アイアンの重心距離の長短を比較して選ぶのは間違いなのか?

最終更新日:2018/01/08

アイアンにとって重心距離はクラブのさばき方に影響を与え、ボールの捕まりの良さの判断材料にもなっています。

しかし重心距離をヘッドの性能数値とするのは古いという考え方もあるようです。

そこで「ボールの捕まり」に主眼を置いて、重心距離の比較とヘッド性能について考えていきます。

アイアンの重心距離を比較して性能を確認してみる

ボールの捕まりが良いアイアンを使えば、簡単にピンそばに落とすことができるのでしょうか?

アイアンの重心距離の違いによって、ボールの捕まりの良さや球離れの良さを実感できると言われます。

重心距離が長いと捕まりが良いというゴルファーもいれば、逆に重心距離が短いほうがヘッドコントロールは良く、捕まりが良いというゴルファーもいます。
「捕まり」はプレイヤーの感覚的なものなので、ヘッドスピードやパワーによって違いがあるのかもしれません。

そもそも重心距離とは、シャフトの中心軸からヘッドの重心点までの距離を表したものです。
重心距離が長いとフェースの横幅は広くなり、この横長のヘッドでスイングすると、ヘッドを返す力である慣性モーメントが大きくなます。
そうして慣性モーメントが大きくなると、インパクトでボールを捉える時、ヘッドは返り難くなります。

重心距離の長さを単純に比較すると、重心距離が長くなるほどヘッドは飛球線の後方から前方に向けて進む力はあっても、フェースをスクエアに合わせることが難しいと言うことです。
つまりボールを飛ばすことはできても、意図的なコントロールは難しいと言うことになります。

アイアンの重心距離を比較したら矛盾が見つかる?

アイアンで飛距離と方向性を比較することはないはずです。
ドライバーの場合には、飛距離重視の考え方があっても不思議ではありませんが、アイアンの場合には、ボールコントロールは必須条件です。

ボールコントロールをするのであれば、ヘッドをコントロールしやすいアイアンを選ぶのが常識的です。

重心距離が短いアイアンは横幅が狭く、ヘッドの返しも容易なことから、ヘッドコントロールがしやすいと言われています。
ヘッドの動きが自在であればフェードやドローなどの球筋も打てますし、バックスピンの効いたアプローチも可能です。
つまり重心距離が短いほど慣性モーメントは小さくなり、ヘッドの動きは自由度が高くなるわけです。

結果的にゴルファーが求める微細なコントロールができる、小さなヘッドを選べば思い通りの攻めができると言えます。

しかし実際にはフェース面の大きなアイアンのほうが、繊細なショットに適しているようです。
一般的にはロングアイアンよりもウェッジのほうがサイズは大きくなっています。
グリーン周りからのアプローチは、非常に繊細なショットが要求されるのに、重心距離の長いものを使っているのは矛盾が生じているのではないでしょうか。

アイアンの重心距離は慣性モーメントで比較する

アイアンは重心距離だけで比較すると、距離の短いものがボールコントロールしやすいと言われています。

一般的に重心距離が短いことは、ヘッドのサイズが小さいことに繋がります。
しかし小さいヘッドになるほどスイートエリアは狭くなるので、難易度の高いショットが要求されます。

しかし飛距離を要求されるロングアイアンは、ショートアイアンと比較すると重心距離が短いのはなぜでしょう?

ここに「捕まりの良さ」があります。
ゴルフボールの捕まりとは、右打ちで言えば左方向に打ち出す感覚のことです。
捕まりが悪いと右方向に抜けていき、捕まりが良いとドロー系の球筋をイメージできます。

捕まりの良さは、重心距離を比較するだけではなく、重心角が大きな役割を担っています。
重心距離は短く、重心角が大きく慣性モーメントの小さいアイアンほど捕まりが良いわけです。

アイアンで考えると難しいですが、ドライバーよりもバフィのほうが簡単に打てるのは、重心距離が短く慣性モーメントが小さいからです。

ゴルファーに合わせて重心距離を比較してアイアンを選ぶ

過去にアイアンとドライバーの重心距離は、一致しているほうが良いと言われた時期があります。

構造や役割の違うクラブを比較してもあまり意味はありませんが、現在では1つ1つのクラブの重心距離は違うものと考えられています。

それは前述したドライバーとバフィの比較と同じことで、重心距離が短いほど打ちやすいことは間違いありません。
ただし重心角や慣性モーメント(シャフトの長さとヘッドの重さ)によって、その条件は変わるので、一概に「この長さが良い」という答えがあるわけではないのです。

またプレイヤーのパワーや技量によっても違いがあります。
アウトサイドインのスイングをするゴルファーの場合、アップライトなスイングになりやすく、カット打ちでボールと接触します。
つまりインパクトで横回転を与えるため、スライスボールになりやすいわけです。

このような変則的なスイングをする場合には、重心距離の長いアイアンを使うと、横回転を減少させてミスショットを抑えることができます。
そしてその他の要素で捕まりを求めれば良いです。

プレイヤーの特性に合った重心距離を選ぶことで、クラブの性能を活かすことができます。

アイアンの重心距離で性能を比較するのは神話?

昔の上級者は、アイアンの重心距離について細心の注意を払っていました。
肉厚が薄いマッスルバックタイプが主流だったので、「重心距離短い=小型ヘッド」であり、ボールコントロールをする道具を選ぶ上で重要な要件だったからです。

しかし現在ではアイアンの能力が進歩していて、今日始めたばかりのゴルファーでも、素直に打てればバックスピンをかけられるになっています。
高い弾道も低くて止まる球筋も、アイアンの性能だけである程度打てるようになりました。

特にキャビティアイアンなどは、重心距離に関係なく「捕まりの良い」ボールを打つことはできますし、曲がることなく適度なバックスピン量でグリーンを捉えることができるようになっています。

もはやアイアンの性能を、重心距離だけで比較する時代ではなくなってきていると言えます。

しかしマッスルバックの頃の神話は残っているのでしょう。
重心距離の短いものは上級者が好み、重心距離の長いものは初心者に向いていると、現在も語られています。

アイアンの重心距離を比較してもゴルファーによって感覚は違う

アイアンを購入する時、重心距離を比較するのも1つの選択肢です。
自分の技量に合ったアイアンや、これから目指す打法に合っているものを使うのは上達の近道ですし、何よりもストレスなくスイングできるからです。

ただし、これから始める初心者ゴルファーがプロたちの愛用しているマッスルバックタイプを使うことはないはずです。
今では世界で活躍しているプロたちも、徐々にキャビティアイアンを使うようになってきている程です。

アマチュアと違い、わずか半ヤードの距離にこだわっているプロたちが、キャビティを使うのは、ボールの安定性よりもスイングによる身体への負担を無くすことに重きを置いているからです。

強いスイングを繰り返していれば、アマもプロもいずれ「故障」の2文字が襲ってきます。
故障を回避し長くプレーをするためには(プロ場合にはシーズンを通してですが)、より簡単にボールを運んでくれるクラブを選んだほうが良いのではないでしょうか。

その時の選択肢に「ボールの捕まり」が入るのかはゴルファーによって違うでしょう。

アイアンを重心距離で比較して選択するのは過去のもの

アイアンの場合、重心距離を比較してクラブを選択する時代は終わったと言えるかもしれません。

アイアンヘッドが進歩していて、重心距離よりも重要な性能はたくさん出てきています。
さらに今後はヘッドの進化に伴いシャフトも進化し続けていて、ユーティリティのようにウッドとアイアンがミックスして改良されたものがどんどん出てくるのではないでしょうか。