです。

つまりドローボールが出やすくなるはずです。

ただこの時フェースは、ターゲットとボールを結ぶ飛球線に面していなければなりません。

ところがヘッドの軌道に合わせて、フェースをスクエアに保つと右方向に面してしまい、プッシュアウトになるわけです。

本来は右方向へボールが行かないようにと、スイングを改造したはずです。

せっかくスライスを抑えたのに、スライスするボール以上に右方向に飛ぶようであれば、スイング改造の意味がなくなってしまいます。

解決方法はインサイドインのスイングにすることですが、実はこのスイングを習得するには相当の練習量が必要になります。

スライスとプッシュアウトは同じスイングだった?

もともとアウトサイドインのスイングをしていた時は、ヘッドを下から上に引き上げる振り子のような動きをイメージしたいたはずです。

しかし実際に下から上に動かしていたのは、ヘッドではなくグリップでした。

そこで同じ振り子の動きをインサイドアウトに変えたわけです。

これは大きなスイング改造のような気はしますが、実際にはヘッドの動く方向が違うだけで、スイングにはそれほど大きな違いはありません。

ところがインサイドインのスイングに改造するには、縦に動く振り子を横に動く振り子に変えなければなりません。

今までは腕の振りでスイングができていたのに、背骨を軸に身体を捻転させる、まったく違うスイングをすることになります。

横振りになるわけですから、タイミングが合わないとスライスやプッシュアウトが出てしまいます。

さらにフックまでも気をつけなければなりません。

身体を捻転させると、テークバックで左肩が沈むことで、ダウンスイングでは右肩が下がり、インパクトでフェースが開いてスライスの原因となります。

また右肩が下がり、上半身が右側に傾いた状態でインパクトに入ると、フェースが寝てしまいプッシュアウトの原因となります。

このインパクトのタイミングを合わせるためには、スイングの最下点をぶれないようにすることが大切です。

右手の使い方を知ればスライスやプッシュアウトは防げる

スライスやプッシュアウトを防ぐはずのインサイドインのスイングが、かえってリスクを増やすことにもなるということです。

ただこのスイングを習得すれば、格段に上達することは間違いありません。

少し時間はかかりますが、いずれは身につけなければならないスイングなので、じっくり練習して習得するようにしましょう。

この練習で気をつけたいのは、右手の使い方です。

スイングについて、左手と右手のどちらで主導するかが話題になりますが、結論は両手でするものです。

ただ左手と右手にはそれぞれの役割があり、グリップが身体の右サイドにある時は左手、左サイドにある時は右手を意識すると上手くいきます。

インパクト以降の右手は、なるべくターゲットに向けて伸ばすこと。

右肩から伸びる右腕は肘も手首も右手甲も一直線になるようにします。

この右手の使い方ができただけでスライスはなくなり、プッシュアウトが起こることもなくなります。

ただし決してシャフトを立てないことです。

フォロースルーで右肘を曲げるとシャフトは立ち、スライスがでるので注意が必要です。

3か月でスライスとプッシュアウトをなくす練習法

スライスが起きるのは、ゴルフクラブを振る回数が少ないからです。

3か月程度、毎日欠かさず200回素振りをするだけで、十分にヘッドを返すスイングが身につけられます。

そうすれば、インサイドアウトのスイングも必要なくなるので、必然的にプッシュアウトもなくなるはずです。

ボールを打たずに素振りをするだけであれば、練習場に行かなくても自宅でできるはずです。

時間が取れないようであれば、ジョギングのつもりで早朝の素振りで、とにかくクラブを握り振ることです。

スイングする時は、大きな円盤の中心軸が背骨にあり、斜め下に向けて円盤の外周をヘッドが回るように、円を想定してください。

テークバックの振り幅とフォロースルーの振り幅が均等になるよう、最初はコンパクトなスイングから始めて、徐々に大きなスイングにしましょう。

長いゴルフ人生の中で、わずか3か月の練習をすれば、スライスやプッシュアウトに悩むことなく、しかも格段に上達することができるはずです。

スライスとプッシュアウトの対策は「急がば回れ」

スライスとプッシュアウトは表裏の関係です。

スライスを抑えるためにアウトサイドインからインサイドアウトに変えたのに、今度はインサイドアウトがプッシュアウトの原因となるわけです。

つまり1つの欠点を直すための対処法が、新たな欠点を生むことになります。

そう考えると、基本のスイングを覚えることが、「急がば回れに」なるのではないでしょうか。