フェースを開くとシャンクが出やすい。その仕組みを理解する

最終更新日:2017/08/15

『シャンク』。

ゴルフスイングでこれ程恐ろしい病はパターのイップスと並んで多くのゴルファーを悩ませます。

また、シャンクは一旦出るとまた再発する可能性の高い事、心理的に恐怖感が生まれる為スイングに力みが伴ってしまい、またシャンクしてしまうといった症状が現れやすくなります。
特に、フェースを開くショットにシャンクは発生しやすいと言えます。

では、シャンクはなぜ起こるのか、そのメカニズムと対策を見ていきましょう。

フェースを開く事で発生するシャンクはスイング軌道が原因

アプローチやバンカーショットなどフェースを開く必要のあるショットを打つときに発生するシャンクは、その理由のほとんどがスイング軌道によるものです。
特にフェースを開いてインサイドアウト軌道で振ると、いずれかなりの確率でシャンクします。

しかしそれはなぜでしょう。

これは、フェースを開いて構えた分、ヘッドのネック部分が先にボールに向かう事になるからです。
右打ちでのインサイドアウト軌道ではインパクトに向けて左脇が開きやすくなり、ヘッドが外側に向かっていきます。
左脇の締まった状態で上半身をターンさせる事ができればよいのですが、左脇の締まりの甘いスイングは開いていく状態でインパクトを迎えます。
すると、フェースではなくネックの部分にボールが当たり、結果右へ飛ぶシャンクとなります。

これを防止するには、左腕上腕部を右手で押さえてスイングしてみると良いでしょう。
左脇を締めたまま、上半身をくるっと回転させられるはずですし、スイング軌道もインサイドインか真っ直ぐなイメージになるはずです。

この動きならシャンクする事はありません。

フェースを開く事で発生するシャンクとは違うスイングでのシャンク

突然アイアンスイングでシャンクが発生する事がありますよね。
フェースを開く様なある意味特殊なスイングではなく、通常のショットで発生するシャンクです。

これにはいくつか原因があるのですが、一番発生原因として多いのがスイング中の左脇の締めが甘くなる事です。

インパクトでは、アドレスで構えた場所よりも手が前に出れば当然シャンクします。
腕の力を使ってスイングする人に多いのですが、スイング軌道がアウトサイドではなくインサイド寄りから下りてくるとシャンクを誘発します。

ただ、この軌道でスイングできるという事は惜しいと言えるので、ちゃんと飛ばすよりも前にシャンクを直さなければなりません。

この様なシャンクは、動画を撮影してみると分かりやすいのですが、左腕がつっぱって右肩が落ち、無理にインサイドアウトに振っている様な形になっているはずです。
恐らく、右足踵も上がっており、左サイドが窮屈な形に見えるはずです。
当然、構えた時よりも左腕と体の距離は離れており、クラブのネックにボールが当たりやすい形になってしまっているはずです。

スイングはバランスが大切です。
右足踵を上げない様にして、右サイドの力を使ってスイングしてみてください。
上手く上半身が回転できればシャンクは収まるはずです。

シャンクはシャフトが寝る事によって左脇が開く事で起こる事もある

通常のスイングでシャンクが出る理由について触れましたが、他にもよくあるパターンとしては、ダウンスイングでシャフトが寝る事によっても発生します。

ダウンスイングでクラブが寝ているのでクラブフェースは開きます。

ダウンスイングの形をとってシャフトを後ろ側に寝かしてみてください。
どうでしょう、フェースが開くと思います。
この状態でボールを打ちに行くとフェースが空を向いた様な感覚になるはずです。
そして、この状態は必ず左脇が開くので、シャンクします。

つまりシャンクしない様にする為にはクラブを立てなければなりません。
スイング中、クラブには遠心力が働くので、左手や左腕の力だけでクラブを立てるのは至難の業と言えます。

そこで右手の力を使ってクラブを立てる事ができるのですが、これはシャンクを止める為の対処療法に過ぎません。
そもそもダウンスイングでクラブが寝る事を直さなければ、またいつシャンクが発生してもおかしくないのです。

その為には、ダウンスイングでグリップエンドを引っ張り下ろす様なイメージにしてください。
また、トップからの切り返しを腕ではなく左足の踏み込みで行う事によってクラブを立てる事ができます。

クラブが寝るのは腕の力でスイングしているからなのです。
対処療法ではなく、そもそもの原因を取り除く事ができれば、スイングのシャンクは止まります。

フェースを開く事によってボールとのコンタクト面積が小さくなる

アドレスでフェースを開くと右回転させた分(右打ちの場合)フェースの奥行がなくなります。
当然、ボールと接する幅が小さくなる訳ですので、その分シャンクが起きやすくなるのが分かりますよね。

ボールを高く上げたい、スピンを効かせたい時にフェースを開くと思いますが、こうしたスイングをする時は左脇の締まりと体重移動に十分注意する必要があります。

特にこうした特殊なショットを打つときはフルショットではありませんよね。
フルショットでない分、スイングに緩みが生じやすくなります。
この事がシャンクを発生させる事の大きな理由になるのですが、ボールと接する面積が小さく、スイングに緩みが発生しやすいという事を意識してフェースを開く様なショットの練習を行ってください。
特に、何度も言っている様に左脇の締まりは必須です。

よく、左脇の締まりを意識するとスイングが窮屈になってやりづらいという方がいますが、それで良いのです。
自由に腕が動いて腕や手の力だけでスイングしていると、脇の締まりと言うのは非常に窮屈に感じるはずです。
腕の自由を制限して練習する事にシャンクを無くす効果があるのです。

トッププロでもフェースを極端に開くショットではシャンクする事もある

トッププロでもフェースを多く開くとシャンクする事があります。

アプローチでピンに向かって下りでエッジからピンまでの距離がない時、プロはフェースを極端に開く事で飛ばさずふわりと上げるボールを打ちます。

しかし、このショットには大きな副作用を伴います。
フェースを極端に開いている分、シャンクのリスクが高まるのです。

実際、多くのプロがこのロブショットを打つときにシャンクが発生しています。
フェースを開いて打つだけのこのショットには、高度なテクニックが必要で、同時に高いリスクを伴います。

しかし、ピンに寄せなければならない、1打を犠牲にする訳にはいかないプロの世界では、時にこうしたリスクのあるショットをしなければならない時があります。
また、プロのツアーが行われるコースのグリーンは普段アマチュアが回る様なグリーンと違ってボールが転がるスピードが非常に速いのです。

こんなショットを求められる様な場所に打つ事自体がペナルティーとなって襲い掛かってくるのがプロ用のコースセッティングなのです。

シャンクを恐れず、フェースを開く事を覚えればゴルフの腕前が上がる

フェースを開くとシャンクしやすいのですが、フェースを開いて打つとどうなるのか、閉じて打つとどうなるのかといった事を練習で感じる事は、ゴルフを上達する上で非常に有効です。
特にフェースを開く事でボールがどの様に飛ぶのかを知る事で、バンカーショットが苦手でなくなります。

アマチュアゴルファーが最も苦手とするバンカーショットは、実はフェースの開き方、打ち方を知れば全然怖くなくなります。
シャンクを恐れずに思い切りフェースを開いてショットすれば、ボールはふわりと上がるからです。
このふわりと上がる、上げられる感覚が大切なのです。

また、フェースを開くとフルショットしてもボールは番手通りには飛ばない事も分かるはずです。

こうした感覚を養う事でゴルフの腕前が上がる他、アプローチの引き出しにもなります。シャンクを恐れず、思い切りフェースを開く様なショットで練習を楽しんでみてください。

クラブの特性上、フェースを開くとシャンクしやすいのは仕方ない

ゴルフスイングでフェースを開く事は絶対に必要な時があります。
しかし、フェースを開く分シャンクのリスクにさらされる事も事実です。

でも正しい打ち方、シャンクしない打ち方を身につければシャンクは全く怖くなくなります。

いつまでも間違った打ち方でシャンク病に悩まされるゴルファーは、シャンクのメカニズムを知る事で突破できる様になるはずです。

シャンクは嫌な物で、その後のスイングにも影響します。
その為、できるだけ早くその原因を知る事が重要です。