パターの方向性を左右するのはパッティングフォームだけではありません。
使用パターのライ角が合っていないと、方向性が定まらずミスパットになりやすいと言われています。
そんなパッティングにとって重要なライ角ですが、市販パターの大半が70度から74度に設定されている理由と効果について紹介します。
本当にライ角70~74度のパターが合っているの?
パターを構える時、どんな姿勢が良いのでしょうか?
ドライバーやアイアンには、たくさんのスイングフォームがあります。
右足体重でアッパーブローに打つために、ビハインドザボールの姿勢をとる人や、左足に体重を乗せてダウンブローに打ち込むために、左壁を意識した姿勢をとる人もいます。
どの姿勢も間違いではありませんが、求める球筋の違いからスイングフォームやアドレスの姿勢が変わってくるわけです。
ではパターを構える時も球筋で姿勢を決めることになるのでしょうか。
ロングパットとショートパットで打ち方を変えることがあります。
ロングパットは振り子をイメージしたストローク式でボールに順回転を与え、ショートパットはヘッドをスライドさせるタップ式で、フェース面をカップの反対側に合せて強めに打ちます。
振り子式であればシャフトは垂直に近いほうが扱いやすく、スライド式ならグリップを身体に近づけられるようシャフトが傾斜しているほうが扱いやすいでしょう。
ところが市販のパターのライ角を見ると、70度から74度が一般的になっています。
L型パターはライ角74度のほうが打ちやすい?
ルールで決められているパターのライ角は79度以下です。
つまり、シャフトを垂直にすることはできなくなっています。
もっとも79度に近いのは長尺パターで、モデルによって若干の違いはありますが、設計角度78度で設定されています。
逆にライ角が緩やかなパターは、身体の中心軸を基点にして、緩い弧を描くようにヘッドを動かすことができます。
そのためアイアンと同じようなL型パターであれば、70度から74度が扱いやすいかもしれません。
ピッチングウェッジの一般的なライ角は64度で設定さています。
グリップの位置がパターを構えたときよりも離れていることを考えると、33~34インチで70~74度のパターはウェッジと同じ感覚でパッティングできることになります。
ここで大事なことは、パッティングフォームとパターの形状がマッチングしているかということです。
長尺パターを例にパッティングの仕方とパターの形状について考えてみましょう。
市販のライ角が74度に設定しているヒントは長尺パターにある
パターのライ角が、パッティングフォームとパター形状の適合に影響を与えています。
先ごろ長尺パターを対象としたアンカーリングの禁止が決まりました。
理由はアンカーリング(基点を設ける)するパッティングだということです。
この改正が適正であったのかは疑問の残るところですが、とりあえず顎や首元でアンカーリングができなければ、78度のライ角を持つ長尺パターはメリットがほとんどなく使い物になりません。
身体から離して竹ぼうきのようにパッティングするわけですが、シャフトは垂直ではないので、ボールはグリップ位置よりも前方に置くことになります。
本来はやさしいはずの長尺パターですが、敢えて長尺パターを使ったパッティングのほうが難しいと言うことになります。
この長尺パターは極端な例ですが、パターの形状に合わせたパッティングフォームでなければ、その特性を活かすことはできません。
「正しい構え」とはパター形状に合わせることなのです。
そこで気になるのは、市販のパターのライ角が、70度から74度で設定されていることです。
基本のパターの姿勢を作れるのがライ角74度?
では市販されているパターのライ角が、70度から74度で設定されているのはなぜでしょう?
本来であれば、パター形状にパッティングフォームが適合しなければならないはずです。
それなのにライ角は70度から74度という、狭い範囲で大半のパターが販売されています。
この70度から74度のライ角は、基本の姿勢から考えられたものなのです。
パターは自由に構えて良いことになっていますが、製造側からすると対象とするパッティングフォームから、その形状を導き出すことになります。
それが基本の姿勢です。
パッティングラインに対して平行に立ち、上半身を前傾させます。
両腕は肩から真っ直ぐ下りてグリップの位置と垂直になるように構えます。
ボールを左目の真下に置くと、つま先からおよそヘッド1個分離れたところになるでしょう。
ゴルフ教本などに載るこの姿勢で構えた時、ライ角が70度から74度というのが、もっとも構えやすい角度ということになるのです。
ライ角74度はアップライトなパター?
基本の姿勢でパターを構えた時、70度から74度のライ角によって、スクエアにヘッドを動かすことができます。
もしもパターのライ角がアップライトであればボールは左方向に行きやすく、逆にフラットだと右方向に転がりやくなります。
ちなみにアップライトとは74度以上で、フラットは69度以下と言われています。
では一般ゴルファーが、パターのライ角を決める時は、何を基準にしたら良いのでしょう。
前述のようにパターの構え方は自由なので、深く膝を曲げる、腰を曲げる、前屈みで構える、両膝や背筋を伸ばす、様々な打ち方があります。
アドレスの姿勢はもちろんのこと身長や腕の長さ、またシャフトの長さによってもライ角は変わるのです。
つまりゴルファーによって全く違うわけです。
その確認方法は、グリップラバーを無視して一番構えやすい姿勢をとります。
ボールの位置を明確にして、グリップした位置にテープを貼ります。
シャフトカットで長さを決めて、後はボールの位置に合せてライ角調整を行えば、マッチングしたパターを得ることができます。
パターの長さを考慮すればライ角は70~74度が使いやすい
パターのシャフトをカットするとバランスが変わってしまい、フィーリングが合わなくなってしまうことがあります。
またパッティングフォームは不動のものではなく、シーズンごとに変更したり、中にはシーズン中でも全く違うフォーム改造することも珍しいことではありません。
シャフトを切ってしまうと、次にフォームを変えた時に、そのパターは使い物にならないことがあります。
そのため他のクラブ以上にシャフトカットは慎重に行うようにしましょう。
ちなみに身長170センチで34インチ、180センチで35インチが1つの目安です。
基本は、市販されている70度から74度のライ角を活かして、パッティングをすることです。
もしもパッティングに悩みが出てきた時には、ライ角がアップライトなパターを使うと解決の道が見つかるかもしれません。
パターの上限ギリギリのライ角を持つ長尺パターが席巻したのは、シャフトが垂直に近く、振り子のような動きができたことに理由があります。
後はシャフトの長さとグリップの位置さえ合えば、構えやすいパターになるはずです。
70~74度のライ角に合わせてパターを構える
パッティングフォームの違いがあっても、方向性を考えた時、パターのライ角は重要です。
パターの構えは流動的なので、1つのライ角に固執することなく、常に自分に合ったものを使うようにしたいものです。
ただし、ライ角調整するとそう簡単に元に戻すことはできませんので、70~74度のライ角に合わせてパッティングフォームを作ったほうが良いかもしれません。