上体がブレないダウンスイングをするための左肩甲骨の使い方

最終更新日:2017/07/17

肩コリの時くらいしか気にしない肩甲骨ですが、ゴルフでもっとも大切なインパクトの瞬間を確実にするには、ブレないダウンスイングが必要です。

そのためにはグリップ主導のスイングよりも、左肩甲骨を意識するスイングへと変えることが大切です。

意識を変えただけで簡単にできる左手主体のスイングについて紹介します。

左肩甲骨主導でテークバックやダウンスイングを行う

ゴルフスイングで「肩を回す」という言葉を聞いたことはあると思います。
テークバックで左肩を十分に回すことを「肩を入れる」なんて表現することもあります。
ここで肩について考えてみたいのですが、「肩を回す」ときの肩とはどこの部分を差しているのでしょう?

スイングの観点で考えると左肩は、身体の中心軸から一番遠い肩の端、つまり上腕関節の外側のことになると思います。
確かにクラブを引き上げるとき、肩を回さず腕だけでもトップ位置と同じ高さまでグリップを上げることはできます。
ただ左肩の先端をできるだけ回す「捻転」で考えると、身体をねじったほうがダウンスイングのときに、パワーを伝えることができると考えても普通のことだと思います。

一方で左肩の先端を回すイメージを強くすると左肩は落ちてしまいがちです。
前傾させた上体で左肩を回すと、当然のごとく左肩は下方向、右肩は上方向になっているはずです。
普通に考えると何の不思議もありませんが、ゴルフのスイングでは「左肩が下がるのはダメ」なことと言われています。

左肩を下げずに回す方法は、左肩甲骨を上手く使うことに答えがあります。

左肩甲骨を意識したテークバックで左肩は下がらない

左肩甲骨の使い方はテークバックとダウンスイングで違います。

まずはテークバックから説明します。

テークバックで左肩を回すとき、上半身は肩と肘と手首を基点にすると思います。
一方で下半身は膝、腰がポイントになるのではないでしょうか。

でも実際はグリップの軌道、つまりグリップから繋がるクラブヘッドの動きが大事になってきます。
クラブヘッドが大きな弧を描くようなテークバックをするとき、グリップはまったく違う動きをします。

最初は両腕がほぼ均等の長さで身体から離れたところにグリップはあります。
このときヘッドはボールの後ろにあり、ここからテークバックが始まります。
グリップは引き上げるにしたがって、身体に近づいてきて右耳の少し上辺りでトップの位置となります。
一方でクラブヘッドは綺麗な弧を描いて身体の左側まできています。

通常はこのようなイメージでテークバックをしていると思いますが、ここで視点を変えます。

テークバックのときには右肩甲骨を背骨側に移動させるイメージを持ってみましょう。
右肩を引くことで結果的に左肩が回ることになり、しかもそのとき左肩が下がることはなくなっているはずです。

左肩甲骨を意識したダウンスイングで右肩は下がらない

左肩を回すイメージではなく、右肩甲骨を背骨側にスライドするイメージでテークバックすると左肩は下がりません。

このとき左肩甲骨は、外側にスライドして背骨から離れていきます。
左肩甲骨はトップの位置でもっとも外側にスライドした状態になります。

そしてこの左肩甲骨を意識してそこからダウンスイングを行っていくのです。

通常はグリップを意識してダウンスイングをすると思いますが、これも間違いではありません。
トップの位置からグリップエンドの方向を考えてダウンスイングすると、綺麗な弧を描くスイングプレーンができるはずです。

でもここでは、テークバックで最大限外側にスライドさせた左肩甲骨を、逆方向に移動させるスイングを目指します。
テークバックで「肩が外れそう」なくらい左肩甲骨を外側に移動しましたが、ダウンスイングではその左肩甲骨を背骨側に移動させるということです。

こういったイメージを持つと左手主導のスイングになり、フックの原因となる右手のパワーを弱めることができるようになります。

またテークバックで左肩が下がった反動で、ダウンスイングのときに右肩が下がることもなくなるはずです。

「天使の羽」と言われる左肩甲骨を使ってダウンスイングする

ここで1度、「天使の羽」とも言われる肩甲骨の構造について確認しましょう。

肩甲骨は、肩関節と隣接している逆三角形の「天使の羽」のような骨で、ほかの骨とは接続しておらず独立しています。
骨を繋ぎとめているのは周辺の筋肉や腱です。

身体の動きによって移動することができ、特に腕を上に上げたときは逆三角形の先が外側に動き、背中を丸めると全体が外側に動きます。
また腕立て伏せのポーズをとると背中側から離れて、肩甲骨と背筋の間に隙間ができます。

普通の生活を過ごしていても、徐々に周辺の筋肉や腱が硬くなり、可動域は少なくなります。
まして加齢や運動不足の状態が長く続くと、腕立て伏せのポーズをとっても、肩甲骨と背筋の間に隙間はできなくなります。

可動域が少なくなった状態をチェックするのは、ボールを遠くに投げることです。
オーバースローで投げたとき、肩が痛い、遠くに投げられない、そもそもボールを投げるポーズを取れない、そんな状態が見られたら可動域は狭くなっているでしょう。

さてこれをゴルフのスイングに置き換えると、左肩甲骨の動きが鈍くなったことで、テークバックのとき十分に肩を回すことができない、ダウンスイングで強いインパクトを与えることができない、フィニッシュポーズをとるとキツイ、といった症状が出てくるでしょう。

左肩甲骨を広げて狭めるだけで良いダウンスイングができる

左肩甲骨の可動域が少ない状態でテークバックしても、肩は回らずに腕だけが上がることになります。
でも肩を回したいとは考えているので、肩甲骨ごと左肩を下げて上体を右側に傾けることで、トップの位置までグリップを上げているわけです。

これではダウンスイングをしても捻転の効果は得られません。
それどころか上体が元も位置に戻る前にインパクトゾーンに入ると、ダフリやトップの原因になって良いことはないと思います。

そこで可動域を広げる練習を取り入れましょう。

基礎的な体操としては、腕立て伏せです。
体力的に難しい人はテーブルや壁を使い、身体を斜めにしてアゴが付くように腕立て伏せを繰り返します。

これさえキツイと思うようであれば、両手両膝をついた四つん這いの状態でなるべく二の腕が床と平行になるようにします。
そもそも肩甲骨の可動域が少ないと腕立て伏せで力は入らないので、最初はこのような形で動き中心の運動をします。

クラブを使った体操は、首の後ろでパターを担いで、両肘をぶら下げた状態にします。
そのままスイングするように身体をねじり、また上体を傾けて同じ動きをします。

この運動の締めは背中を丸めることです。
背骨側に移動した肩甲骨を広げる運動をすることで、徐々に可動域を広げることができます。

ちなみに肩こりにも効くので、お仕事や練習のリフレッシュタイムにわずかな時間だけでもやってみてはいかがでしょう。

「肩を回す」は捨てる!左肩甲骨を意識したスイングのすすめ

ゴルフのスイングで一番大事なことはインパクトの瞬間です。
この一瞬のタイミングを逃さずに、思い通りのショットができれば、前後の動きは「ついでのようなもの」です。

ただスイング自体は連続性によってインパクトの瞬間を迎えます。
理想に近づけるためには、最低限その前段階であるダウンスイングにはこだわりを持ちたいものです。

トップの位置は高ければ良いというものではありません。
身体が十分に捻転されていたら、グリップは右耳の少し上の辺りにあるはずです。
再度、グリップの位置を映像として思い浮かべて下さい。

両足を広げ軽く膝を曲げ、腰から上体だけを前傾し、両腕を下げてグリップしています。
ここからテークバックして右耳の少し上までグリップを引き上げます。
よく考えてみると肩を回さずに左肘を軽く曲げるだけで、グリップは右肩の上まで真っ直ぐに上がってきたことになります。

つまりグリップをトップにもってくるだけなら、思っているほど肩を回す必要はないと言うことになります。

左肩甲骨を意識してダウンスイングするのは、強力なインパクトをするためです。

綺麗なスイングはグリップを意識して、強力なスイングは左肩甲骨を意識して、思い描いた飛距離を手に入れて下さい。

左肩甲骨を意識するだけで上体がブレない

ダウンスイングで最も大事なことは確実にミートすることです。
そのためにはブレないスイングが必要です。

右肩甲骨でクラブを引き、左肩甲骨でダウンスイングをすれば、上体がブレずに安定したスイングができるようになるはずです。