2008年の最終戦リコーカップで奇跡の大逆転優勝を決め、初の賞金女王となった古閑美保プロ。
そのスイングは男性アマチュアゴルファーにも参考となる、ゆっくりと無理をしないスイングと言えます。
では、年間を通して安定した結果を残す古閑美保プロのスイングを見ていきましょう。
古閑美保プロのゆっくりスイングはバランスがよい
古閑美保プロのスイングを見てみると、全体にどこか無理をしたスイングではない事が分かります。
飛ばし屋によくある、身体を捩じり上げる事や、スイングスピードを出来るだけ速くするといった身体に無理のあるスイングではないですね。
逆にゆっくりと振ってバランスよく飛ばすイメージと言えます。
スイングバランスも非常によく、アドレスからフィニッシュまで同じリズムでスイングしている事が見て取れます。
近年はゴルフクラブやボールが進化しており、身体に無理をかけて飛ばさなくても十分飛んでくれますし、グリーンで止まってくれますよね。
確率の悪いロングアイアンを選択せず、ユーティリティクラブでもグリーンをピンポイントに狙え、かつボールを止める事が出来るスイングです。
道具に仕事を任せるイメージと言えばよいでしょうか。
無理をしたスイングでは、年間を通して安定したストロークを行う事は難しいと言えます。
この道具の進化をうまくとらえたスイングやコースマネジメントをしているのが古閑美保プロと言えそうです。
古閑美保プロのスイングからゆっくり振る事を学ぶ
古閑美保プロのスイングは非常にゆっくり振っている様にに見えますよね。
実際、本人も早く振ろうという意識はないと思われます。
飛ばしよりも正確性を重視したスイングと言えるでしょう。
また、両腕で出来る三角形が上半身正面から外れない為、身体と腕が一体となったスイングとなっています。
ボールが曲がらないスイングと言えます。
アマチュアゴルファーはこの両腕の三角形が身体の正面から外れたり、三角形そのものが崩れたりするケースが多く、この事がボールが曲がる原因となります。
古閑美保プロはアドレスで出来た三角形の形を崩さずにスイングする為、いつもクラブヘッドを同じ軌道で振れていると言えますね。
特に、腕に力を入れていないと思われるスイングの為、ズレが生じにくく、反復性の高いスイングを完成されています。
ドライバーからショートアイアンまでゆっくり振る事で、安定したスイングをキープしていると言えるでしょう。
古閑美保プロのスイングから、ゴルフは腕力で行うスポーツではない事が見て取れます。このことはアマチュアゴルファーにとって大いに参考になるのではないでしょうか。
古閑美保プロのスイングで気になる所はトップでのクラブの位置
古閑美保プロの非常にゆっくりとしたスイングは、アマチュアゴルファーには参考になるのですが、一点だけ気になる点をあげるとすれば、トップでのクラブの位置です。
ドライバーでバックスイングからトップにクラブが収まる際、飛球線とクロスします。
少しオーバースイング気味と言ったらよいでしょうか。
バックスイング時のスイングスピードによるクラブの慣性モーメントでクロスする位置まで行ってしまうのでしょうが、もう少し手前でクラブが収まってもよいかもしれません。
世界的に見ても男性よりも非力な女性プロゴルファーはオーバースイングかオーバースイング気味にトップを作るプロは多いので、一概にダメな事とは言えないかもしれませんね。
ただ、トップでオーバースイング気味になると、ダウンスイングでクラブをオンプレーンに戻す必要がある為、安定したボールを打つにはその分練習量が必要になってきます。
プロは自分のリズムで毎日毎日ボールを打ち続ける為、オーバースイングでもオンプレーンに戻してくる事ができますが、毎日ボールを打つ事が難しいアマチュアゴルファーは戻す動きを習得し、それを継続するのは至難の業かもしれません。
トップでクラブが飛球線と並行に収まるのが、いつも安定したボールを打つために必要と言えます。
古閑美保プロのスイングは顔を右に向けバックスイングを回しやすくしている
古閑美保プロのバックスイングを見ると、顔を右に向けている事が分かります。
これは、バックスイングで身体を回しやすくする為だと思われます。
顔を右に向けゆっくりとバックスイングを行い、トップまでクラブを持っていきます。
この動きのいい所は、顔を残さない為、左肩が落ちにくい事も挙げられるでしょう。
よく、軸を意識するあまり、顔をバックスイングで残すアマチュアゴルファーがいますが、この意識が強すぎるとバックスイングで身体が回りにくいだけでなく、左肩が落ちるいわゆるギッタンバッコンスイングになる可能性が高くなるのです。
こうなると、トップで十分なパワーを溜める事は難しく、ダウンスイングで左肩が上がり右肩が下がる為ダフリやすくなります。
ダフリを嫌がると今度はトップも誘発します。
こういったアマチュアゴルファーは、古閑美保プロの様にバックスイングで顔を右に向けるとスムーズに肩が回り、左肩も落ちず、トップでパワーを溜める事ができる様になります。
顔がボールから離れる感覚の為、慣れない最初のうちは違和感があるかもしれませんが、すぐに慣れるので安心してください。
古閑美保プロのスイングはゆっくりとインサイドからクラブを下ろします
古閑美保プロのスイングでダウンスイングの部分を見てみると、ゆっくりとインサイドからクラブが下りてきている事が分かります。
また、クラブが寝てボールに入ってこない為、ボールが曲がりません。
トップで右を向いた身体の正面から腕が外れない為、クラブが立って下りてきており、ドライバーでボールの下からヘッドが入らないのですね。
ティアップしたボールを下から捉えると、かなりの確率でボールは曲がってしまうものです。
よく、腕が身体から外れたスイングを見かけますが、この状態だとダウンスイングでクラブが寝てしまい、結果ボールの下からクラブヘッドが入る事になります。
手を上手くタイミングよく返せればフック系のボールが出ますが、返らないとこすり球になり、返しすぎやタイミングが早いとチーピンや強烈なフックになります。
スイングスピードが速いゴルファー程、OBなどのケガが大きくなる振り方と言えるでしょう。
古閑美保プロの様に、ダウンスイングでクラブを立てて下ろす事が安定したボールを打つために必要です。
古閑美保プロ、2008年の賞金女王は奇跡の大逆転だった
2008年に賞金女王となった古閑美保プロですが、このタイトルはまさに世紀の大逆転でしたね。
最終戦であるリコーカップで、先にホールアウトしていた古閑美保プロですが、賞金女王になる為には、数々の条件が重ならないとなれない、通常ではあまり考えられない形での獲得になりました。
最終戦時点で賞金ランキングトップの李知姫プロが最終ホールでボギーとなり、下位に沈んだ事、しかもその時李知姫プロはパーで上がれば賞金女王が確定した状況でした。
それから最終日で上位にいた選手2名も、通常ならまさかありえないミスの連発で結果古閑美保プロに優勝が転がり込むという奇跡の大逆転賞金女王となったのです。
古閑美保プロはこれで年間4勝目となったわけですが、最終戦での劇的な勝利はあったものの、やはり年間を通じてスイングが安定していた事が賞金女王につながった事も忘れてはいけませんよね。
ゆっくりとしたスイングで安定感抜群の年だったのではないでしょうか。
身体に無理のない、ゆっくりと常に安定したスイングが出来るのが古閑美保プロのスイングと言えそうです。
古閑美保プロのスイングはゆっくりと安定している
古閑美保プロのスイングはアマチュアゴルファーに参考となる部分が沢山あります。
スイングテンポもゆっくりで、両腕で作る三角形が常に胸の前にある為、曲がらないスイングとなっています。
フォロースルーもしっかりとり、ゆっくりなスイングですが、しっかり振り切るというのが古閑美保プロのスイングですね。
左右に曲がりまくっているアマチュアゴルファーは、古閑美保プロのスイングをお手本にされてみてはいかがでしょうか。
早く振る気持ちを抑えられれば、きっと曲がらないゴルフスイングが感じ取れるはずです。