ドライバーのロフト角で悩むことが多いのが、9.5度にするか、10.5度にするかです。
一般的には10.5度が良いと言われていて、パワーヒッターであれば9.5度と言われています。
果たしてどういったゴルファーがどっちのロフト角を選ぶのが正しいのでしょうか。
ドライバーのロフト角について、そしてそれを選ぶポイントについて説明していきます。
ドライバーにはリアルロフトとオリジナルロフトといったロフト角がある
アイアンにはロフト角が表示されていたり、そうでなかったりします。
しかしドライバーは基本的にどのメーカーでもロフト角を表示しています。
ゴルファーたちはそのロフト角を見てドライバーを選ぶのですが、このドライバーに表示されているロフト角には実は2種類あるのです。
1つがリアルロフト、もう1つがオリジナルロフトです。
オリジナルロフトは、ソールとフェース面が作る角度です。
実際にクラブに表示されているロフト角が10.5度であっても、リアルロフトが13度だったなんてことは良くあります。
特に初心者向けのクラブはリアルロフトとオリジナルロフトが違うことが多いです。
リアルロフトとは、シャフトとフェース面が成す角度で、これが実際のロフト角と考えてください。
なぜ2種類あるのかと言うと、それはロフト角9.5度や10.5度を好む男性が多く、12度や13度の購入をためらうからです。
しかもその理由は「プライド」なのです。
それはロフト角が少ない方が上級者やパワーヒッターのイメージが強いからでしょう。
ロフト角9.5度のドライバー
ロフト角9.5度のドライバーが飛距離が出るのは事実です。
しかし使う人によっては10.5度や12度、13度の方が飛距離が出ます。
と言うのもロフト角9.5度で飛距離を出せるにはそれなりの条件があるからです。
それはヘッドスピードが50m/s以上あると言う条件です。
ロフト角9.5度のドライバーは、ヘッドスピード50m/sで最大飛距離が出るロフト角なのです。
アマチュアゴルファーでヘッドスピードが50m/s以上ある人はなかなかいないのではないでしょうか。
そのヘッドスピードはUSPGAプロの平均ヘッドスピードです。
世界で活躍しているプロでちょうど良いロフト角のドライバーをアマチュアゴルファーが使いこなせるのかは大きな疑問が残ります。
「俺はパワーがあってボールが上がる方だから9.5度のドライバーがぴったり!」と豪語している方。
一度ドライバーを見直した方が良いかもしれません。
もしロフト角9.5度のドライバーが合っているのであれば、実はそれリアルではなく、オリジナルロフト角かもしれません。
ロフト角10.5度のドライバー
ロフト角9.5度のドライバーで飛距離を出すにはそれなりのヘッドスピードが必要なのは分かりました。
ではロフト角10.5度ではどうなのでしょうか。
実はロフト角が大きいほど飛距離は伸びます。
分かりやすい例でいくと、ホースで水を遠くへ飛ばすことをイメージしてください。
45度でホースを構え、ホースの口を指で潰して水圧をかけると水は遠くへ飛びます。
しかしホースの角度を少なくすると引力に掴まってしまい水は遠くへ飛びません。
理想の放物線があるのです。
ドライバーのロフト角でも同様のことが言えます。
ドライバーショットでは打ち出し角を決めるのは、ロフト角・ブロー角。ボール初速です。
ですからダウンブローでスイングスピードが遅い人はロフト角を大きくすべきで、アッパースイングでスイングスピードが速い人はロフト角を小さくすべきなのです。
アマチュアのヘッドスピードの平均は40.21m/s、ブロー角の平均が+2.5度のアッパーブローです。
故に一般的なゴルファーであれば、10.5度もしくはそれ以上のリアルロフト角のドライバーが最大飛距離を叩き出せると言うことになります。
男子プロゴルファーが使うドライバーのロフト角は9.5?10.5?
プロゴルファーが使うドライバーのロフト角は9.5度が多いのか、それとも10.5度が多いのか、ヘッドスピードが速いのですから前者であるように思えますが、実際はどうなのでしょうか。
すべてのプロゴルファーのセッティングを比較していたらキリがないので、ここでは飛距離を出す飛ばし屋ゴルファーたちのセッティングを見ていきましょう。
平均飛距離ランキング1位のローリー・マキロイは9度のドライバーを使用しています。
過去にはなんと7.5度を使用していた時期もあるようです。
ヘッドスピード53.52m/sですが、それ以上にパワフルなスイングなので実現する飛距離なのでしょう。
次に平均飛距離ランキング2位のダスティン・ジョンソンは10.5度のドライバーを使用しています。
意外な感じがしたかもしれませんが、彼のヘッドスピードはPGAではトップクラスではないのです。
悲願の初優勝を飾った全米オープンでは11度のドライバーを使用していたようです。
そして日本が誇る松山英樹は9.5度のドライバーを使用しています。
彼のヘッドスピードは50.44m/sなので先に話した通り、9.5度が最大飛距離を出せるベストなロフト角なのです。
女子プロゴルファーが使うドライバーのロフト角は9.5?10.5?
それでは女子プロゴルファーが使うドライバーのロフト角は9.5度が多いのか、それとも10.5度が多いのか、それともそれ以上のロフト角を使用している選手が多いのかを見ていきましょう。
ここでも飛距離ランキング上位の選手に絞って見ていくことにします。
(女子は親近感のある日本ツアーの選手たちにします)
飛距離ランキング1位の葭葉ルミは、10.5度のドライバーを使用しています。
ヘッドスピードは女子ではかなり速めの47m/sです。
そして飛距離ランキング2位の川岸史果は、8.5度のドライバーを使用しています。
葭葉ルミのヘッドスピードにも驚かされましたが、彼女のヘッドスピード50m/sです。
8.5度は少し行き過ぎな気もしますが、世界のレキシー・トンプソンと並ぶ飛距離を出すくらいなので、彼女に合ったロフト角なのでしょう。
また平均飛距離ランキング3位の穴井詩は、9.5度のドライバーを使用しています。
彼女のヘッドスピードは45m/sと上位2人に比べると遅めです。
しかし彼女の力強いスイングには9.5度が合っているのでしょう。
こう見るとヘッドスピード50m/sを超えない女子プロゴルファーでも、好んで10度を切るドライバーを使っているようです。
米国人と日本人のロフト角に対する考え方の違い
日本のゴルフショップへ行くとロフト角9.5~10.5度のドライバーがたくさんあります。
しかしアメリカのゴルフショップへ行くとロフト角12度以上のドライバーがたくさんあります。
これには米国人と日本人のロフト角に対する考え方の違いがあるようです。
米国人はロフト角が寝ているほど易しいクラブだと考えますが、日本人はロフト角が寝ているクラブは飛ばないと考えています。
日本ではドライバーを購入する際の優先順位は飛距離であり、易しさを求めるよりも、とにかく飛ぶ可能性のドライバーを求める人が多いのです。
対してアメリカでは、ドライバーには易しさを求めるゴルファーが多いのです。
もちろんどちらが良くてどちらが悪いと言うことはありません。
しかしクラブは背伸びをしたクラブを使っていても決して上手くはなりません。
たかがロフト角で!と思われる方もいるかもしれませんが、飛距離だけでなく、飛びの安定やスイングの上達にロフト角は大きく影響します。
無理して合わないものを使うよりも思い切ってプライドを捨てて、自分にしっかりと合ったクラブを使うことをオススメします。
どうしても使いたいのならそれを目標に
ゴルフを長くしているとクラブを買い替える機会は何度も来ます。
ロフト角が少ないものを使って格好良く飛ばしたい気持ちは良く理解できます。
しかし今は身の丈に合ったクラブを使用して、今の実力で飛ばせるところまで飛ばすべきです。
練習を重ねヘッドスピードもついてきたら、その時にロフト角が少ないドライバーに挑戦してみてはどうでしょうか。