オリンピックと言えば「参加する栄誉が一番の報酬だ」という考えから、スポーツをしてお金を稼いでいる人は参加にふさわしくないとされていました。
しかし今サッカーやテニスの選手はほとんどがプロ選手ですよね。
記憶に新しいリオ・オリンピックのゴルフ競技でもプロ選手が出場しました。
では東京オリンピックの準備としてオリンピックでのゴルフ競技について考えましょう。
112年前のオリンピックでのゴルフ競技でプロは参加した?
オリンピックでゴルフが初めて開催されたのは1900年のパリ大会です。
男子は36ホール、女子は9ホールのストロークプレーの個人戦でした。
もちろんその時のオリンピックでは「アマチュアのみ参加」というのが大前提でプロの出場は認められていませんでした。
男子は米国、英国、フランス、ギリシャの4カ国から合計12人の参加、女子は米国、フランスから10人が参加というなんとも盛り上がりにかけるものだったそうです。
男子で金メダルを獲得したのは34歳のチャールズ・サンズ(米国)で、面白いことに彼はテニスが本業の選手でした。
女子で金メダルを獲得したのは23歳のマーガレット・アボット(米国)で全競技を通して米国が金メダルを獲得したのはゴルフの2つのみだったのは驚きです。
さらに驚くのがオリンピック参加者たちのスコアです。
男子の優勝スコアは82、85の合計167、最下位は合計252でした。
そして女子の最下位はハーフでなんと80!?
コースの難易度は不明ですが、選手たちのレベルが高いとはお世辞にも言えません。
4年後のセントルイス大会では女子の参加はなく、男子の個人戦と団体戦が開催されました。
75名参加のうち72名が米国人という米国のための大会だったと言っても良いものでした。
オリンピックのゴルフ競技の参加資格と選考方法
オリンピックでゴルフと言えばリオ・オリンピックが記憶に新しいですよね。
前述したように盛り上がりにかなりかけた112年前からのオリンピック競技としてゴルフが復活したのでした。
1974年にオリンピック憲章の中の参加資格から「アマチュア」という言葉が削除されたため、プロ選手の参加は認められます。
復活を遂げたオリンピックゴルフ競技の選考基準は、
①世界ランキング15位までの選手
②世界ランク16位以下の選手
③5大陸(アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)ごとに、最低1人の出場枠を保証
④大会ホスト国は、最低1人の出場枠を保証
です。
もちろんこの選考基準に入れば、アマチュアだって参加資格はあります。
ただアマチュアがこの選考基準に入ることはかなり難しいですが…。
リオ・オリンピックで注目されたのは韓国女子です。
韓国女子選手は有望選手が大渋滞でした。
15位以内に6人も入っていて、20位までにも9人は入っていました。
そして金メダルを獲得したのも韓国女子のパク・インビ選手でしたね。
開催規定は、参加人数は男女各60名、個人戦、72ホールのストロークプレー方式です。
今回のオリンピックで少々面白みに欠ける等の批判があったので、東京オリンピックでは開催規定を変更する可能性があるようです。
プロゴルファーが考えるオリンピックの参加について
前回のオリンピックではプロ選手の参加辞退が相次ぎました。
治安の悪さやジカ熱の心配などいろいろと理由をあげていましたが、実際プロ選手たちの考えや思いはどうだったのでしょう。
あるPGAツアーのコーチはプロの出場辞退についてこのように話ています。
「プロが出ないのは当然じゃないかな。逆にプロが出る理由は何?世界最高のプレーが見たいならメジャー大会の会場に来ればいつだって彼らは最高のパフォーマンスを見せてくれるよ」
また、プロ選手たちはあれほど高いパフォーマンスを出すために、どれだけの投資をしているかという話もあります。
移動やコンディション調整など多くの時間とお金をかけてツアートーナメントで見る最高のプレーをしているのです。
選手によって考え方は様々かもしれませんが、オリンピック辞退を決めた選手たちの心の中には複雑な考えや心境があったのでしょう。
アマチュアのみにすると盛り上がりに欠け、プロだと辞退する選手が増える。
東京オリンピックでのゴルフ競技はまだまだ課題がたくさんありそうですね。
オリンピックの参加が多かった女子プロゴルファー
男子と女子では参加に関してかなりの温度差がありました。
様々な憶測が飛び交いましたが、米国女子プロゴルファーのステーシー・ルイス選手が男子のトッププレーヤーの辞退が多かったことを痛烈に批判しました。
「そもそもゴルフが五輪競技であるべきではないという人もいるが、国を代表して参加することは大変な名誉。ゴルフの位置付けを上げようとしないことは恥ずべきこと」
と話しました。
実際女子ゴルフでは最後までオリンピックに参加することを諦めなかったイ・ボミ選手や、参加できなかったことで涙を流した渡邉彩香選手などが印象深いです。
また米国の男女両ツアーの金銭的な格差も指摘されています。
各試合の賞金額は2倍から3倍ほどの差があります。
男子ツアーではシーズン最後に年間王者は1,000万ドル(約10億円)を手にすることができます。
国を代表してオリンピックに参加することよりもメジャーで勝つことの方が、男子プロゴルファーにとっては大きな価値があったのかもしれません。
男女だけでなく国によっても意欲が変わってきたのは、そういった賞金等の格差が原因かもしれませんね。
ゴルフがオリンピック競技になる意義
ゴルフをオリンピック競技にするために、マスターズ委員会、全米ゴルフ協会、全英ゴルフ協会、全米プロゴルファー協会、PGAツアー、そして世界中のツアーと団体が一丸となりました。
112年前と違ってプロが参加できるということも大きな要因ですが、最も大きな目的は「今後のゴルフ発展のため」です。
世界的にゴルフ離れが進んでいます。
ここのサイトを読んでいるだけあって皆さんからゴルフ離れなんて言葉はイメージもできないでしょう。
しかしアメリカではゴルフ人口を増やすために日々試行錯誤してるのです。
オリンピックの競技になれば、国から補助金が出るし、選手の育成にも繋がります。
そうなるとゴルフがスポーツとして知られていない国や地域でも、たくさんの人の目に触れることになります。
以上のことが様々な団体がゴルフをオリンピック競技にするために一丸となったのです。
リオ・オリンピックでその成果が上げられたのかはまだはっきりしていません。
世界のトッププロたちが参加しなかったことで、視聴者のゴルフ競技への興味も半減してしまいました。
112年ぶりの開催なので手探り状態だったのも否定はできません。
4年後にどういった形で、協会と選手がオリンピックでのゴルフ競技を盛り上げていくのかが楽しみでなりませんね。
東京オリンピックのゴルフ会場
東京オリンピックのゴルフ会場、実はまだ決定していません。
他の競技会場同様揉めているようです。
「若洲ゴルフリンクス」か「霞ヶ関カンツリー倶楽部」のどちらかという動きです。
「若洲ゴルフリンクス」は、昭和40年から49年までの10年間にわたり、家庭からの生ゴミ等の廃棄物で埋め立てられた造成地に作られたゴルフ場です。
プレイフィーは、平日のセルフプレーなら11,860円と関東ではリーズナブルなゴルフ場です。
客土約30万立方メートルの一部には、新宿新都庁の建設に伴う残土が活用されていたり、ゴルフ場の散水には工場用水、散水施設の制御システムのエネルギーに太陽光といったところが、エコという点で東京オリンピックに沿うということで候補に並んでいるのは納得です。
「霞ヶ関カンツリー倶楽部」は、会員権を持っているメンバーと同伴者しかプレーできない名門プライベートコースです。
メンバーになるのも様々な審査を経るので、日本で最も入会が困難であるゴルフクラブと言われています。
日本屈指の名門ゴルフ場と言われているので、このゴルフ場がオリンピック会場の候補になるのも納得です。
どんなプロが参加するのかだけでなく、どこが会場になるのかも東京オリンピックでの楽しみの一つですね。
オリンピックゴルフ競技にプロの参加は賛成?反対?
いろいろな視点からオリンピックのゴルフ競技についてお話しました。
あなたはオリンピックのゴルフ競技へのプロの参加についてどう思いますか?
ゴルフをしている方なら日頃テレビでツアートーナメントを見ているでしょう。
ツアーの中でも国対抗などの試合も存在します。
でもオリンピックで国の代表として戦うのはまた背負うものが変わってきますよね。
東京オリンピックまで後3年です。
どういう方向性になるのか、選手たちの気持ちに変化はあるのか。
ゴルフファンとしては様々な動きから目が離せませんね。