片山晋呉プロのコーチとして有名な谷将貴が提唱するスイング理論は、右ひじでスイングすることです。
フェースでインパクトすることは同じですが、左手主導でなく右ひじ主導のスイングはいたってシンプル。
そんな独特なスイング理論を紹介します。
谷将貴のひじを使う独特なスイング理論とは
片山晋呉プロのコーチを勤めたことで、日本ツアー機構から3年連続ベストサポート賞を受賞したゴルフ理論の持ち主が谷将貴です。
ツアープロとアマチュアでは、潜在的な技術はもちろんのこと、身体能力なども違いがあるので、一概にプロコーチがアマチュアゴルファーのレッスンに合っているのかは難しいところです。
でも谷将貴はアマチュアの指導経験も豊富なことと、シンプルゴルフを掲げていることから指導ポイントが分かりやすいのが特徴です。
その独特な指導法の中で、代表的な右ひじの使い方について紹介していきます。
一般的に「スイング」と言えば左手主導というのがセオリーです。
間違いはないのですが、左手に固執するとテークバックで身体が傾いたり、上手く捻転することができないことが多いようです。
またゴルフのスイングでもっとも大切なこと、インパクトでのパワーが落ちている可能性が高いことが考えられます。
そこで右手を使ってスイングをするわけですが、そのポイントとして「ひじ」の使い方を注目しています。
谷将貴のバックスイングはひじを曲げるだけの超簡単!
そもそも、ゴルフクラブは両手で握るものです。
どちらか一方の手だけでスイングするなら、片手スイングのほうが効率的なはずです。
谷将貴は両手でスイングすることが基本であると伝えています。
まずは谷将貴の正しいアドレスです。
真っ直ぐ立ってクラブを剣道の構えのようにします。
シャフトが地面に垂直になるまでグリップを徐々に上げていきます。
手首の角度を崩さないようにグリップを降ろして前傾姿勢をとります。
お尻を突き出すようにして両膝を曲げアドレスは完了します。
つまり両手でクラブを握り、アドレスの姿勢をとることが前提になるわけです。
この正しいアドレスからテークバックを始めます。
テークバックの初動はアーリーコックです。
腕を動かす前にヘッドを引き上げて、手首の形を固めてしまいます。
このとき手首は甲側に折れないように気をつけること、左手甲が飛球線に対して平行な形になるようにします。
あとは右ひじを曲げていくだけで、グリップは上がってテークバックができるということです。
あくまでも視点を左肩にせず、右ひじを曲げることをイメージするだけで同じ動きをしているわけです。
谷将貴の右ひじをつけたスイングでは身体は開かない?
谷将貴のスイングはシンプルな考え方が基本です。
テークバックは長くて2秒、一般的には1秒足らずで、ダウンスイングはその半分も掛かりません。
そんなわずかな時間に複雑な動きを入れると、スイングで大切な部分が抜け落ちてしまうことがあります。
ですから先にコックを固めて、あとは右ひじを曲げると、テークバックができると教えているのです。
ただ、これでは捻転はできていません。
そこで最初のアドレスのときに手を身体の正面で固定して、この姿勢で軸を中心に身体をひねると右腰までグリップが上がってきます。
そして右ひじを曲げると、捻転するテークバックができると考えたようです。
身体をひねり、右ひじを曲げていくと、グリップはトップの位置まで来ます。
トップの位置からダウンスイングをするときは、なんと左側に体重を移動します。
一般的には、インパクト以降に軸が左足に乗ることはあっても、先行して体重を移動させると身体が開く原因になります。
ところが谷将貴のスイング理論では身体は開きません。
谷将貴の右ひじスイングは1スイングで2回繰り返して習得
トップの位置からのグリップは真っ直ぐ下に落とすようなイメージです。
もちろん両手でグリップを握っているので、実際には弧を描いて下りてきますが、強いダウンスイングを期待したものだと思われます。
グリップを振り下ろすとき、身体はひねっているために、胸は右サイドを向いています。このタイミングで左側に体重を移動すると、身体が開くことなく、しかも右肩も前に出ることなくダウンスイングができるのです。
逆に考えると体重を左移動すれば、自然とグリップは真下に落ちることになります。
グリップが落ちてきたとき、右脇腹に右ひじがついている状態が、ダウンスイングでの正しい姿勢ということです。
実際のスイングでは多少練習をしないとこの動きは習得できません。
いわゆるタメをつくる動きは、早すぎると身体が開き、遅すぎるとインパクトでヘッドを返すことができません。
谷将貴のスイング練習では、トップの位置で胸を右に向けた状態で体重を左側に移動し、同時にグリップを下ろします。
ダウンスイングでグリップが右腰の位置に来たところで止めます。
再度トップの位置までグリップを戻し、今度はスイングを完了させます。
1度のスイングの中で、2回繰り返すことで、自然にタイミングを取れるようになるそうです。
谷将貴が提唱する右ひじのスイングが窮屈に感じる理由とは
この谷将貴のスイング理論で気をつけたいのは、テークバックで右ひじを右脇から離さないことです。
少し窮屈なテークバックのようですが、右ひじを使ったスイングの練習法でシンプルな動きであることが分かるはずです。
まず右手のみでグリップを握ります。
次に左手は右腕の二の腕(上腕)の上に置きます。
この姿勢でテークバックをすると、右ひじは離れることなく、しかも身体は捻転していくことになります。
身体が硬くて上手く捻ることができなければ、それは普段のテークバックが手振りになっている証拠です。
クラブを握らなくても、どこでもできる動きなので、日常の空いている時間に繰り返し、ストレッチ感覚で続けると身体が回るようになってきます。
そして身体が回れば、右ひじがついていても窮屈さはなくなっているはずです。
谷将貴の右ひじを使ったスイングの流れを確認
谷将貴の右ひじを使ったスイングの一連の動きを復習します。
まずグリップを握るときに肩からだらりと腕を下ろし、ひじを張らないようゆったりと構えます。
このとき右ひじがターゲット方向に向くと、テークバックで右ひじを曲げることができなくなるので、ひじの向きに注意が必要です。
テークバックの前にアーリーコックで手首を固め、右腰までグリップを上げたところで右ひじを曲げて、あとはひじが右脇から離れないようにトップの位置までグリップを引き上げていきます。
トップでは右ひじが横に張っていることはなく、下を向いていることが大切です。
そしてトップからの始動は右ひじから始めます。
右ひじを下げることでグリップを真下に降ろし、左サイドに体重を移していきます。
インパクトの瞬間は、アドレスのときと同じように右ひじを少し曲げて、余裕を持てるようにします。
この右ひじの余裕がフォロースルーで右腕を伸ばせることに繋がり、ヘッドスピードが加速するのです。
右ひじを右脇腹につけていることから、スイングプレーンはフラットになり、弧のスイングを実践することになります。
谷将貴の右ひじのスイングはアドレスで決まる
谷将貴はアドレスのときに、右ひじの向きを気にしています。
ひじの内側をボールに向けるようにすることで、テークバックでひじを曲げることができると考えています。
つまり右ひじを使うスイングの基本は、最初のアドレスの時点で決まるということになるでしょう。