毎年のように、シーズン終盤に掛かると女子プロゴルファーの賞金女王争いに注目が集まります。
また熾烈なシード権争いにも同じくらい注目が集まります。
そしてこの時期になると良く耳にするのが「QT」です。
シード落ちした選手たちが出場するQTはかなり過酷と言われています。
果たしてそのQTとはどのようなものなのでしょうか。
QTとは
QTとは「クオリファイングトーナメント」の略です。
これはシード権を持たないプロゴルファーやアマチュアゴルファーが、来シーズンのツアー出場のためのシード権を争うトーナメントのことです。
QTはファースト、セカンド、サード、ファイナルと4つのステップを経なければなりません。
ファーストから挑戦している選手にとっては険しい勝ち抜き戦になります。
またその年にシード権を失った選手は、ファイナルQTでのランキングによって翌シーズンのメジャーツアーへの出場回数を左右する重要なものになります。
シーズン終盤に掛かったシード権争いはかなり熾烈です。
数年前の女子プロゴルファーはシード権を獲得できる選手とそうでない選手の獲得賞金の差は、僅か数万円と言うこともありました。
僅か数万円の違いで、来シーズンメジャーツアーに参戦できるかできないかが決まるのでこれはかなり大きいのです。
シード権を持たない人たちが戦う日本女子ゴルフのQTを、ファーストからファイナルまで説明しましょう。
日本女子プロゴルフ協会のファーストQTとは
日本女子プロゴルフ協会のファーストQTとは、8月初旬と下旬に4会場にて3日間54ホールのストロークプレーで行われます。
2017年ファーストQTの参加者は365名でした。
出場資格は満18歳以上の女子で以下の条件をいずれか満たす必要があります。
①LPGA会員1名の推薦を受けた者
②海外のゴルフ協会、海外のプロゴルフ協会の推薦を受けた者
③国内のゴルフ場責任者、国内のゴルフ練習場責任者の推薦を受けた者
④上記以外でLPGAが承認した者
ファーストQTを通過できるのは、各会場の出場人数合計の20%タイの選手です。
つまり出場人数が500人を超えたら、セカンドQTへ進めるのは全会場合計で100人を上限としています。
これを見ただけでもQTファーストの段階で狭き門と言うのは分かるでしょう。
このレベルの戦いをファイナルまで続けるのは肉体的にも精神的にも相当なものです。
賞金女王争いを見ていると華やかなイメージを持ちます。
しかしプロテストを不合格した人やレギュラーツアーになかなか出られない選手達は、何年もこの過酷なQTの出場を続けているのです。
日本女子プロゴルフ協会のセカンドQTとは
日本女子プロゴルフ協会のセカンドQTとは、10月下旬から11月初旬に4会場にて3日間54ホールのストロークプレーで行われます。
2017年セカンドQTの参加者は363名でした。
参加者人数を見て、「あれ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
実のところ、セカンドQTの出場資格はファーストQTを通過した人だけではないのです。
①LPGA会員
②その年にプロテストに合格した者
③ファーストQTからの進出者
④上記以外でLPGAが承認した者
これらがセカンドQTの出場資格となります。
そしてセカンドQTを通過できるのは、各会場の上位者のみとなっています。
各会場からの進出人数についてはその年の会場ごとに示されます。
また②については、ステップアップツアーで優勝した選手はセカンドQTは免除となり、サードQTからの出場になります。
優勝すること自体難しいのですが、優勝をすればそれはかなり大きなアドバンテージとなるということです。
難関と言われているプロテストに合格しても、それからレギュラーツアーに出られるまでも大変なのです。
日本女子プロゴルフ協会のサードQTとは
日本女子プロゴルフ協会のサードQTとは、11月下旬に2会場にて3日間54ホールのストロークプレーで行われます。
2017年サードQTの参加者は201名でした。
ここまでくると出場資格がセカンドQTを通過した人だけでなくとも、グッと出場できる人数は減ります。
サードQTの出場資格は以下の通りです。
①その年の第43週のLPGAツアーの競技終了後賞金ランキングで70位まででシード権の無い者
②ステップアップツアーの優勝者
③ステップアップツアー賞金ランキング6~10位の者
④セカンドQTからの進出者
⑤上記以外でLPGAが承認した者
またサードQTは会場あたりの出場人数が上限102人となっています。
シード権を持たない選手は、第43週のLPGAツアー終了までに賞金ランキングで70位までに入ることが一つの目標や目安になります。
その1年の頑張りが次のシーズンのシード権やQTランキングに大きく関係します。
ですからシード権の無い選手たちは少しのチャンスをも逃すことはできないのです。
日本女子プロゴルフ協会のファイナルQTとは
日本女子プロゴルフ協会のファイナルQTとは、12月初旬に1会場にて4日間72ホールのストロークプレーで行われます。
2017年のファイナルQTの参加者は100名でした。
サードQTから約半分に減りました。
そしてファイナルQTになると出場資格もだいぶ違ってきます。
①第46週のLPGAツアー競技終了時の賞金ランキングが56~60位の者
②LPGAツアーのシード選手で、翌年度のシード権を獲得できなかった者
③トーナメント特別保障制度適用者で、翌年度のシード権を獲得できなかった者
④サードQTからの進出者
⑤上記以外でLPGAが承認した者
①②③がファイナルQTへの出場資格を得た中で参加者が100人だったと言うことは、それだけサードQTを通過した選手は少ないと言うことです。
この人数から、毎週のようにテレビに映るレギュラーツアーで活躍しているプロゴルファーたちが、どのくらい凄いことなのかが理解できますよね。
そこに至るまで彼女たちは相当な努力を重ねてきたでしょうし、また得たものを逃さないように更なる努力を重ねているのです。
1打の重みの違いがプロとアマの違い
アマチュアゴルファーで優勝を飾った女子プロゴルファーは、宮里藍・勝みなみ・畑岡奈紗です。
もちろん彼女たちが群を抜いてゴルフが上手かったと言うこともあります。
しかし彼女たちが優勝できたのは、1打の重みがプロとは違ったからと言うのもあるのです。
プロになると1打の重みやその1打に掛かる賞金と言うのが出てきます。
ですから彼女たちは攻める時と守る時をしっかりと決めてラウンドします。
分かりやすく言うと、プロゴルファーは危険を冒すことはないのです。
しかしアマチュアにはその重みが無いので、危険を顧みずダイレクトにピンを狙うことがあります。
上手く行けばバーディー、失敗したらダブルボギーの可能性があったとしてもです。
しかしプロになってシード権とは何なのか、QTとは何なのかが分かってくると、小さなチャンスを逃さずに、そして大きなミスのないように、いかに上位に食い込めるのかが全てとなります。
そのような視点でツアーを見ていると、プロとアマチュアのマネジメントの違いが良く見えてきます。
だからプロゴルファーをもっと応援しよう!
QTとは良く耳にするけれど、どれだけ大変なものなのかを理解している人は少なかったでしょう。
しかしその過酷さが分かると、トッププロたちの凄さと日の目をまだみていない選手たちのがんばりが見えてきますよね。
普段はレギュラーツアーしか観戦する機会はないかもしれませんが、がんばっている選手達を精一杯応援してみませんか。