ゴルフスイングで難易度が高いのがラフショットです。
丈の長い芝草に邪魔されて打ち損ねたり、方向性や飛距離が狂ったりと、意図しないボールが飛び出すこともあります。
今回は、そんなラフからのスイングが上達する練習法について紹介します。
普段からゴルフ練習場ではラフショット用の練習が必要
一般的なゴルフ場のフェアウェイ幅は40ヤード前後ですが、プロトーナメントでは難易度を上げるために20ヤードまで狭めていることがあります。
一流のプロゴルファーでさえ、芝草の深いラフショットは不利になるわけですから、一般ゴルファーにとってはさらに難易度の高い場所と言えます。
そんなラフショットの最大の難点は、芝草にヘッドが絡みコントロールができないことです。
そのお陰で上手くボールが打てなかったり方向や飛距離に狂いが生じたりと、意図しないショットになってしまいます。
上手く打てないとか飛距離や方向をコントロールできない原因は、ダウンスイングでクラブフェースの入り方に問題があります。
ただし「入り方に問題がある」と言っても、ミスショットをしているわけではありません。
実は練習場で打っている通りにスイングすることがミスに繋がるだけです。
普段のスイングが原因だからと言っても、ラフショットで急に打ち方を変えることは難しいはずです。
そこでラフショット用の練習が必要になります。
ラフショットはゴルフクラブのヘッドの入射角度がポイント
ラフショット用の練習とは、長い芝草に影響されないようなスイングができるようにすることです。
通常のスイングアークは大きな楕円形を描きますが、ラフショットでは草丈の長さが邪魔になるので、飛球線に沿ってのヘッドの動きは制限されることになります。
長い芝に関係なく確実にインパクトするためには、ダウンブローで打ち込むことです。
一般的には、ゴルフボールの側面にフェースを当てるサイドブロー(レベルブロー)で練習している方が多いでしょう。
昔の薄い肉厚のマッスルバックのヘッドの頃は、重心位置が高かったので鋭角的に打ち込むダウンブローが良いスイングとされていました。
対して現在の進化しているアイアンは重心位置が低くなっていて、打ち込むよりも払って打つほうがスイートスポットでボールを捉えやすくなっています。
ですから今のスイングがダメなわけではないのですが、サイドブローでラフショットすると、ボールとフェースの間に芝草が挟まり、バックスピン量が落ちてしまいます。
そうしたバックスピン量が落ちたボールは加速して、いわゆるフライヤーになるのです。
ましてもっと深い芝草になると、インパクトする前に草の抵抗でフェースの打ち出し角や方向性が狂ってしまう、上手く飛ばすことができない状態になってしまいます。
そこでダウンブローで打ち込み、鋭角な入射角度でインパクトができる練習が必要になります。
ラフショットの成否はゴルフ場のターフ痕で分かる
ラフショットに必要な「鋭角なダウンブロー」はかなり高度な技です。
今日練習して明日から完璧に使えるといったものではないので、完全にマスターするまでには相当の時間が必要になります。
ただし打ち方さえ覚えたらすぐに実践で取り入れて、ラフショットの打ち方に慣れていくほうが良いのは間違いありません。
また鋭角的なダウンブローは、強いバックスピンを掛けられるようになります。
グリーンを攻めるときにピタっと止める球や、逆回転で戻る球を打つこともできるようになる便利なスイング法なので、ラフショット以外の練習としても取り入れておきたい打ち方です。
そんな鋭角なダウンブローをするには、インパクトのイメージを持つことが大切です。
サイドブローのスイングではボールの側面にフェースを合わせるイメージですが、ダウンブローはボールの斜め上をフェースで潰していくようなイメージです。
結果としてゴルフ場のターフで比較すると、サイドブローはボールの下の芝を取り、ダウンブローはボールよりも前方の芝を剥ぎ取ることになります。
ラフショットにはタイミングを変えるゴルフスイングが必要
ゴルフにおいて効果的なラフショットは、鋭角的なダウンブローが第一の方法ですが、芝の上にボールが浮いている場合には払い打ちでも対応できます。
しかしラフショットの払い打ちで気をつけなければならないのはフライヤーです。
アイアンは「正確な距離」を刻むクラブなので、飛びすぎるとグリーンオーバーやハザードなどのトラブルになることが考えられます。
フライヤーはフェースとボールの間に草が挟まり、スピン量が落ちることで飛距離が伸びるという現象です。
距離の正確性を求めないラフショットであれば問題はありませんが、正確な距離が必要であれば長いクラブを使用します。
そもそもハーフショットのように、ヘッドスピードの遅いショットではフライヤーにはなりません。
フルスイングでヘッドを走らせたことで起きる現象です。
ですから長めのクラブを短く握って、ゆったりしたスイングで打てるようになれば、払い打ちでもフライヤーを防ぐことはできます。
ただスイングのタイミングを変えるのは意外に難しいものなので、これもまた相当の練習が必要になります。
ゴルフ練習場でティーアップしてラフショットを習得する
浮いたボールのラフショットで、もう1つ気をつけなければならないのが空振りです。
普段の練習では、アイアンはマットの上で打っていることが多く、ショートアイアンをティーアップして打つ機会は少ないのではないでしょうか。
ラフで浮いているボールは、決して葉先の上に乗っているわけではありません。
芝草の中間点で、密集した草に挟まれたような状態で浮いているだけです。
どのくらい浮いているのかは状況によって違いますが、プロゴルファーのティーアップの高さが2センチから3センチ程度ですから、およそドライバーショットのティーの高さにあると考えることができます。
果たして練習も無しで、ドライバーショットのティーの高さにあるボールを、ウェッジで打つことはできるでしょうか?
ましてラフショットでウェッジを使うときには、ロブショットのようにフェースを開いた状態で入れるはずです。
これもまた、相当の練習量が必要になります。
最初はマットで打って感覚を習得して、すぐにティーアップして練習すると同じイメージで打つことができるはずです。
このときティーアップした分だけクラブを短く持つのが上手く当てるコツです。
自宅でゴルフの練習!究極のラフショットの練習法とは
ラフショットの究極の練習法は芝草でスイングすることです。
草の抵抗を知らなければ、いくら入射角の練習をしても、インパクトの手前でフェースの向きが変わったり、スイングスピードが落ちてしまう可能性があります。
もしも自宅周辺で、素振りができ、しかも草が生えているところがあれば、実際に草に向かって振ってみてください。
ゴルフボールを打つことは危険なので、あくまでも素振りの練習ですが、それでも十分に感覚は掴めるはずです。
またラフ用の練習マットも、ネットやゴルフショップで市販されているので、自宅用の練習器具として活用できます。
自宅でラフショットを練習するときには、柔らかいボールも同時に購入すると、フェースの入射角を確かめることができます。
さらにダウンブローで打ち込むラフショットを、スマホなので動画撮影してスイングチェックも上達の近道になります。
頭で思い描きダウンブローで打ち込んでいるつもりが、弧を描いたスイングになっていたり、上半身が突っ込んだだけのダウンスイングになったりと、修正ポイントが見つかるので早く上達ができるはずです。
ラフショットを練習する環境がなくてもゴルフは上手くなる
これだけゴルフが普及しているのに、未だに練習環境が整っていないのはラフとバンカーではないでしょうか。
一部の室内練習場ではラフショットやバンカーショットが打てるようになっていますが、多くの練習場ではマットからクリーンに打つことしかできません。
限られた環境ですが練習を重ねていれば、必ず習得できるのがゴルフの良いところではないでしょうか。