ヘッドスピードが52もあると飛距離300ヤードに達します。
世界で実績のある2人のプロゴルファーを比較しながら、国内で活躍するもう1人のヘッドスピード52のプロゴルファーも含めて、一般ゴルファーの飛距離アップ法を紹介します。
最高峰の飛距離の秘密はヘッドスピード52にあり!
ヘッドスピードの速さを見ると、プロゴルファーと一般ゴルファーでは別世界であることが分かります。
世界でもトップクラスで活躍している松山英樹選手や、マスターズのグリーンジャケットに近い男と言われた石川遼選手のヘッドスピードは52を超えています。
一般ゴルファーのヘッドスピードが40、ハードヒッターでも43と言われていますから、まさに信じられない速さでクラブヘッドを動かしていることになります。
ちなみに一般ゴルファーはショップなどで計測したものですが、プロたちは実際のトーナメントで計測したデータの平均値なので、実際の開きはもっと大きいのかもしれませんね。
もう1つ、一般ゴルファーと2人のプロゴルファーとはシャフトの長さが違います。
一時から比べると、身の丈に合わない長尺ドライバーを使っている人は少なくなりましたが、一般ゴルファーは46インチ前後が主流です。
一方で松山選手のシャフトは45インチ、石川選手はさらに短く43インチを使うこともあります。
そんな短尺ドライバーで世界トップクラスの飛距離を誇る2人のプロですが、ヘッドスピードが52以上をマークできるのには、特別なスイング法があるからです。
世界ランク27位の飛距離はヘッドスピード52
ヘッドスピード52で、飛距離は世界でもトップクラスの2人のプロについて見てみましょう。
松山英樹プロの2017年の平均ヘッドスピードは52.96m/sです。
あと0.04で53ですから、試合によっては53以上を出しているはずです。
そんな松山英樹選手の魅力は「力強いスイング」です。
重くて硬いシャフトを振るだけの肉体と技術を身につけています。
飛距離にこだわっているのであれば、ヘッドスピードが速くなる軽くて長いシャフトを使うべきでしょうが、身につけたパワーを目いっぱいクラブに伝えることができるシャフトを選んでいるようです。
いわゆる重量級のシャフトはドライバーだけではなく、すべてのウッドに使われていて、一定のタイミングで振り抜くことができます。
スイングスピードに負けないシャフトの剛性によって、しなりの戻りがよくインパクト前後のヘッドスピードは加速しています。
松山英樹選手のシャフトを一般ゴルファーが振ると、水道管のような剛性で、しなりがなくて全く飛びません。
ところが松山英樹選手のスイングスピードでは、しなりが少なく再現性が確保されることから、身体を目いっぱい使ったスイングが可能なので安心感があるのでしょう。
曲がらずフェアウェイの中央にボールを運びながらも、飛距離は世界ランク27位ですから、その精度が世界のトップで戦える理由なのかもしれません。
ヘッドスピード52をさらに高めて飛距離アップを目指す
もう1人のヘッドスピード52である石川遼プロを見てみましょう。
石川遼プロの2017年の平均ヘッドスピードは52.24m/sで世界46位です。
進化している松山英樹プロとの差は0.72もありますが、石川遼プロはスイング改造中で試合数が限られ、しかもベストなショットとは言いがたいミート率が続いていてのこの数値です。
元々石川遼プロのスイングはテークバックが早く、トップでの切り返しの位置が安定しないこともあり、現在の未完成なスイングはクロスシャフトになっています。
クロスシャフトとは、トップの位置でヘッドの方向がターゲットよりも右側を指している、オーバースイングのような悪癖です。
以前にはなかったこの悪癖がなぜ身についたかというと、今回の改造ではインパクトゾーンで左手の返し(ローリングしない)を行わないスイングを身につけようとしているからです。
新しいスイング自体に間違いはありませんが、世界のトップ選手と同じタイプのスイングで飛距離アップを目指すには、松山英樹選手のような体型が必要かもしれません。
いずれにしても「道半ば」のようですが、徐々に結果は出てきているので、どこかで折り合いをつけて石川遼スタイルの新たなスイングを作れば、ヘッドスピード52が活きる試合を近い将来見れることでしょう。
ヘッドスピード52で飛距離を稼ぐよりも大事なこととは
世界で実績を持つ2人のプロは、ヘッドスピード52で、飛距離は300ヤードもあり、国内ツアーであれば絶対的有利な立場にあります。
でも海外ツアーに参戦すると、ドライバーの飛距離は普通になり、予選さえ通らない選手でも9番アイアンで150ヤードというのがゴロゴロいるところで試合をしなければなりません。
そこでハンデなく戦うため、石川遼選手はウェートを増やす肉体改造でその溝を埋めようとして失敗、次に流行のフェースをスクエアにした状態を長くするスイングを取り入れて、悩み多き状態になっています。
一方の松山英樹選手は、自分のゴルフに徹していて、飛ばすことよりもフェアウェイの中央から勝負をしています。
そしてあの強靭な肉体から繰り出すパワーを最大限に活かせるアイアンの精度を保つことに集中していることが、好結果をもたらしています。
ヘッドスピード52、飛距離300ヤードと2人は同じくらいの数値です。
それなのに石川遼プロだけが苦しんでいるのは、ショットの安定性を求めて改造したことが失敗し、乱れたショットになっているからです。
もう後戻りはできないのかもしれません。
すでに自分に合わないことが分かっていたとしても、やり切らないとすべてが壊れてしまうかもしれないというのが石川遼プロではないでしょうか。
もしかする誰でもヘッドスピード52で飛距離300ヤード達成できる?
実は国内ツアーにもヘッドスピード52の選手がいます。
石川遼プロとは、当初比較される時期もあった池田勇太プロです。
「小さなジャンボ」とも言われる池田プロのヘッドスピードは52.5です。
松山英樹プロのヘッドスピードが52.9、池田プロが52.5、石川プロ52.2と松山と石川の丁度中間に位置しています。
池田勇太選手は器用なこともあり、どんな打ち方でも習得できる能力があるそうで、2017年からはバランスをC6に変えたことで、飛距離は前年よりも20ヤード伸ばして300ヤードの大台に到達しました。
元気な頃は振り回していましたが、腰の故障を抱えて一気に低迷することとなります。
そんな腰の爆弾を抱えての復活でしたが、クラブの性能を信じたことが成功したのではないでしょうか。
池田勇太プロだけでなくプロゴルファーの世界でも、C6バランスは未知の世界だったはずです。
しかしそこを利用しようと考え、実践したところが凄いところです。
それまでのシャフトD4をやめてC6に変えたわけですが、シャフトはA・B・C・D・Eとあり、そのなかで0・1・2…9と区分されます。
一般的に男性の場合はD0前後を、女性ならC4前後を使いますが、敢えてバランスを女性用にすることで、無理なスイングをしなくても、ムチのようなしなりでヘッドスピードを上げてくれると考えたのでしょう。
道具がボールを運んでくれるのですから、良いクラブを見つけてそれに合わせれば、石川遼プロももっと早く復活できる可能性がありそうです。
ヘッドスピード52で飛距離300ヤードを持つ3人
ヘッドスピード52の3人の選手は、共に300ヤードの飛距離を持っています。
松山英樹選手は超一流のタフなコースでシーズンを通して戦ってきましたから、それなりの故障はあるのでしょうが、基本的には自分のスイングに徹しているので、大きなトラブルには発展していないようです。
対して石川遼選手はウェイトトレーニングに失敗し、その反動から腰を痛めて戦線離脱、スイング改造でリベンジにかけるということですが、改造によって今まで以上の飛距離を求めているということはやはり海外ツアーを視野に入れているのでしょう。
そして池田勇太選手も深刻な腰の故障で、一時は戦線を離脱してから復活しました。
肉体強化やスイング改造ではなく、現状の身体に見合ったクラブを選び、そのクラブに合わせるゴルフを実践しています。
一般ゴルファーの多くは池田勇太選手と同じ状況にあるはずです。
メーカーがフィッティングして、ほぼオリジナルのクラブを作ってくれて、自分のスイングに合わせたクラブでボールを打つなんてことはないはずです。
多少は調整しても、クラブに合わせたスイングを実践しています。
「もしも」ですが、一般ゴルファーがヘッドスピードで52を狙い、飛距離300ヤードを目指すのであれば、池田勇太選手のスイングを参考にしてみると実現できるかもしれません。
ヘッドスピード52が達成できれば飛距離は300ヤード!
三者三様のプロゴルファー人生ですが、ヘッドスピードが52になると飛距離が300ヤードに到達することは、この3人のプロによって証明されたようなものです。
敢えて300ヤードとは言わずとも、飛距離アップを目指すのであれば、池田勇太プロのように道具に合わせるスイングのほうが目標を達成できるかもしれませんね。