ゴルファーにとって「飛距離アップ」は魅力的なキーワードです。
9番アイアンの飛距離が150ヤードになれたらと憧れるものですが、果たしてその使い道はあるのでしょうか。
実践に使用するかは別として、9番アイアンで150ヤードの飛距離が出るメカニズムと飛距離アップの方法を紹介します。
9番アイアンが設定された飛距離以上に飛ぶメカニズム
ゴルフクラブを大きく分けると、ウッド、アイアン、パターの3種類があります。
それぞれに役割があり、ラウンドではどれも欠かせない道具となっています。
道具には方向性や飛距離など、そのクラブの特性となる役割があります。
アイアンの場合には、目標をピンポイントで狙いたいクラブとして、方向性はもちろんのこと適正な飛距離が重要になってきます。
同時現在では、「ピタっと止まる」「バックスピンがかかる」といった着弾後のボールの動きまでもがその役割とされています
体格や体力また性別など、さまざまな条件によって同じクラブを使っても飛距離に違いが出てきますが、中には9番アイアンで150ヤード以上も飛ぶゴルファーがいます。
これが良いのか悪いのか、それぞれの考えはあるでしょうが、まずはなぜ設定された飛距離以上に飛ぶのかそのメカニズムを確認したいと思います。
9番アイアンでもフェースを立てれば150ヤードが可能
最初にクラブの番手を確認しましょう。
アイアンは1番アイアンから9番アイアンまで、そしてウェッジがあります。
セットで販売されているアイアンは、3番アイアンから9番アイアンまで、もしくは5番アイアンから9番アイアンまでとアプローチウェッジ・サンドウェッジだと思います。
一般的に成人男性の飛距離(カッコ内は女性の飛距離)は5番170ヤード(140ヤード)、6番160ヤード(130ヤード)、7番150ヤード(120ヤード)、8番140ヤード(110ヤード)、9番130ヤード(100ヤード)と10ヤード刻みで設定されています。
この飛距離の違いはロフト角、つまりフェースの斜面の角度によって違いが出てくることになります。
この角度を意識的に変えて使うと飛距離をアップさせることができますし、逆に高く打ち上げることで飛距離が短く止まるボールを打つことができます。
つまり意識的にフェースの角度を変えれば、飛距離を伸ばすことができることができるわけです。
クラブフェースを7番アイアンと同じ角度まで立てて使えば、9番アイアンでも150Yは可能な飛距離と言うことになります。
9番アイアンのフェースを立てて打つ方法
ではどのようにしてインパクトのときにフェースの角度を変えるのか、その方法について確認しましょう。
フェースの角度を変えて打つのにはいくつか方法があり、すべてをここで紹介することはできませんので代表的な方法を紹介します。
1つ目はボールの位置を右寄りにします。
一般的にスクエアで構えると、7番アイアンを使用するときボールの位置は身体の中心軸と同じ位置です。
つまり真ん中にボールが置かれていて、番手1つに対してボール半個分飛球線の後方、つまり後ろにずらすことになります。
9番アイアンだと1個分後ろにありますが、通常の位置にあると思ってダウンスイングをすると、インパクトの瞬間はボールの側面にフェースが立った状態で当たることになります。
簡単に表すとボールの側面を潰すように、スイングの最下点をボールの左側に置いているわけです。
ボールの下が芝生であれば、ボールよりも飛球線の前方、つまりボールの左側の芝をはがすイメージで打つと150ヤードまで飛距離を伸ばすことができます。
コツはコンパクトなスイング、フォロースルーも最小限にして、インパクト後は芝に打ち込んで終了するくらいのイメージを持ちます。
昔はパンチショットの名称で重用されていた打ち方で、現在は目的に違いはありますが、プロゴルファーが多用しているスティンガーショットも同類の打ち方です。
9番アイアンのシャフトのしなりで150ヤードを狙う
9番アイアンで150ヤードの飛距離が出る2つ目はスイングスピードです。
ゴルフをやったことがあれば誰もが感じることですが、スイング速度が速ければインパクトのときの衝撃が高くなり、飛距離アップの要因になります。
その衝撃は反発力となって、その衝撃を受けたボールはより遠くに飛ぶということです。
ただスイングスピードを速くできるのは限られたゴルファーだけです。
野球などほかのスポーツで腰や肩の送り方が身についているとか、肩甲骨の可動範囲が高い人など、それまでの経験や体質といったゴルフの練習以外に要因を持っていることが150ヤードの飛距離を実現できることになります。
ちなみにメジャーツアーに参戦中の松山選手の9番アイアンの飛距離は180ヤードです。
スイングスピードを上げるための練習方法は、大きく振ることを意識することです。
大きく振ると言うのは全体ではなく、テークバックからインパクトまではシャープに、フォロースルーからフィニッシュまでは大きく、のようなイメージです。
こうすることで強烈なインパクトを与えて、インパクト後に振り抜けが感じられてスイングスピードが上がるようになります。
実際の練習のコツは、インパクトゾーンでおヘソをボールの位置から外れないようにして、右脚の太ももの辺りでダウンスイングが終わるようなイメージにすると、しなっていたシャフトが飛球線の前方に向けて逆に反発してしなり、シャフトの力で瞬間スピードを上げてくれます。
邪道ですがドロー系で150ヤードの飛距離を出す
そして3つ目がドローボールです。
アイアンの打ち方としては邪道かもしれませんが、フェード系よりもドロー系の方がボールは飛びます。
本来9番アイアンを使うときはピンに絡めたいときです。
150ヤードの飛距離が必要ならば、それに見合ったクラブを使用すればいいだけなので、敢えて打ち方を変える必要はないのですが、中には短いクラブの安定感を求めるゴルファーもいます。
クラブを使い分けるのではなく、飛距離を打ち分けたいときは、難しいですがドロー系のボールで運ぶ方法もあります。
9番アイアンの場合にはドライバーとは打ち方が変わります。
もともとシャフトが短いことから縦振りで、アウトサイドインに近いスイングになっています。
それをインサイドアウトに近い振り方に変えるわけです。
ポイントとなるのは右脚の付け根、右腰骨の下の位置を意識します。
テークバックのときにその付け根を引くようにします。
同時に右肩を引いて、右耳の辺りにトップの位置を定めます。
ダウンスイングでは、野球のイチロー選手のように左側に体重移動しながら高速でヘッドを振り抜きます。
あとは飛球線よりも右側に、クラブを投げ出すようなフォロースルーでスイングイメージをつかみます。
こうしてインサイドアウトが慣れてきたところで、インサイドインにしますが、そのときも左脇を広く空けるイメージでフィニッシュを迎えられるようにします。
かなり高度な打法なので、シーズンオフの練習場で習得してみるとよいと思います。
9番アイアンで150ヤードの飛距離があっても使う場面が少ない
9番アイアンの飛距離が150ヤード、飛ばないゴルファーにとっては魅力的な話ですが、実際にはどうでしょう。
アイアンはターゲットを定めてピンポイントでボールを運ぶための道具です。
まして9番アイアンはピンに絡めるようなショットを期待するクラブなのに、飛距離を稼いでメリットはあるのでしょうか。
キャディバッグに収まるクラブ数は最大で14本、そのうちドライバーとパターが抜けるので、12本のクラブを入れることができます。
仮にバンカー用にサンドウェッジ、グリーン周りのウェッジが2本となれば、残りは9本です。
正常にショットができたとしたら、ミドルホールではレイアウトの2/3はドライバーで済みます。
一般的なトータル6000ヤードのコースでは、ロングとショートが各4ホール、残りの10ホールがミドルです。
そのミドル(251ヤード~470ヤード)の第2打目、ドライバーが230ヤードの飛距離であれば、残りは最大で140ヤードです。
つまりレギュラーティでプレーする人にとっては、9番アイアンで150ヤードの飛距離は必要ないと言うことです。
正確に言うと必要ないのではなく、ゴルフマネジメントの観点で考えると、練習をしても使用する場面が少ないですが、「打ち方」を覚えることで樹木の中からの脱出などでは使えるかもしれません。
知識として吸収する9番アイアン150ヤードの打ち方
フェースと立てる(閉じる)打ち方は、フックグリップの握り方、ボディターンなどの打ち方など紹介した以外にもさまざまな方法があります。
ただ、ほかのクラブと9番アイアンだけが違うといったスイングに「百害あって一利なし」なので、「そんな打ち方があるんだ」と知識で覚えておくだけでも良いかもしれませんね。