どんなシーンでも器用に打ち分けることができる丸山茂樹のショットは誰しも憧れるところです。
特に力まないスムーズなスイングは、アマチュアゴルファーも参考にしたいところです。
そこで「丸ちゃん」のスイング理論を確認しながら、クラブの振り方について考えていきたいと思います。
丸山茂樹のスイング理論は技術に裏付けられている
もって生まれた天性の素質と言えば身も蓋もありませんが、丸山茂樹とはそんなプロゴルファーです。
どんな球筋でも打てますし、スイングスタイルも臨機応変に選択できる技量があります。
風が強ければ低い弾道で、ピンポイントで狙いたいときは高い弾道で、たぶん「得意なクラブは?」の問いがあれば「全部!」と答えるかもしれないほどの器用さを持ち合わせているゴルファーです。
高校時代には将来の逸材であることは周知の事実となっていて、進学した日大ゴルフ部では丸山茂樹のために伝統変更を条件に勧誘したという逸話があります。
それまでの日大ゴルフ部と言えば、先輩後輩の関係が厳しい体育会系で、1年生は練習場でボールを打つことすらできない部活だったのですが、丸山茂樹は「いたしません!」で1年からエースとして活躍した選手でした。
これはゴルフ界でも「あの日大が・・・・・・」と驚くほどの大ニュースとなったほどです。
青木功・尾崎将司・中嶋常幸に続く逸材と、またそれを超えるかもしれないとまで言われたのですが、本人の希望もあってステージを国内ツアーから米国主体の海外ツアーへと移します。
そのために勝ち星などでは国内で突出したものを残すことはありませんでしたが、技術やスイング理論には定評があり、リオオリンピックでは監督に就任したほどです。
丸山茂樹のスイング理論はスイングプレーンにあり!
丸山茂樹のスイング理論、ゴルフ理論はシンプルです。
まず自分の目指すスイングを理解すること、そして現状のスイングを確認して、その差異を口で説明することです。
言葉で説明できないのであれば、分かっていないと考えています。
「下半身が流れてミスショット」なんて言葉は、何も分かっていないと同じことと考えているようです。
トップからダウンスイングに入るときに腰の回転が早すぎて、右肘が下がったために右肩が下がり、フェースがスクエアに入ることができなかったと言うような答えが第1歩で、そこからどう修正するかを導くことが必要なわけです。
ですから自分の目指すスイングを明確に伝える能力が必要、そして現状を分析できる理解力も必要となります。
丸山茂樹自身のショットを見ると、無理なスイングはしていません。
軽やかでゆったりとしたスイングには安定感があります。
テークバックはヘッドから動かし、そのままグリップ・腕・肩と連続して動き出します。
トップの位置は決して高いとは言いがたく、トッププロの中では低いほうかもしれません。
どちらかと言うとインサイドインを意識した横振りタイプで、コックの使い方がとても上手、そして米国ツアーで磨いたスティンガーショットが最大の武器といったところです。
丸山茂樹のスイング理論は引きも下ろしも一緒?
もう少し細かく見てみると、まずは丸山茂樹の身長の公称169センチは若干サバがありそうな気はします。
なぜならクラブを構えたときのシャフトの長さ(ボールとの距離)が、同じ身長の人たちよりも遠いように思えるからです。
しかも丸山茂樹のグリップの握り方は、どちらかと言うとハンドダウン気味なので、普通で考えればボールの位置はさらに近くなるはずです。
ただこのちょっと長めと思えるシャフトを上手に操り、スイートスポットで捉えています。
特にアイアンのスイングではトップの位置が低いために、テークバックのプレーンとダウンスイングのプレーンが同じ軌跡を作ることになり、まさに再現性の高いスイングとなっています。
一般的にはテークバックでは縦に引き、ダウンスイングで横に振ることになりますが、丸山茂樹の場合にはどちらも横振りなので、スムーズなスイングをすることができるのだと思います。
この「引きも下ろしも一緒」のところがシンプルなスイング理論の持ち主と言われるところです。
ミート率が重要!丸山茂樹が大事にするスイング理論の根本
丸山茂樹のスイング理論では正確なショットが大切であると考えていて、そのためにはミート率が完成度の目安となります。
言い方を変えればスクエアにフェースを合わせることが大切だということです。
そのためには無理なスイングはしません。
左肩は中心軸を外転させるのではなく、右肩を後ろに引くことでグリップをトップの位置まで引きます。
そのためテークバックでは軽く右側に体重が移動します。
ここで大事なことは左手首の形成です。
コックを固めることで、インパクトのときにヘッドを走らせること、さらには「前さばき」の上手さが光るスイングが可能になります。
コックとは左手の親指と左腕が直角になるときの形です。
グリップを握りクラブを立てたときにできる親指の角度がコックと言うわけです。
一般的にボールの後ろにヘッド置いたときは、親指と腕に角度はできませんが、丸山茂樹はハンドダウンで構えるために、若干コックが形成されています。
そしてテークバックの早いうちにコックは固まり、ダウンスイングが開始されるわけです。
丸山茂樹のスイング理論はスクエアなフェースがポイント
形成されたコックのままでダウンスイングをすると、グリップエンドがボールに向かって降りてきます。
そのまま振れば空振りですが、インパクトゾーンに入るとグリップエンドは自分の身体のほうを指します。
正確には「指します」ではなく、指すようにグリップエンドの方向を「変えます」と言うことになります。
この動作によって飛球線に対して平行だったシャフトは垂直に変わるわけです。
つまり、インパクトゾーンのわずかな間隔でヘッドが走り、スクエアなフェースとなったことになります。
文字で記すと簡単そうですが、実際にはそのタイミングがズレると、スライスしたりフックしたりとコントロールを失ってしまいます。
ましてプロのスイングスピードは一般ゴルファーよりもはるかに速く、タイミングを合わせるのは難しいはずです。
ただ、しっかりしたスイング理論に裏打ちされたスイングなので、仮にブレたとしてもすぐに修正できるところが、丸山茂樹が天才と呼ばれる要因になっていると思います。
丸山茂樹自身が自分のスイング理論を実践してほしい
丸山茂樹のゴルフ理論をしても解決できない問題もあります。
それが本人も病んでいると言われるイップスです。
丸山茂樹の場合には小柄な体格でメジャーを戦ってきたこともあり、外的な怪我も多く正常なスイングができなくなっているという噂もありますが、多くのファンが認めるところはドライバーイップスの症状が悪化していることです。
未だに青木・尾崎・中嶋がステージに立つ中、時代を背負うとまで言われた丸山茂樹がその解説者をやっているというのは、クラブを握れないほどの深刻なものなのでしょう。
ドライバーイップスには、クラブを引けない場合と振り下ろせない場合があるようです。丸山茂樹は引けないイップスだそうで、技術的なものよりも心理的なものが原因と言われています。
一説では「呼吸を止める」ことが引き金になっているので、ボールの後ろにヘッドを置いたときの無呼吸に原因があったとも言われています。
いずれにしろ、まだ若い部類にいるので、早く復活して丸山茂樹のスイング理論を実践して欲しいと思います。
丸山茂樹は体型を自覚したスイング理論を立てた
丸山茂樹のゴルフスイングは「身体が小さい」ことを自覚して、ヘッド(頭)を残してヘッド(クラブ)を先行する「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」を基本にしています。
これは強引なスイングをしなくても十分な飛距離を得ることができ、しかも簡単にボールコントロールができる理想的なスイングと言えます。
ただしインパクトで「く」の字に曲げた姿勢は故障の原因ともなるので、一般ゴルファーには注意が必要です。