ゴルフはスコアを競うスポーツですが、スコアを伸ばすための有効な手段として飛距離を伸ばすことが挙げられます。
飛距離を伸ばすためには身体を鍛える必要があります。
ここではゴルフに効果的な飛距離を伸ばすための筋トレを紹介します。
ゴルフの飛距離とスコアアップ
ゴルフのスコアと飛距離には相関関係があります。
飛べば飛ぶ程、スコアメイクが有利になることには疑いの余地がありません。
飛距離を伸ばすためには三要素であるボール初速、スピン量、打ち出し角度が重要となります。
そして、これらの値を最適化するためには速いヘッドスピードと高いミート率が求められるため、スイング技術の向上もさることながら、筋力などのフィジカルパフォーマンスを高めることが重要となります。
ゴルフ練習場にはなかなか通えないという方でも、ご自宅で筋トレを習慣化することでスコアアップすることが期待されます。
ただし、闇雲に筋トレをしても効果が出なかったり、関節を痛めてしまう可能性があります。
とくにウエイトトレーニングは関節を痛める可能性が高いため、高負荷とならないように気をつけなければなりません。
そのため自宅でもできる中負荷高頻度の自重トレーニングがオススメです。
飛距離アップの前に軸を作る筋トレ
単純に飛距離に直接関係しそうな筋肉を鍛えれば良いのかというと、そうでもありません。
まずは土台である身体の軸を作る必要があります。
つまり、体幹深部にあるインナーマッスルが重要となります。
体幹深部のインナーマッスルは腹横筋(ふくおうきん)、多裂筋(たれつきん)、横隔膜(おうかくまく)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)の4種類です。
これらを合わせてインナーユニット(コアマッスル)といいます。
コアマッスルの筋トレには、ドローインとホローイングがあります。
ドローインは息を吐きながらお腹まわりがだんだん細くなるようにします。
下腹部が平坦になったら、それを維持しつつ、通常通りの呼吸に戻し30秒キープします。
ホローイングはウエストを計測する際にごまかすように、息を吸って肋骨をしっかり広げます。
内臓が持ち上がったような状態になり、お腹は細くなります。
この状態を維持しつつ、通常通りの呼吸に戻し30秒キープします。
このようにコアマッスルを鍛えることで軸ができ、ゴルフの飛距離に直接関係する筋肉の土台を作ります。
体幹を回旋させる腹斜筋と広背筋の筋トレ
ゴルフスイングはなんと言っても体幹の回旋が重要です。
体幹回旋の役割を担うのは、外腹斜筋(がいふくしゃきん)、内腹斜筋(ないふくしゃきん)、広背筋(こうはいきん)です。
体幹の回旋可動域は骨盤と胸郭の捻転差であるX-factorと同じ意味ですが、X-factorはヘッドスピードや飛距離と相関があります。
つまり、体幹の回旋筋が強く、可動域を増大させれば飛距離が出るということになります。
外腹斜筋と内腹斜筋の筋トレにはサイドブリッジが効果的です。
横向きに寝転がり、上側の脚を前に、下側の脚を後ろに下げて人の字を描くようにします。
下側の腕は前腕(肘から手首までの部分)で支えるようにして垂直に立てます。
これで頭から胸の部分が持ち上がった状態になります。
次に横から見て身体が一直線になるようにお尻を持ち上げ、バランスを崩さないようにして30秒キープします。
広背筋のトレーニングにはプッシュアップが効果的です。
椅子に座り、椅子の外縁を持ちます。
次に肘を伸ばしてお尻が持ち上がるまでしっかり肩甲骨を引き下げます。
この時、脚も浮かせられる方は脚も一緒に浮かし、難しい方は膝を伸ばした状態にして踵だけを床につけておきます。
ゆっくり上げてゆっくり下ろすという形で20回繰り返しましょう。
ゴルフに重要な下半身の筋トレ
下半身の筋肉は飛距離を出すパワーだけでなく、軸がブレないように安定させる役割もあります。
床からの反力を体幹に伝えるためには、この下半身の筋力がとても重要となります。
とくに太ももにある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)とハムストリングス、ふくらはぎにある下腿三頭筋(かたいさんとうきん)、お尻の臀筋群(でんきんぐん)、股関節前面の腸腰筋(ちょうようきん)が重要となります。
これらの筋肉はジャンプ動作で強く働きます。
ダウンスイング初期において、飛距離の出るゴルファーは左足の踏み込みが強いことが分かっていて、これらのジャンプ動作に用いられる筋肉を鍛えることが飛距離の増大につながることが考えられます。
実際、ジャンプ動作を繰り返すエクササイズであるスクワットジャンプで、高い跳躍力をみせたゴルファーはヘッドスピードが速く、飛距離が出ています。
筋トレの方法はそのスクワットジャンプを繰り返すだけです。
膝とつま先の向きを揃え、深くしゃがみ込んで最大限ジャンプします。
着地の際も膝とつま先の向きが揃うようにして、深くしゃがみ込みます。
そのまま勢いを殺さずに繰り返してジャンプします。
これを10回繰り返します。
徐々に跳躍力が増大して、ヘッドスピードが速くなることが期待できます。
肩甲骨を突きだして飛距離を伸ばす前鋸筋の筋トレ
ゴルフスイングには肩甲骨の可動域がとても重要です。
右利きゴルファーの場合、テイクバックでは左の肩甲骨が最大限に前に出る必要があり、反対にフォロースルーでは右の肩甲骨が最大限に前に出る必要があります。
ただし、可動域が十分にあったとしても、その可動域を活かせないと全く意味がありません。
この肩甲骨が前に出る運動をプロトラクションといいます。
プロトラクションの主動作筋は前鋸筋(ぜんきょきん)です。
前鋸筋は、ボクサーが右ストレートを打つ際などに強く働くため、パンチ筋とも呼ばれます。
筋トレの方法は肩甲骨を前に出すことを意識した腕立て伏せが一般的です。
通常の腕立て伏せの姿勢から脇を開かずに肘を曲げることで身体を下げていきます。
深く曲げたら、次はしっかり腕を伸ばして肩甲骨が前に出るまで身体を持ち上げます。
なるべくゆっくり深く10回繰り返しましょう。
フォローが大きくなって飛距離が伸びることが期待できます。
ゴルフスイングを美しくする上腕三頭筋
ゴルフスイングの美しさはしっかり腕が伸び切ることがポイントです。
前鋸筋により肩甲骨のプロトラクションを十分に引き出すことである程度は肘が曲がってしまう現象を防げますが、やはり肘を伸ばす筋力も十分に必要です。
肘を伸ばす筋肉は上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)です。
初心者の方はフォロースルーにおいてリード側(右利きゴルファーの左側)は肘を曲げて引いてしまう現象が多くみられます。
フォローが小さくなってしまい、ボールを上手く運べず飛距離が出ない可能性があります。
上腕三頭筋の筋トレ方法は、前鋸筋と同様に腕立て伏せですが、脇を開いて行います。
両手の親指と人差し指で菱形を作ります。
そのまま肘を曲げてくると、脇が開き上腕三頭筋に負荷が強くかかります。
ゆっくり行い、しっかりと肘が伸びるまで身体を持ち上げ、10回繰り返しましょう。
ゴルフの飛距離アップのために筋トレを習慣化しましょう
筋トレを1度したからといって、急に飛距離が伸びるというわけではありません。
習慣的に鍛えることによって、いつの間にか筋力がついて飛距離が伸びていたということを狙っています。
慣れてくると回数を増やさないと負荷が軽くなってしまいますので、1週間程度繰り返したら少し回数を増やすという具合に負荷を調整してください。
毎日コツコツ筋トレをして、ライバルのゴルファーに差をつけましょう。