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まむしと呼ばれた杉原輝雄のパターへの想いから人生を学ぶ

2017.9.21

杉原輝雄のパターといえばマレット型、グリップは逆オーバーラッピングで握り、アドレスに入ると「入る」と誰もが思うほど鬼気迫るものがありました。

そのパッティングの凄さから「まむし」とまで言われた杉原輝雄の根本について考えていきたいと思います。

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杉原輝雄はパターのことを「金を得るための道具」と称した

杉原輝雄と言えば関西ゴルフ界のドンであり、日本ゴルフ界に睨みを利かせたプロゴルファーです。
通称「まむし」と呼ばれ生涯現役を通した伝説のゴルファーとしても有名です。

昔のゴルファーとはいえ160センチあまりの身長は、同時期に活躍した関東のジャンボ尾崎に比べると小柄な体格は否めないものがあります。

当時は大きなプレイヤーが有利と考えられていた時代なので、杉原輝雄はその体力的な部分をカバーするために30年間長い石段を駆け上がる筋力トレーニングを続けたそうです。
また両肘を張った「五角形スイング」で低い身長をカバーし、長尺ドライバーを駆使して飛距離も求める独特なスイングスタイルで一時代を築きました。

努力の人である杉原輝雄の真骨頂は、当時としては珍しいパンチショットでしたが、同時にパターも珍しい逆オーバーラッピングで握っていました。

杉原輝雄は後年「パターは金を得るための道具」とコメントしていますが、このパターこそが「まむし」の異名を得る元となったものです。

パターが得意な杉原輝雄が練習のしすぎでイップスに

杉原輝雄にとって、身長が低くても大柄な選手に引けをとらない1打こそがパターだったのです。
そしてその1打がプロとして金を得るための貴重なものと考えたようです。

杉原輝雄は肉体を鍛えてパワー不足を補おうと考えましたが、今のような科学的なトレーニング法などない時代でしたから、神社の石段が唯一のトレーニング場としていたようです。

ただ科学的なトレーニングが解明されてくると、杉原輝雄は早い時期から取り入れます。ゴルフ選手では加圧トレーニングの先駆者とも言われています。
また良いものはどんどん取り入れるタイプで、いわゆる長尺ドライバーもプロの中では先駆けて使用していました。

そんな杉原輝雄であってもどうにもならないことがありました。
練習こそが正しい結果を残してくれるという、昔かたぎの性格もあってか、人一倍パターの練習もしたそうです。
結果はご承知の通り、グリーンまでは圧倒的に不利な状況でも、パターでひっくり返すプレースタイルを「まむし」と評したそうです。

ただその反面、練習が祟ったようでイップスにかかってしまいます。
練習すればするほど悪化するイップスですが、杉原輝雄は練習によって克服していきます。

杉原輝雄のパターに関する哲学は簡単明瞭

杉原輝雄のパターに対する考え方は「ショートパット厳禁」です。

狙ったカップに届かなければ絶対に入ることはないわけですから、指導するときには「強引にいってハズすことや」と教えていたようです。
本人のポリシーとしても「ビビッて外すようなら勝負師として情けない」と伝えています。

ただし強引なパッティングだけでは、「まむし」の称号を得ることはありません。
多くのプロが「杉原輝雄がパターを握ると手ごわい」と感じたのは、ラインの手前で曲げないことだそうです。

芝目や傾斜でスライスラインと読んで、カップよりも手前で切れていくような打ち方は「打ち切れていない」と考えています。
手前で止まる、打ち切れていない、ラインを読み間違えた、と考えるのではなくスイートスポットで打っていないことに原因があると断定しています。
パターの芯で捉えることができれば「必ず入る」というのが、杉原輝雄のパターの哲学です。

どんな場面でも芯で打てることが、「まむし」として恐れられた根本にあったようです。

杉原輝雄のパターを操る考え方は根性論ではない!

杉原輝雄のパターに対する考え方を耳にすると根性論的な話が多いようです。

基本的には、割切りが大事だと説いています。
この割切りというのは裏を返すと、深く考えても仕方がないから「サッサと打て」ということです。

ある人が「パターをするときは右手と左手のどちらに重きをおきますか」と聞いたところ、「両手で打つ」と答えたそうです。
「じゃあ」とばかりに再質問でどんな練習法が良いかを聞くと、「打つ練習」と返ってきたそうです。
考えても仕方ない、「上手くなりたければとにかく練習」という体育会系の答えばかりでしたが、実際にはパター理論があったようです。

基本的にパターは距離感ではなく方向性にあると考えていたようで、強いインパクト(ストロークではなさそうです)でガツンと打つイメージを持っていました。

パッティングで大事なことは「正しく打つ」ことだとコメントしていましたが、この正しい打ち方はスイートスポットに当てることです。
芯に当たらずにカップインしても「それは偶然」と考えていて、正しく打てないとパターは上達しないと言うのが基本理論でした。

そして何よりもすごいのがスパットの考え方です。

杉原輝雄のパターの奥義はスパット打法にある

杉原輝雄がいうパターにおけるスパットの考え方は奥が深いというよりも、悩み多きゴルフ人生そのものかもしれません。

ゴルフ場のスタート時間前にパッティング練習をしているところを見た杉原輝雄が、「カップに入れる練習はダメ」といったことがあります。
芯で捉える練習をすることで、プレッシャーがかかる場面でも割り切って打つことが大事だと伝えたかったようですが、あまりにも簡略化しすぎて誰も理解することができなかったようです。

「気合で打つ!」みたいな感じで受け取られがちですが、実はイップスの影に怯えていたようです。
そこで「考えるな」、「割切れ」と言ったワードが並んだのだと思いますが、実際の杉原輝雄はボーリングのレーンにあるスパット(▲の印)をパッティングに取り入れていました。
仮想のターゲット(カップ)を設けることで、身近なターゲットを定める打ち方は方向性の面からすると、安心して打ち出すことができます。
ただし杉原輝雄のスパットは自分のパターヘッドの残像にあるようで、同じフェースラインでインパクトすることを最良としたようです。

ちょっと哲学的ですが、ヘッドの後ろにボールを並べた残像型のパターと同じ考え方を、フェースラインで作っていたわけです。

なんとも面倒くさい感じはしますが、スイートスポットで打ちたい気持ちの表れが、杉原輝雄風のスパット打法を編み出したのかもしれません。

杉原輝雄のパターの極意は正しいリズムを掴むこと

「まむし」とまで恐れられた杉原輝雄を支えたのはかまぼこ型のパターです。
いぶし銀という名が似合うようなジョー山本の名器ですが、一度使ったものをおいそれと変えないのも杉原輝雄のスタイルでした。

強いこだわりと独創性が特徴の杉原輝雄ですが、パターの練習方法は意外にもスタンダードなものでした。
パターを正しく打つには練習することが大切と説き、常に練習していたそうです。
基本的にはスイートスポットでボールを捉えることに主眼を置いていたので、真っ直ぐ引いてそのままストロークする練習です。

練習方法としては、クラブを2本並べて、その間でパターヘッドを動かすというシンプルなものです。

ここで大事なことは「正しいリズム」です。
イップスを恐れていたこともあり、正しいリズムを刻むことは必須条件でもありました。本人は精神的な弱さがマイナスになるし、プレッシャーで失敗することはあると感じていたようです。
それでも、そこを乗り越えた先に「お金を得る」ことができるのがプロゴルファーなのだと割り切っていたように思います。

杉原輝雄はパターで「生き方」を教えてくれる

「まむし」と評されるほど粘り強いゴルフで63勝を築いた杉原輝雄、鬼気迫るその迫力はまさに命がけの生涯現役へのこだわりにあったと思います。

前立腺がんの治療を拒否してあくまでも現役選手にこだわったのは60歳のとき、すでにピークは過ぎていましたがそれでもトーナメントで戦っていました。

遺した言葉は「人はみな人間のプロ」、そんな生き方を教えてくれるプロゴルファーでした。

 - シングル 近道