オリンピックでのゴルフ競技。
記憶に新しいのはリオオリンピックですよね。
不参加も多かったのですが、たくさんのプロゴルファーが出場していました。
プロが出ていたイメージは強いですが、果たしてその中にアマチュアはいたのでしょうか。
アマチュアゴルファーだらけのオリンピック
オリンピックでゴルフ競技が開催されたのは、1900年のパリ大会です。
みなさんのオリンピックのイメージと言えば、
「アマチュアのみ参加。プロの参加は認めない」
ではないでしょうか?
その当時のオリンピックではそういう決まりでした。
参加する栄誉が一番の報酬とされていたので、すでにスポーツでお金を稼いでいるプロ選手は、オリンピック参加にふさわしくないと考えられていたのです。
ですから、もちろんオリンピックでゴルフ競技が開催されたパリ大会の参加選手は、全員アマチュアゴルファーでした。
しかも、現代のようにゴルフ人口もさほど多くない時代です。
もしあなたがこの時代に生まれていたら、「日本代表オリンピック選手」になれていた可能性は大いにあります。
代表選手どころか、金メダリストになっていた可能性まであります。
なんとパリ大会での金メダリストのスコアは、1日目が82、2日目が85です。
今までの自分のスコアカードを見返してみてください。
ある程度経験を経たゴルファーなら経験したことのあるスコアでしょう。
タイムマシーンに乗って、参加したくなったのではないですか?
オリンピックの参加資格がアマチュア無視のプロ仕様
1974年にオリンピック憲章の参加資格から「アマチュア」に絞ることが消されたので、公言はしていないものの、プロの参加が認められるという形になりました。
そういった経緯もあって、リオオリンピックでのゴルフ競技の参加資格は、どこから見てもアマチュアの参加は不可能といえるものでした。
その選考基準は、
・世界ランキング15位までの選手(アマチュアで世界ランク上位に入っている人はいないです)
・世界ランク16位以下の各国上位2位までの選手(これもまたアマチュアでは有り得ません)
・5大陸ごとに最低1人の出場枠を保証(アフリカならアマチュアの可能性はゼロではないかもしれないですね)
・大会ホスト国は、最低1人の出場枠を保証(ブラジルにもプロゴルファーがいるのです)
と選考基準を見るだけでもアマチュアゴルファーの参加はほぼ皆無です。
もし、もしもどれかの選考基準をパスしたとしても、世界で活躍しているプロゴルファーを押しのけて、メダルを取ることは100%無理でしょう。
故に、この選考基準が変わらない限り、アマチュアゴルファーがオリンピックで活躍することはないのです。
プロばかりのオリンピックに意味はあるのか
ゴルフに限らず、いろいろな種目が「プロ化」しています。
それってオリンピックとして成り立っているのでしょうか?
この話題はオリンピック前後にいつも取り上げられています。
本来のオリンピックはアマチュア競技者の祭典の意味合いがとても強かったので、問題に上がるのも当然でしょう。
確かにプロが参加することでより高いレベルでの競技にはなってきました。
でもそれって結局オリンピックでなくても見られることですよね。
とくにゴルフ競技はそういったところが確立しています。
PGAツアーでは、通常のツアーはもちろんのこと、マスターズや全米、全英オープン、そしてプレジデントカップにザ・ツアーチャンピオンシップとオリンピックよりも盛り上がる世界を股にかけた大きなツアーが開催されます。
優勝賞金の大きさやその時の活躍選手たちの出場というのもあって、テレビ放映ももちろんですが、世界各国からツアー観戦に行く人たちも大勢います。
LPGAも同様です。
そう考えると、あえてオリンピックでプロ選手を起用する必要はなく、逆に地道にがんばっているアマチュアゴルファーの夢の舞台といった風に扱った方が、より盛り上がるのではないでしょうか。
アマチュアにもあるオリンピック並みの夢の大会
オリンピックにプロゴルファーしか出られなくても、アマチュアゴルファーだって大きな大会がたくさんあります。
その中でも有名なのが「全米アマチュアゴルフ選手権」です。
出場資格は、
・過去10年間の優勝者
・過去3年間の準優勝者
・過去2年間の準決勝進出者
・前年度準々決勝進出者
・当年全英オープン出場者
・前年全米オープン決勝ラウンド進出者
・当年全米シニアオープンローアマ
・過去2年間の全米ミッドアマチュア優勝・準優勝者
・過去2年間の全米ジュニアアマチュア優勝・準優勝者
・過去2年間の全米シニアアマチュア優勝・準優勝者
・過去2大会のウォーカーカップ出場者
・過去2大会のアイゼンハワートロフィー出場者
・当年コパデラスアメリカス出場者
・NCAA男子ゴルフ選手権個人優勝者
・過去5年間の全英アマ優勝者
・現在の世界アマチュアゴルフランキング上位50名
です。
アマチュアの大会ですがゴルフネットワークでも大きく放送されます。
過去にはあの、ゴルフの神様と呼ばれたタイガー・ウッズが優勝している大会です。
優勝者には翌年の全米オープン、マスターズ、全英オープンの出場権が与えられるという、アマチュアゴルファーにとって夢のような大会です。
プロが考えるオリンピックのゴルフ競技
リオオリンピックでは、男子プロゴルファーの参加辞退が目立ちました。
そういったこともあって、どちらかというと同じ競技でも女子ゴルフの方が盛り上がったという印象を受けました。
辞退した理由の多くは、リオの治安の悪さとジカ熱への不安でした。
期待されていた日本の松山英樹選手も虫刺されによるひどいアレルギーが原因での辞退となりました。
そういった事態に、全米女子プロゴルファーのステーシー・ルイス選手は男子のトッププレーヤーを痛烈に批判しました。
米国の男女両ツアーの金銭的な格差を指摘、「大金のためにプレーする選手たちにとっては、オリンピックに出場することで失うお金があるのだと思う。シーズン最後に1000万ドル(約10億円)を手にするチャンスがあったら、たぶん私のスケジュールも変わる」と皮肉たっぷりにコメントしています。
彼女の気持ちは良く分かりますが、辞退した男子プロゴルファーたちの気持ちも理解できます。
もちろん女子プロゴルファーも同じかもしれませんが、プロ選手たちはあれほどの素晴らしいプレーをするために、移動やコンディション調整など多くの時間とお金をかけています。
そしてその結果にそれ相応のお金がついてくるのです。
アマチュアとは違って、国の代表としての名誉だけでは踏み切られない部分もあったのは理解できるところもあります。
気になる東京オリンピック!?
4年後には、東京オリンピックが開催されます。
開催コースは「霞ヶ関カンツリー倶楽部」になりそうです。
知らない方もいるかもしれませんが、言わずと知れた名門コースです。
過去に、プロ・アマチュア問わず何度となくメジャーな大会が開催されたコースなのです。
現在、霞ヶ関カンツリー倶楽部は会員権を持っているメンバーと同伴者しかプレーできない名門プライベートコースとなっています。
メンバーになるにも、様々な審査を必要としているので、日本で最も入会が困難と言われているゴルフクラブです。
故に、限られた人しかプレーできないゴルフ場。
オリンピック会場になることで、そのベールが脱がされると言っても良いですよね。
リオオリンピックの反省をもとに、プレー方式やルールがどうなるか、そして治安も良くジカ熱の心配もない日本ではどんなプロ選手たちが参加するのかも楽しみですが、なかなかお目にかかれない名門のゴルフ場がどんなものかを見ることができるのもまた東京オリンピックの楽しみの一つになりますね。
プロにもアマチュアにも大切なオリンピック
プロが参加できるようになってオリンピックの意義に関しても賛否両論でうが、そうはいっても4年に1度の世界の大会。
どの選手にとっても大切だし特別なのは変わらないと思います。
ゴルフ人口の減少が問題視されている現在、4年に1度の祭典で、いかにゴルフの魅力を世界に伝えるかというのは、全ゴルファーの大きな課題と言えるでしょう!