小柄な宮里藍選手はゆったりとしたスイングですが飛距離は男性並み、250ヤードと言えばもしかするとそれ以上飛んでいるかもしれません。
そこで飛距離の秘密について連続写真を参考に、小柄であっても遠くに飛ばせる方法について確認していきます。
宮里藍プロの飛距離の源をスイングの連続写真で分析
ゴルフは道具を使うスポーツですから、ボクシングなどと違って身長や体重の影響が最小限と言われています。
それでも大きな人はよく飛ぶような気がしますし、削れたターフの大きさにも違いがあるように思えます。
体型的には決して恵まれているとは思えない宮里藍選手ですが、米国ツアーをはじめ国内外で活躍してきた実績があります。
ただ155センチという宮里藍選手の身長は、アスリート同士で比べるほどもなく、一般ゴルファーの中でも小さな体型に分類されると思います。
それでも彼女のヘッドスピードは40m/sを超えていて、一般男性と同じくらいの速さで振り切っています。
しかも緊張感のある米国ツアーでの平均飛距離は250ヤードですから、もしかすると男性以上に飛んでいるかもしれません。
世界の女子プロの中でも飛距離で上位にいる宮里藍選手のスイングを詳細に分析することで、その飛距離の元を探っていきたいと思います。
まずは宮里藍選手のスイングを連続写真で見比べてみましょう。
宮里藍選手のドライバーのスイングを連続写真で確認する
ネット上で確認できる宮里藍選手の連続写真は、ドライバーのスイングとアイアンのスイングがあります。
まずはドライバーのスイングが写っている連続写真から確認します。
最初に気になるのはスタンスの幅です。
基本的には腰を落として構えるタイプなので、155センチの身長は膝の曲げと上体の前傾で、140センチ台にまでなっているように見えます。
しかも通常の肩幅よりも足底半分から1足分外側に広く取っているので、さらに肩の位置は低く感じられます。
ただ細い身体で長いクラブを振り回してもブレないようにするためには、下半身の安定は不可欠なのかもしれません。
次に宮里藍選手の特徴的な姿勢がハンドファースト系のアドレスです。
ボールの位置よりも前に左手の甲が出ているのはハンドファーストですが、宮里藍選手は左肩からまっすぐに腕を伸ばし、その延長線上にクラブのシャフトがある構えをしています。
一般的にボールの位置は左足内側のくるぶしの延長線上ですが、宮里藍選手の場合にはそれよりも内側(身体の中心線に近い)位置にあります。
実はここに彼女の飛距離が伸びている原因があるのです。
連続写真でスイング分析して宮里藍選手の飛距離の秘密を探る
宮里藍選手のスイングを連続写真で確認すると、テークバックでヘッドを引くとき、体重が右側に移動していることが分かります。
この大きな原因は、アドレスのときにまっすぐ伸ばした両腕の形を変えずに、そのまま時計の針が3時を指すところまで上げていくからです。
当然、身体は右側に傾くはずですが、宮里藍選手の身体は地面から垂直の状態を保っています。
それは右腰の付け根を右後ろに引き、両肩ごと回転しているからです。
その腰の回転の結果、右足の上に体重が移動します。
ここからが宮里藍選手の独特な動きで、右足を軸にして左肩を回すイメージで捻転してスイングしています。
最初の両腕を3時の位置にもっていったことで、左肩甲骨は左サイドに目いっぱい移動しています。
さらに左肩を大きく回したことで、小さな身体でも大きなスイングが可能となったわけです。
宮里藍選手の連続写真で見つかるスイングの特徴の違いとは
しっかりと捻転したテークバックでトップの位置までグリップを上げますが、連続写真を見るとかなり高い位置だと気がつくと思います。
通常のゴルファーのトップの位置は右耳の少し上ですが、宮里藍選手のトップはキャップ(頭)の上にあります。
身長が低いのに腰を落とし、しかもスタンスを広げていたので、普通に考えれば低い位置からスイングは始動することになりますが、敢えてトップの位置を高くしていることで、最初のマイナス面をカバーすることができています。
ここで大事なことがあります。
確認している連続写真がいつのスイングだったかと言うことです。
宮里藍選手は国内で大活躍していたデビュー後の前期と、米国でスランプ後に復活した後期ではスイングが大幅に違います。
いくつかの違いの中でもっとも変更した部分はコックです。
元々ジュニア時代からノーコックのスイングだったので、グリップを握る親指と腕が一直線になるような形でインパクトしていました。
ところが後年は、トップの位置で親指と腕が直角になるコックが形成されています。
もちろんコックを使ったほうが柔らかいスイングで飛距離を稼ぐことはできますが、一方でコックを解くタイミングを間違えるとプッシュアウトや強烈なフックになることがあります。
宮里藍選手はそのリスクを侵しても、メジャーで戦うためには飛距離を求めたのだと思います。
連続写真で宮里藍選手を見ると右腰で打つスイングかも
小さな身体でも飛距離を出せるスイングを確認しているので、ここではコックを使った宮里藍選手の連続写真を見ていきます。
トップの位置でコックを固めているので、ダウンスイングでは腰の開きが先行します。
トップの位置でおヘソが後方を向いていたのに、ダウンスイングを開始すると一気にインパクトの位置に戻します。
そのためグリップが遅れてきますが、このとき左腕は真っ直ぐで右肘が折れた状態にしているので、腰を境に「く」の字に折れます。
ただし上体が右側に折れたのではなく、腰が先行しただけなので頭の位置は変わっていません。
文字にすると複雑なスイングに感じますが、実際には誰もが行っている普通のスイングです。
ただし宮里藍選手の場合にはフェースをシャット気味にしていて、スイングプレーンがインサイドアウトになっているところがちょっと違うかもしれません。
イメージ的には右腰で打つ野球のスイングのように、右サイドでクラブを振っているように見えます。
ポテチを咥える?宮里藍の連続写真で見えないスイングの肝
トップで作ったコックを戻すとボールの手前でダフってしまう可能性があります。
そこで曲げていた膝を伸ばし腰の曲げも真っ直ぐにして、しかも背伸びをするようなくらい踵を上げた姿勢をとります。
そうすることで、コックを解いてわずかに長くなったヘッドの位置を調整することで、不安なくヘッドを走らせることができるようになります。
宮里藍選手の連続写真で確認すると、このコックを解くタイミングと姿勢が飛距離を伸ばす大事なポイントとなっているようです。
さらにインパクトのときガニ股にしていることで、先行している腰にタメを作って左側に逃げないようにしていることも、ボールに反発力を与えることに繋がっているのだと思います。
連続写真だけで見ると強いインパクトを想像しますが、実際の宮里藍選手は力を入れないスイングを心がけていたようで、そのユニークな練習方法はぜひ1度は試してほしいものです。
それはポテトチップスを1枚噛んで、スイングして割れなければOKという方法。
首や顎に不必要な力みがなくなり、飛距離アップに繋がったそうです。
これは1度やってみる価値ありそうですね。
宮里藍選手の「スイングの肝」は命がけ?
タイガーウッズが力みのないスイングを習得するために舌を出してクラブを振っていたそうですが、失敗したときのことを考えると、宮里藍選手のポテトチップのほうが安心できますね。
さすがに命を懸けて力まないスイングを習得するのは、アマチュアゴルファーには厳しいかもしれません。