プロでも陥るゴルフの病気「イップス」の症状と克服方法

最終更新日:2017/02/22

「イップス」と聞いて聞くに新しいのが、森田理香子選手が「アプローチイップス」であることを公表したことでしょう。

集中力やメンタルが大事なゴルフで、イップスになるとどのような影響がでるのか、また実際克服してきた人たちはどのように克服したのかを一緒に見ていきましょう!

ゴルフの病気「イップス」とは

「イップス」と聞いても、いまいち分からないという人の方が多いでしょう。

”Yip”という「子犬が吠える」という英語が語源です。
プロゴルファーのトミー・アーマーが初めて使った表現と言われています。

イップスは神経に影響する心理的症状のことを言います。
ゴルフ以外であっても、集中すべき場面において、プレッシャーのせいで極度に緊張することを表します。

またそれが原因で、震えや硬直を起こしてしまい、プレー上のミスを誘発することを言います。

 

ゴルフイップスの症状では、

・腕が動かなくなり、ヘッドをコントロール出来なくなること。
・パターのときに、極端にショートしたり、信じられないくらいオーバーすること。
・アイアンショット(アプローチ)の時に、強烈なトップや引っ掛け、大きなダフリをすること。
・ドライバーショットのとき、トップで固まって動かなくなってしまうこと。

 

昨年、森田理香子選手は「アプローチイップス」であることを話していました。

ゴルフではパッティングやアプローチで緊張過剰などによりスムーズにストロークできなくなり、手が動かなくなって打ちそこなったり、自分の意図したよりもはるかに強く打ってしまったりします。

 

イップスに陥ったプロゴルファーたち

ベン・ホーガン選手は、全米オープンで4勝、全英オープンで1勝、マスターズで2勝、全米プロ2勝、アメリカツアー全62勝したゴルフ史上最高のプレーヤーと言われた1人です。
しかしそんな彼もパターのイップスで現役引退を余儀なくされたと言われています。

また小達畝昭選手は、抜群の飛距離で1991年に華々しくプロデビューしました。
2001年にJCBクラシック仙台で8年ぶりの優勝を飾りましたが、その8年の間アプローチイップスに陥っていたと言われています。
低迷期が続きシード落ちも経験しましたが、1998年のオフシーズンで内藤雄士コーチと出会い、スイング改造したことでアプローチイップスを克服しました。

尾崎建夫選手は、1993年テーラーメイドKSBの優勝から7年ぶりに2001年フジサンケイクラシックで優勝しました。
腰痛を理由に長尺パターを使用した後でしたが、実は全く手が動かなくなるイップスに陥っていました。

また彼の兄のジャンボ尾崎も1mのパットを3度も仕切り直したという場面があり、それもイップスの1種と思われます。

プロゴルファーがイップスに陥ると引退を余儀なくされてしまうケースもあるという致命的な病気とも言えるのです。

 

ゴルフのドライバーイップスの克服法①

ドライバーでのイップスはゴルフそのものの楽しみを無くしてしまいます。

イヤになってゴルフを止めてしまう前に、一度克服法を試して下さい!

イップスになると上手くショットを打てなくなるのですが、クラブをしっかりとコントロールすれば打てるはずだと思い、クラブを軽くしていく人がいます。

でも実はこの思いがすでにイップスを呼び込んでいるのです。

「どうにかしようとしないこと」がイップスを克服するときの基本です。
理想は、イップスであることを忘れることなのですが、忘れるくらいであればイップスにならないですよね。

そこで、あえてクラブを重くしてください。
そうすると上手くコントロール出来なくなるのですが、無理にコントロールしようという意識も同時に消えていきます。

最初は難しいかもしれませんが、「クラブ任せ!」くらいの気持ちで向き合うことが大切です。

また練習場では上手く打てるのに、コースに立つとダメというパターンもあります。
それは精神的な理由であることがほとんどで、練習通り打てないから力みのあるスイングになってしまいます。

まずは飛ばすことを諦めて、ハーフスイングで打つようにしましょう。
ハーフスイングでもドライバーであればそこそこ飛びます。

そこでしっかりスイングしていくことで、自分に最適なスイングを見い出し、それが自信に繋がっていくでしょう。

 

ゴルフのドライバーイップスの克服法②

ドライバーイップスに多く見られる症状が、スイングの時に呼吸を止めてしまう人です。
呼吸は筋肉の動きと連動するので、呼吸を止めてしまうと思うように身体が動かなくなってしまいます。

可動域が狭くなったり、無駄な力が入ってしまうと、ドライバーにとっても致命的になります。

スイングするときにスイングのことを考えるのではなく、テークバックで息を吸いダウンスイングで息を吐くといったように、呼吸でスイングのリズムを取るようにすると良いでしょう。

ダウンスイングで息を吐くことで、意外と良い感じに力みも取れてくれるはずです。

また練習場でのドライバーの練習割合が少ない人にもイップスは多いです。

ドライバーはラウンドでは多くて14回くらいしか出番がありません。
ですからゴルフが上手い人ほどアイアンやアプローチ、パターに練習時間を割きます。

しかしドライバーの練習不足が生むのはもちろんミスショットです。
そしてミスショットが続くことでイップスの症状が出てしまうのです。

そうなった場合は、100~200球くらいを集中してドライバーの練習に使うようにしましょう。

圧倒的な練習量でイップスの克服を目指すのです。
徹底して打ち込むことで、イップスを意識しないようになるでしょう。

 

ゴルフのアプローチイップスの克服法

アプローチイップスを克服するためには、考え方を変える必要があります。

アプローチショットの苦手意識というのは、心理的な要因が大きいです。

「ピンに寄せなければいけない!寄せたい!!」という気持ちが強過ぎるのです。
その気持ちがイップスに繋がっているといえるでしょう。

アプローチショットで寄せたいというのはそもそも上級者が考える域です。

実際プロゴルファーでもツアー中に必ずグリーン周りから寄せているというわけではありません。
「寄ればラッキー」くらいの考えで挑むべきなのです。

アマチュアの場合は、技術的な修正でイップスを克服できる可能性もあります。

まずはグリップを思い切り短く握ること。
グリップは右の人差し指がシャフトに触れそうになる位、思い切り短く持ってみましょう。

短く持てば持つほど、クラブをコントロールしやすくなるのでミート率もあがり、ミスショットも減ります。

そして、グリップを短く持つことで大きなスイングができるようになります。
クラブを短く持つと飛距離は落ちるのですが、それだけスイングの幅も大きくなっていきます。

ヘッドをダウンスイングからインパクトにかけて減速してしまうと、ダフリやトップの原因になります。
グリップを短く持つこと、バックスイングよりフォローを大きくすることを意識して振ることで、ヘッドを減速せず加速することができるので、ダフリやトップといったミスはなくなるでしょう。

 

世界で活躍する宮里藍選手は2度のイップスを克服した

いつも笑顔でキラキラしたイメージが強い宮里藍選手も何とイップスを経験しているのです。
しかも2度も!?

1度目は米ツアー参戦当初にドライバーイップスに陥りました。
ドライバーが思うようにコントロール出来なくなったのです。

アメリカの選手たちとの飛距離の差に完全に自分のゴルフに対しての自信を失ってしまったのです。

その当時の彼女は毎日のように涙を流したと話しています。

しかしあるカウンセラーのアドバイスにより、飛距離に執着するのを止めたことでイップスを克服しました。

2度目は2013年に新しいパターを試したところ、パットの感覚が合わなくなってしまったことが原因でパターイップスに陥りました。

パットを武器に世界ランク1位にまでなった彼女にとって、パターイップスは致命傷でした。
バーディーチャンスにつけてもことごとくパットを外してしまうのですから。

ドライバーのイップスでは、ある程度ミスしてもフェアウェイにボールがあればまだ修正が効きます。
しかしパットは決めなければいけません。

彼女は現状から逃げ出すことなく、試合前後に黙々と繰り返しパットの練習をし、四六時中パットと向き合うことで2度目のイップスを克服しました。

強靭な忍耐力と向上心を持ち合わせている彼女だからこそ成し得たことかもしれません。

 

イップスなんて自分には関係ない

そこまで真剣にゴルフをしていないからイップスの心配なんてないと思っていませんか?
でもイップスは誰でもかかる可能性のある精神的な病気なのです。

ゴルフイップスについてお話しましたが、ゴルフに限らず他のスポーツでも起こります。
「とくにゴルフ」といわれるのが、メンタルのスポーツであることが強いからでしょう。
外からのプレッシャーや自分の中で生じるプレッシャーによるものなので、自分でも気づかないうちになってしまっているのがイップス病なので気をつけましょう!