パッティングのイップスに負けないためのメンタル強化法とは

最終更新日:2018/02/04

ゴルファーが陥りやすいのが「イップス」です。
特にパッティングやアプローチなど繊細さを必要とするショットで発生することが多いです。
1打1打に人生が掛かっているプロゴルファーだからと思っているかもしれませんが、アマチュアゴルファーでも発生する可能性は十分あります。

ゴルフの病気を言われていますが、それは身体的なものではなくメンタル面での病気になります。
イップスにならないために、そしてなってしまっても克服するために、強いメンタル力をつけましょう。

ゴルフで起こるイップス

いきなり「パッティングのイップス」と言われても理解できないゴルファーもいるでしょう。

まずはゴルフにおけるイップスについて説明します。

イップスとは、極度の緊張から手が動かなくなったり体が硬直してしまったりして、思うようにクラブを振ることができなくなることを言います。

パッティングでのイップスになってしまうと、OKパットの距離であっても自分の意思とは関係なく、有り得ないほどオーバーするくらい強く打ってしまったり、ショートしてしまいます。

ゴルフにおけるイップスとは、元々パッティングに関することに使われていましたが、現在はアプローチイップスであったり、ショットイップス、ドライバーイップスと様々なショットに使われています。

イップスの症状が出る主な原因としては、緊張で体が硬直していることを自覚している上で「動かなければ!」と焦りを募らせてしまうことです。
重症でなければ、なるべくパッティングの前に固まる時間を作らないようにするのが大切です。

アメリカを主戦場としている野村敏京(はるきょう)選手が、アドレスしてからすぐに打つようにしてからパッティングの調子が上がり優勝を飾りました。
軽いパッティングイップスだったのかもしれません。

パッティングイップスで実際に起きた悲劇

パッティングイップスを経験したことのないゴルファーは、「OKパットを外すことはないだろう!」とか「ライによって1回くらい外すことはあるだろう」と簡単に考えるでしょう。
しかし実際にパッティングイップスになっている選手にとっては、引退に追い込まれるほど致命的な病気なのです。

記憶に新しいのが2016年のマスターズで起きたことです。

メジャー4勝を誇るアーニー・エルス選手が、この大舞台でまさかの6パットをしてしまいました。
パー4でセカンドショットを外しましたが、3打目のアプローチで見事ピン傍60cmに寄せる技を見せるまでは流石の運びです。

しかしファーストパットをまさかの1mオーバーしてしまったのです。
さらにまさかの返しもオーバー、そのまま3パット、4パット目も入りませんでした。
5パット目、残り20cmにあるボールを片手で打つもカップに蹴られ、悪夢の6パットを喫してしまったのです。

5打目は運も関係していますが、それまではイップスが原因です。
彼がイップスになったのは、長・中尺パターのアンカリングが禁止されたからだと言われています。

経験の積み重ねこそがパッティングイップスの要因

プロゴルファーに、今まででパッティングが一番調子の良かった時はいつかと尋ねると「子供の頃」と答えるでしょう。
なぜかと言うと無心にゴルフをがんばったり、楽しんだりしていたからです。

イップスとはゴルフを覚え始めた頃の「無心」な状態から経験を積み重ねていくことで、「怖さ・怖れ」が蓄積することが主因だとも言われています。
それくらい精神的な部分が大きいのです。

ゴルフ自身が集中力と自信と言うメンタル面の影響を大きく受けます。
そういったメンタル的なことが筋肉に作用してしまうのです。

しかし、その「集中力」にイップスの原因だけでなく解決法も隠されています。
世界トップクラスのプロが口を揃えて言うのが、「18ホールで緊張の維持が必須。緊張の糸が切れたら終わり」です。
緊張して固くなることを良しと受け入れ、悪いとは捉えないのです。

イップスになった時はむしろ自分の緊張感はまだまだだと心理調整すると良いと考えられます。
ゴルフを始めたばかりの時は緊張するのが当たり前だったのですが、経験を積み重ねると緊張してはダメだと思うようになってしまいます。

パッティングイップスの治療法は『すぐに打つ』

ではパッティングイップスになってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。

重症である場合は、専門医に相談するのが大きな解決の糸口となります。
しかし1打に人生が掛かっているプロが陥るほどのイップスに、アマチュアゴルファーがなることはあまりありません。
もちろん公式競技等に出るようなゴルファーであれば可能性はあります。

ここで紹介する治療法はあくまでも軽症である場合と考えてください。

最も簡単な方法なのですが、「考える前に打つ」ことです。

様々なスポーツで取り入れられているルーティンがイップスの人にとっては逆効果になってしまうことがあります。
ライン読み以外のルーティンは全て取り除き、一定の速度でボールまで歩み寄ったら、構えると同時にボールを打つくらいの気持ちでパッティングしてください。
考える時間や思いを巡らせる暇を自分に絶対に与えないでください。

1秒でも考えたり思いを巡らせたりしてしまうと、そこに出てくるのは不安や恐怖しかありません。
入れようと思う気持ちを振り払って、イメージした力加減でボールを芯で捉えることだけに集中する方法です。

パッティングイップス克服には大变化

原因も分かり、メンタル面での治療を試みてもパッティングイップスが治らない場合は、「変化」させましょう。

先ほど話したルーティンを失くすと言うのも変化の1つになりますが、それだけでなくグリップの握り方やグリップ、思い切ってパター自体を変える方法も良いでしょう。

パッティングとは非常に繊細なタッチを求められるショットになるので、変化させることはあまり良いことではありません。
しかし悪いのであれば変えても問題はないですよね。

特にグリップの握り方を変える方法はとても有効です。
しかもある日突然、思い立ったら変えるいきなりさが大事です。
いつもと変化があれば神経や心理が集中する場所を散漫にさせるからです。

試したことのない握り方だともちろん違和感が生じますが、それがイップスから救い出してくれる光明になるのです。
パター自体を変えるのも同じくらい効果的ではあるのですが、パターは決して安くはないので、友人が安く譲ってくれたり、貸してくれたり、自分で数本持っている場合に挑戦してみてください。

ゴルフに対する考え方改革

パッティングに限らず、イップスになることを避けるためにはゴルフに対する考え方を変えなければなりません。

「ミスをしない!」と考えてしまうと、どうしてもミスをすることを恐れるようになってしまいます。
ですからミスをしないではなく「ミスを減らす」と考えるようにしましょう。

プロゴルファーだってミスをすることはあるのです。
到底追いつかないような練習量をこなしているプロゴルファーですらミスショットするのですから、アマチュアである私たちがミスショットをするのは当然のことだと思いましょう。

ではミスがある中でどうスコアを縮めていきましょうか。

それはミスをした後のリカバリー力を身につけること、そしてラウンドごとにミスをなるべく減らすように努力することです。

また最も大事なことは、ミスをした後は欲を捨てることです。
ドライバーでミスショットしたからと「セカンドでどうにか乗せよう」ではなく、安全なフェアウェイに確実にボールを運ぶことを考えてください。

アプローチが上手くいかず、ロングパットを残したら、「入れよう!」ではなく、「セカンドパットをストレスなくできるように寄せよう!」と考えてください。

考え方をそう変えていくことでゴルフはより楽しくなり、不安や恐れもなくなり、イップスに陥ることはなくなるでしょう。

イップスを受け入れることも解決の糸口

ゴルフに対して真剣になればなるほどイップスに陥る可能性は出てきます。

もしイップスになってしまった場合は、「まさか私が!?」と思わずに、そうなってしまったことをまず受け入れましょう。
そうすることで意外と心は大分楽になります。

不安や恐れこそがイップスの原因であり、悪化させることになることを頭の片隅に入れておいてください。