ゴルフは自然の中で行うスポーツですから、コース内には様々なアンジュレーションがあり、グリーン面のように戦略的に傾斜をつけているものもあります。
そこでグリーン面を中心に、傾斜の読み方と日常の訓練方法について紹介します。
ゴルフ場における基本的なグリーンの傾斜の読み方
一般的にグリーンにはアンジュレーションがあります。
雨が降ったときに水溜りができないように、雨水がグリーン外に流れるような形状を造っています。
また戦略的なレイアウトとしてポテトチップスのようにうねっている形状のものや、2段・3段グリーンといったステージを設けているものもあります。
ただこのような部分的なアンジュレーションとは違って、グリーン全体が一方向またはいくつかの方向に傾いているものもあります。
歴史のあるゴルフ場の中には、太鼓型と呼ばれるグリーンなどは全方向に傾いているものもありますが、一般的には花道に向かって傾斜しているのが普通です。
ゴルフ場を造るときのセオリーがあって、ショートティーはティーグラウンドからグリーン面が見えること、ミドルやロングの場合も基本はグリーン面が見えるように設計します。
平坦なアプローチなのにグリーン面が見えるとしたら、傾斜の読み方としては奥からかなりの速さだと判断できるでしょう。
ゴルフ場での傾斜の読み方はグリーンに上がる前が大事
ゴルフ場では、グリーンに上がる前の傾斜の読み方が重要になります。
セカンドまたはサードショットでグリーンを狙う時、グリーン面の奥まで見えるようであれば「受けグリーン」なので、手前に傾斜がついています。
通常であれば奥から手前に向けて傾斜があるのですが、どのくらいの傾斜なのかが重要になります。
まずグリーンに上がるとき、傾斜の読み方が微妙だと思うようであれば、横から上がるようにしましょう。
一見、花道からはフラットなグリーン面に見えても、横から見ると傾斜は明らかです。
また中間の傾斜の読み方も、ひと目で確認することができるので、グリーン面全体の傾斜を確認することができます。
ただしこの確認方法には2つの条件が必要です。
1つ目は、円形または縦長のグリーンであることです。
横長のグリーンの場合に、設計者が横から打つことを想定しているため、縦の傾斜のための横からの確認はあまり意味を持ちません。
2つ目は、タイムリミットです。
現行のルールでは、ほぼ問題はないと思いますが、2019年から施行される新ルールでは遅延プレーの排除を謳っていて、他のプレーヤーがショットしてから40秒以内に打ち終わらなければならず、回り道をしている時間がない場合があるのです。
ゴルフ場での実践的な傾斜の読み方とは?
ゴルフ場のレイアウトでは、花道が一番低いというのが常道なので、グリーンの手前の花道で左右のレベルを測ります。
左右の傾斜の読み方は、グリーンに上がる前に、腰を落としてなるべく低い目線になることが大切です。
視線はボールに定めてクラブを横にして、シャフトをボールに位置に合わせると、左右のレベルの違いが簡単に分かります。
ただこれだと確かに簡単に読み取れますが、実際にこの傾斜の読み方を行っているゴルファーはいないようです。
昔はそんなポーズを取っているゴルファーもいましたが、現在その傾斜の読み方をしていると「変な人」だと思われてしまいます。
現在はゴルフキャップやバイザーのツバ、もしくは手のひらで太陽の光を遮るようにしてかざすことで、シャフトの代わりにしてレベルを測っています。
もちろん花道からだけではなく、他のところからでもこの方法でレベルを測ることはできます。
ただしこの方法では、目線が低くないと分かりにくいので、グリーンの高い位置からは不向きです。
ゴルフのグリーンを見なくても分かる傾斜の読み方
傾斜の読み方で大事なことの1つに、カップの切る位置を知っておくことがあります。
ゴルフ業界も世代交代の波と人手不足から、良く分からずにカップ切りをしている場合もありますが、基本的にはカップの位置を決めるときのルールがあります。
カップを中心に全方向が平らか、もしくは一方の傾斜が20センチから30センチあるところに切ります。
2段グリーンの境目のような箇所や、1段目と2段目の間でボールが止まらないような箇所には切りません。
そうするとカップを切る箇所は、グリーン面の低い位置が圧倒的に多くなります。
逆に言うと高い位置にはカップを切る可能性は少ないわけです。
グリーンを設計するとき、次のホールへの導線も考えます。
つまりグリーンの中での通路となる箇所は、常に踏み締められることから傷む確率が高く、カップを切るのには適さないことが多くなります。
そこで次にホールに繋がる側のグリーン面を高くします。
またカップがないことから、次のホールに移動しているプレーヤーに向けて打ち込む心配も軽減されます。
ゴルフのスコアで大事な短い距離の傾斜の読み方とは
そもそもゴルフの基準となるストローク数、つまり「パー」の内訳の中でパッティングは2ストロークになっています。
ゴルフのスコアをまとめるためには、アプローチでピンそばに寄せるか、もしくはロングパットで確実に寄せて3パットを無くすくことが大事です。
グリーン全面の傾斜の読み方も大事ですが、やはり3パットを無くすためにはミドルやショートの距離を確実に沈めていかないとスコアを作ることはできません。
短い距離のパッティングで大事なことは、傾斜の先がどちらを向いているかです。
もちろんボールの転がり具合もありますが、それよりもヘッドの動きに影響を与えることが重要です。
極端な傾斜を想定したとき、足先が前上がりだと、ストロークするヘッドのヒール側は地面との間隔が空くことになります。
逆に足先が下がっているとヘッドのトゥ側が空くことになり、どちらの場合もスイートスポットでボールを捉えることが難しくなります。
下りのパットであればトップ気味になり順回転で加速しますし、打ち上げであればロフト角以上にボールが浮き、バックスピンによって転がる距離は短くなります。
つまり「傾斜なり」に構えて、芝面に対してヘッドのソールが均等しないと、想定している転がりと方向とは違ったパッティングになってしまいます。
傾斜の読み方を気にしすぎるとゴルフにならない?
ゴルフ場はティーグラウンド以外のすべての場所が傾斜しています。
その傾斜を気にしすぎると、アドレスが定まらず、スイングに悪影響を与えてします。
ですからわずかな変化であれば、傾斜の読み方を気にせず、いつも通りの姿勢をとってスイングすると身体が自然と反応してくれます。
ただここで気をつけなければならないのは、その傾斜の読み方が視覚によるものであれば、実際の傾斜とは違う場合もあります。
グリーンの外周が一方に偏って見えることから傾斜を想定すると、実際にはスタンスの位置では反対方向になっている場合もあるのです。
大事なことは足裏の感覚と、アドレスしたときのグリップの位置です。
微妙な変化に気付くように、日頃から立っている場所の傾斜を意識することで、その傾斜の方向性を瞬時に読むことができます。
またボールの後ろにヘッドを置いて、いつものグリップ位置と違うようであれば、シャフトの傾き(ライ角)が変わったことを感知できるよう、日頃からグリップを握ってアドレスの姿勢をとるだけで傾斜の角度を読むことができます。
ゴルフ以外でも傾斜の読み方を訓練する
現在のキーピングの主流は、芝目を出さずに傾斜を重視しています。
現在では芝の管理技術が進み、寒冷地でしか使えなかったベント芝が普及したことにより、ますます傾斜の読み方は重要視されることになるはずです。
そのためにも立っただけで傾斜が分かるよう、日常の生活の中でも傾斜にこだわってみてはいかがでしょう。