ゴルフ用語で「スイングプレーン」を聞いたことはあるでしょう。
正しいスイングをする時、「スイングプレーンを意識して」と使われますが、実際に本当のスイングプレーンを理解している人は少ないようです。
そこで3つのスイングプレーンの解釈について紹介します。
スイングプレーンを意識すると方向性が安定しない?
スイングプレーンを意識すると、大きなスイングができるようになります。
そのスイングプレーンとは、スイングによってできる仮想の円盤のことです。
ヘッドをボールの後ろにセットして、そこからトップまでのテークバックの軌跡が半円になり、トップからフィニッシュまでのダウンスイングが円となります。
つまりヘッドの軌道を外周にして、その内側を盤に見立てたものがスイングプレーンということになります。
しかし本当の意味でのスイングプレーンとは、最初に仮想のスイングプレーンを意識して、そのプレーン通りにスイングをするものです。
つまりスイングした結果ではなく、スイングする前の目標とするものがスイングプレーンということになります。
ヘッドが円の外周を回るように意識してスイングすると、スイング自体も大きくなります。
スイングアークが大きくなると表現します。
しかし大きなスイングをすれば、それだけヘッドの動く距離が長くなるので、ヘッドの遅れが出る可能性も高まるものです。
スイングは綺麗になったけれど、方向性が安定しなくなる可能性があります。
スイングプレーンを意識するならヘッドの返しを覚える!
スイングプレーンを意識したスイングをすると、大きなスイングにはなりますがヘッドの遅れに不安が出てきます。
このヘッドが遅れるということは、一般的にはフェースが開いてスライスの原因となるということです。
そのためスライスを防止するために、ヘッドスピードを上げなくてはいけません。
ヘッドスピードのアップは、スイングスピードを上げる必要はなく、「ヘッドを返す」ことで十分に速くなります。
このヘッド返すというのは、裏面から表面に返すという意味ではありません。
ヘッドの向きをターゲットに合わせることを「返す」と言います。
トップの位置でヘッドの向きは飛球線に対して平行に近い状態です。
これはダウンスイングに入っても同じことですが、インパクトゾーンに入るとヘッドの向きはターゲットのほうを向きます。
そしてインパクトゾーンは、右腿の辺りからボールまででヘッドの向きを返します。
単純動作として、コックを解けばヘッドを返すことができます。
コックを解けばスイングプレーンを意識してスイングできる?
コックを解くことでヘッドを返り、ヘッドスピードを加速することができます。
綺麗なスイングプレーンを意識して振る時は、このコックの使い方が重要です。
コックとは左手を真っ直ぐに伸ばし、親指を突き上げた時の90度の角度のことです。
コックはトップの位置で形成されますが、親指の角度が狭くなるとオーバースイングになり、やはり振り遅れの原因となります。
コックはダウンスイングに入ると、徐々に解けてきます。
「解ける(ほどける)」とは、親指の角度がフラットな状態に戻るということです。
通常はアドレスした時、左手親指はシャフト(グリップ)の上部を押さえているので、真っ直ぐに近い状態です。
つまりインパクトの前にこの状態に戻せば、ヘッドの向きは90度左回転して、ターゲットの方を向きます。
そのためスイングプレーンを崩すことなく、ヘッドスピードは加速させられます。
これで大きなスイングをしてもヘッドは遅れることなく、綺麗なスイングプレーンでインパクトが可能となるのです。
ヘッドの動きを意識するとスイングプレーンが歪む?
ヘッドの動きからスイングプレーンを見た時には、大きなスイングをしても曲がらずに飛距離アップが可能となります。
しかしスイングプレーンはヘッドの動きだけではなく、グリップからヘッドまでのシャフトの軌跡をプレーン(板)とする考え方もあります。
この場合も、スイングに入る前に仮想のプレーンを定めて、その仮想の板に合わせてシャフトを動かすことで、スイングに歪みが出ないようにします。
この時ヘッドの動きだけを意識してしまうと、スイングプレーンに歪みが生じるので注意が必要です。
グリップとヘッドは違うプレーンを描くため、途中で対象とするものへの意識を変えることは迷いに繋がります。
近年はヘッドの軌跡によるスイングプレーンよりも、シャフトの軌跡をスイングプレーンに見立てる「シャフトプレーン」が、理想的なスイングと考えられています。
シャフトプレーンを意識したスイングプレーン作りが重要
シャフトの軌跡を理想的なスイングプレーンとするのは、ヘッドの動きよりもグリップの動きを意識したほうが、上手くテークバックをコントロールできるからです。
一方で、スイング全体にプレーンを定めて追いかけるよりも、単にガイドラインとなる円盤として意識するだけという考え方もあります。
テークバックの時、中心軸は右足股関節の上に移動し、インパクトでは左足の上に乗っています。
つまり軸が移動している中で、インサイドインのスイングをすれば、綺麗なスイングプレーンを描くことはできないはずです。
それなのに、移動しないスイングプレーンを定めると、歪んだスイングになってしまいます。
ましてアイアンのように止める球や上げる球を打ち分ける場合は、スイングプレーンよりもヘッドの軌道を意識して、フェースを合わせるスイングをしたほうが、確実にインパクトはできるはずです。
第三のスイングプレーンを意識したスイング作り
さらに最近のスイングプレーンは、ヘッドの動きを意識したプレーンでもシャフトのプレーンでもない、第三のスイングプレーンが主流です。
そもそもスイングプレーンは、テークバックやダウンスイングの目標とするものです。
クラブを引く時はヘッドを見ながらヘッドを引きますし、トップからのダウンスイングはグリップを意識するのが一般的です。
そうすると、引く時と振り下ろす時の基準が変わるので、プレーン自体にブレが生じてしまって当然です。
そこで第三のスイングプレーンとして、ダウンスイングの時のスイングプレーンを設定します。
クラブヘッドと首元を結ぶヘッドを意識したスイングプレーンは、角度のある勾配です。
一方でシャフトを意識したスイングプレーンは、角度のない勾配です。
この中間に第三のスイングプレーンを設定するのです。
ヘッドを意識したスイングプレーンで振るとアウトサイドインでスライス系になりやすく、シャフトを意識したスイングプレーンだとインサイドアウトでフック系の可能性が高くなります。
そこで中間に仮想となる第三のスイングプレーンを設定すると、方向性は安定しながらも飛距離アップのスイングが可能となるのです。
スイングプレーンを意識するのはアドレスの時点のみ?
そもそもスイングプレーンとは仮想のスイングです。
体重移動やライの状況によって、理想とするスイングプレーンとは違う振り方で対処するのが一般的です。
スイングプレーンを実際に見ることはできないので、意識するのはアドレスの時点に留めて、あとは忘れてスムーズなスイングを心がけるようにしましょう。