北海道のゴルフ場の芝の良さは全国的に有名ですが、その理由は本場スコットランドの洋芝と同じ感触でプレーができるというものです。
そんな憧れの北海道の芝ですが、年間を通して良いわけではありません。
ベストシーズンとそれ以外の時季の芝の状況を紹介します。
北海道のゴルフ場には総ベント芝がある理由
北海道のゴルフ場の芝は、本場スコットランドの芝と似ていると言われています。
いわゆる洋芝は、低温多湿のところで育ちやすく、気温の高いところでは枯れてしまう品種でした。
俗に言うところのベント芝のことですが、現在は種苗改良が進み、九州や沖縄でもベント芝のゴルフ場はあります。
このベントの良いところは、冬季でも芝の色が緑な点です。
和芝(高麗芝)だと冬季は茶色に枯れるので、グリーン面には緑色で着色して、遠目でもその範囲を分かるようにしなければなりません。
しかしベント芝は例え雪の下で春を迎えても、緑色のままで枯れることはありません。
一方で夏季の高温には弱く、気温が25度前後から弱くなり、30度を超えると小まめな散水が必要になります。
ちなみに北海道は広いので、「北海道の気温」と言っても地域によって全く違います。
一般的に北海道を縦に分けて左(西)側は多湿で降雪量が多く、右(東)側は乾燥して積雪量の少ない地域が多くなります。
また道東の端、釧路や根室は夏季でも20度前後、それ以上になると濃霧となって日光を遮るため、夏でも肌寒い日が続きます。
芝にとって恵まれたそんな地域では、ティーグラウンドからグリーンまでが総ベント芝のコースもあります。
北海道のゴルフ場の芝が良くなるのは梅雨の時期から?
北海道でも雪の降らない、もしくは降ってもあまり積もらない地域があります。
雪が降らずに芝が緑色ですから、「冬でもゴルフが……」と思われるでしょうが、最低気温マイナス20度前後の日が続くため、凍土で芝面はコンクリートのように固くなります。
打ち出したボールは、コーンと着弾の音が聞こえてから、飛距離の倍くらい転がっていくこともあり、それが楽しいかといえば微妙なところもあるものです。
しかも日昼の日差しで凍った芝の表面が融けると、グニュグニュとぬかるみ、地元ゴルファーでも歩きにくい時もあります。
一方で夏はと言うと、まさに北海道らしい爽やかなカラッとした天候で、しかも深緑の芝は洋芝独特の粘り強さが、まるで世界のトッププロが戦うトーナメントコース様相です。
ただ、そんな時季はほんのわずか、冬期間も芝の色は緑ですが、新芽が出るのは6月頃からです。
新芽の頃の芝は弱々しく、ベアグラウンドにか細い芝が生え揃ったようなイメージです。
この時期のセカンド以降のショットは、ダウンブローに打ち抜くようにしないと、トップする可能性があります。
北海道のゴルフ場はベストシーズン以外芝のメンテしている?
6月15日の「北海道祭り」を過ぎると、企業や学校の制服は、夏服へと衣替えの時期になります。
ゴルフの芝も勢いづき、まさに緑の絨毯のような綺麗な状態になります。
この頃本州では梅雨の時期になりますが、北海道は雨の少ない晴天の日が続きます。
芝の育成にとってはもっとも良い時期なので、多くのコースは施肥で栄養を与え、夏に向けて強くて丈夫な芝になるよう手を加えています。
多くのゴルファーが「北海道の芝」というのは、この時期の状態を指すのではないでしょうか。
一方で施肥(肥料を与えること)の影響もあり、ベント特有の芝の病気が発生する時期でもあります。
どこか一箇所で発生すると、あっという間にコース全体に広がり枯死してしまうため、本グリーンを使用制限して小さなサブグリーンに変更したり、芝面に切り込みを入れる根切り(シーダ)などを行います。
そんな場面に出くわすと、「畑のようなコースコンディション」といわれるほどで、とてもベント芝を楽しむどころではなくなります。
現在はホームページ上でメンテナンスの確認ができるようになっているので、覗いてみると良いかもしれません。
北海道のゴルフ場はベント芝だけではない!
北海道のゴルフ場の中でも総ベントのコースは限られています。
芝を維持するための天候も理由の1つですが、何よりも初期段階でその造成費用が用意できたかが限定されている理由です。
ただバブル崩壊後の北海道のゴルフ場は再生される機会に恵まれず、ベント芝のコースもその維持管理費用を捻出するのが難しい時期がありました。
一旦ベント芝に雑草が入ると、あっという間に他の芝に侵食されていきます。
北海道のゴルフ場で雑草といえば、スズメノカタビラです。
イネ科のスズメノカタビラは、細い茎の先に稲穂のような種ができます。
1茎に数十粒の種ができ、それが周辺で育ってさらに広がり、徐々に全域に広がっていきます。
しかも種がシューズについたままプレーすると、グリーン上に植えることにもなり、飛び地的な広がりとなっていきます。
このスズメノカタビラがグリーン上にあっても、慣れないと見分けはつきません。
なぜなら細い茎だけしかなく、穂の部分は刈り取られているからです。
この真っ直ぐ立つスズメノカタビラは、芝目に沿って生育するベント芝と違うため、ブレーキの役目を果たして、転がりを妨害したりラインを変えたりするので、強めのパッティングは不可欠です。
北海道のゴルフ場の芝は粘るので打ち方を覚えて!
多くのゴルファーが、北海道でベント芝のコースでゴルフをして感じるのは、フェアウェイウッドが打てないという事です。
ベント芝は葉幅が細くて柔らかいため、ボールの重量を支えることができません。
ですからフェアウェイでもボールは沈んだ状態になっています。
どのくらい沈んでいるかというと、刈ったばかりのフェアウェイで、ボールの丁度半分が芝下に沈んでしまう状態です。
そのため高麗芝でのアッパーブローのスイングを身につけているプレイヤーにとっては、かなりの難易度だと考えられます。
こんな時は少し短めに握り、上から下に向けてヘッドを振り下ろすようにして、フォロースルーは意識しません。
フェースさえターゲット方向に面していれば、若干飛距離は落ちますが、方向性に間違いはなく、どんなライでも打つことができるでしょう。
ちなみにラフでは、アイアンよりもこの打ち込むウッドのほうが、芝の抵抗を受けずにショットすることができるはずです。
北海道はあっと言う間に冬が来るのでゴルフの芝も冬支度
北海道の夏は7月25日から8月10日頃までで、8月15日からは秋へと衣替えしていきます。
日によっては夏日になる時もまだまだありますが、早朝や夕方のゴルフには厚めの上着(ジャンパー)が必要になります。
9月に入ると多くのゴルフ場は、来たるべき冬に備えて、芝のメンテナンスを始めます。
フェアウェイでは芝面を切り込むシーダが行われ、グリーン前では穴を開けるエアレーションで、初めてみる人は驚くことになるでしょう。
10月中順には初雪の到来で、それまでコース内は落葉した葉っぱにボールが隠れて、フェアウェイでもロストすることがあるほどです。
もちろんグリーン上では、どんなに大きな葉っぱでも、気にしていたら1日中その場所から動けなくなってしまいます。
「これが北海道のゴルフ」と思って、葉っぱの上を転がす気持ちでパッティングしましょう。
札幌近郊なら11月中旬まで、千歳空港周辺なら12月まででクローズ、そして函館周辺なら翌年2月にはオープンというコースもあります。
とにかく広い北の大地、一番良い時期を狙って本場スコットランド芝を体験してみてはいかがでしょう。
北海道のゴルフ場はベント芝より難しい芝の攻略が必要
北海道のゴルフ場の大半の芝は、スズメノカタビラです。
もちろん転がりが重視されるグリーン面はスズメが増えると張り替えますが、除草することができないため、放置しているのが現状です。
芝目を読む時、斑点のようなスポットが見えたら、それがスズメノカタビラです。
少し強めにタップすれば、ラインからずれることなくカップインするはずです。