坂田塾の塾長として有名な坂田信弘プロが、肩を故障した時期に考案したのがジャイロスイングです。
抜群の方向性とミート率の向上は、アベレージゴルファーにとって垂涎の打法となっているようですが、そのメカニズムと効果について確認していきたいと思います。
坂田信弘が開発したシニア向けのジャイロスイングとは
坂田信弘と言えば「坂田塾」も塾長として名を馳せています。
その独特なレッスン法はジュニアからシニアまで、確かに上達すること間違いなしですが、難しい問題がある練習法でもあります。
坂田信弘は元々執筆業で大当たりして、その収入を元手にジュニア育成を行ったプロゴルファーです。
最近流行の裾野を広げる社会貢献活動とは違い、始めるときに「プロゴルファーを目指す」ことを誓わせて、世界に通用するプロゴルファーの育成をするのが坂田塾です。
クラブを握ったことのない子供が、1年程度でシングルになるのですからその効果は絶大です。
ただ大人が同じ練習をやろうとすると、長続きせずに結果を実感する前に止めてしまうほどの練習法なのです。
練習自体はとてもシンプルで、フェースでミートするためにわずかな稼働(スイング幅)から始め、徐々にその範囲を広げていくだけです。
でも大人の場合には毎日300球~400球を打つのも大変ですし、スイング幅の狭さからストレスを感じて身につく前にリタイアしてしまうようです。
そんなストレスがないシニアのためのスイング法として、坂田信弘がジャイロスイングを開発したので、そのメカニズムと練習法について確認していきます。
坂田信弘のジャイロスイングはヘリコプターの羽のように振る
坂田信弘はジャイロスイングをシニア向けと紹介していますが、実際には今日始めた方や女性ゴルファーなどにも向いていますし、中級までのレベルであれば効果の高いスイング法だと思います。
ただし「絶対」ではないので、実際に取り入れてみて合わない、もしくは格好悪いから嫌という場合には、無理に取り入れるほどのことはないと思います。
まずジャイロスイングについて確認します。
一般的なスイングは、スタンスを肩幅に広げて、左肩を回しながら身体を捻転します。
トップの位置から再現性をイメージしてダウンスイングして、インパクトゾーンでフェースを合わせ、インパクト後にフォロースルーをとりフィニッシュを迎えます。
ところが坂田信弘のジャイロスイングにはこれらの一切の動きがなくなります。
ジャイロスイングは、その言葉の通りヘリコプターの羽のように回転するスイング法です。
足を揃えて1本の軸にして、腕を伸ばして右から左へヘリコプターの羽(ジャイロ)のように回転させる打法です。
普通のゴルフをしている人にとっては「ナンダそれは!」と怒りが沸くようなゴルフスイングですが、実際に振ってみると方向性は良くなり、しかもミート率が上がるのでミスショットがなくなります。
もちろん欠点もありますので、もう少しジャイロスイングについて確認していきます。
パワー不足の人には坂田信弘のジャイロスイングがオススメ
坂田信弘が提唱するジャイロスイングは、究極の1軸打法なので、テークバックでもトップの位置やインパクトの膝や腰のバランスなど考える必要はありません。
もちろん捻転という概念も消えて、単に自分自身がコマのようクルクル回れば、あとは勝手にボールが飛び出していくわけです。
ジャイロスイングを試したことがないと「どこに飛んでいくのか不安」と方向性を心配するかもしれませんが、たぶん貴方がいままでやってきたスイングの中で、もっとも安定してターゲットの方向に打ち出すことができるはずです。
またダフリやトップなどのミスショットも減り、確実にスイートスポットで捉えることができるようになります。
ただしヘリコプターの羽のように回ると言っても、実際には半回転だけなのでパワーが不足します。
つまり飛距離が落ちることになるわけです。
確かに力も入れずにブーンと振っただけですから、強いインパクトを期待することはできません。
ただ中級者までであれば、スイートスポットで捉えるミート率を考えると、平均飛距離で比較すると大差はないかもしれません。
また女性ゴルファーやシニアゴルファーの中でも、日頃からパワー不足を感じている人にとっては、ジャイロスイングでも飛距離は変わらないと思います。
坂田信弘のジャイロスイングの肝は芯に当てること
では実際のジャイロスイングについて確認します。
最初にこのジャイロスイングを提唱した坂田信弘が言うには、「習得するまで2か月を要する」そうです。
長いキャリアを持つゴルフ経験者でも、たぶん1度も自分がヘリコプターのように動くスイングをしたことはないと思います。
ですからいくら飲み込みが早いタイプでも、やはり2か月は練習しないと効果を実感することができません。
この練習をするには短いクラブで始めます。
ピッチングを握りますが、最初のうちはティーアップしたボールを打つことになります。
これはジュニアを教えている「坂田塾」と同じ考え方で、最初からスイートスポットで打つことを目的にします。
逆に言うと、何百球打ってもスイートスポットで捉えていなければ、意味のないものになってしまいます。
もちろん練習には過渡期があるので、「今はダメだけど後から・・・・・・」と考えれば、進化の過程での失敗と理解することもできます。
打ち方は両足の踵を揃えて立ち、つま先は開きます。
あとは肩・腕・グリップ・シャフト・ヘッドが一対になって横振りをイメージしてスイングします。
気をつけなければいけないのは、手(腕)振りしないことです。
あくまでの一対の気持ちでスイングすれば、すぐに手ごたえを感じることになるはずです。
坂田信弘のジャイロスイングは1回目から効果実感できる
実は1回練習しただけでジャイロスイングの効果を実感できると思います。
なにせ難しいところがまったくないので、ボールに当たりだしたら、あとは飛距離アップの練習をするだけです。
ただし踵を軸にして回るために、ジャイロスイングの途中でバランスを崩すことがあります。
これは「強く打とう」という思いによって中心軸が傾き、結果的にバランスを崩す原因となっているわけです。
一般的なスイングで強く打つには、より捻転を強くして、クラブヘッドの稼動範囲を広げるしかないわけです。
でも無理なスイングをするのであれば、敢えてジャイロスイングを取り入れなくても、ノーマルなスイングにしたほうが安定したボールを打てるはずです。
ちなみに坂田信弘が指導するジャイロスイングは踵を軸にしますが、多くのプロゴルファーが実践しているボディーターンも理論的には同種のスイングとなります。
ですから実践(コースでラウンド)で、バンカーや深いラフなど回転軸が取りにくいライでは、敢えてジャイロスイングにこだわる必要はありません。
狭いスタンスでジャイロスイング風のボディーターンをすれば、同じ感覚で楽にショットをすることができると思います。
坂田信弘はジャイロスイングを不格好なスイングと言う
そんなにすばらしいショットであればもっと多くの人がジャイロスイングを取り入れていると思うのですが、実際の普及率はそうでもなさそうです。
もちろん体験者の多くは絶賛していますが、コースでジャイロスイングをしている人は見かける機会は少ないと思います。
その理由は「不格好なスイングスタイル」にあるようです。
提唱者の坂田信弘自身も言っていますが、とにかく格好の悪いスイングです。
スイングの動きもそうですが、ショットしたあとのフィニッシュの体勢も、憧れのスイングとは言い難いものがあります。
結果としてゴルファーにとって1番肝心なスタートホールでは、同伴者以外のプレイヤーもいることから、他人の目を気にして使うことができないというマイナス面が指摘されています。
これはスコア重視のコースマネジメントで、ロングホールのティーショットで5番アイアンを使うのと同じように感じているのかもしれません。
まして仕事絡みのラウンドでは極端に違うプレースタイルに抵抗を示す人もいるでしょうし、雨で芝が重くなっているときやアップダウンが強いレイアウトではヘリコプター式のジャイロスイングは難しいかもしれません。
「このスイング以外に道はなし」といったスイング法ではないので、臨機応変にジャイロスイングをすることで、今よりも安定したスコアアップが期待できるでしょう。
坂田信弘のジャイロスイングはどこで使うか?
身体に負担がなくボールをコントロールできる坂田信弘式のジャイロスイングですが、カップを狙うショートアプローチなどの小技には向きません。
あくまでもドライバーなどで使うショット法なのですが、踵を軸足にその場で回転すると、貴重なティーグランドの芝をちぎることにもなります。
アマチュアゴルファーとして、どの場面で使ったらよいかも考えながら取り入れてみてはいかがでしょう。