覚えたての頃、先輩にグリップの握りを教えられ、そのまま疑うことなく同じ握り方で続けている人が多いようです。
実際には人によって右手と左手の力は違いますし、大きさにも違いがあります。
ここで自分に合ったグリップの握り方を確認していきたいと思います。
右手と左手の大きさの違いでグリップの握り方は変わる?
昔はゴルフを始めるとき先輩から教えてもらうことが多く、最初にグリップの握り方から教えてもらったものです。
今とは違って木製のパーシモンのヘッドは重く、またその重いヘッドを支えるシャフトもずっしりとくるスチール製でした。
そんな重いクラブをしっかり握るために、多くのゴルファーはインターロッキンググリップにしてクラブを振っていたわけです。
ところがクラブヘッドは木製からスチール、カーボン、チタンへと進化していき、金属製ヘッドの内側が空洞になったことで、クラブヘッドの重量は一気に軽くなります。
また支えるシャフトも弾性が高くて軽いカーボンシャフトの開発によって、手の力を抑えるオーバーラッピンググリップが主流となっていきます。
どちらの握り方にも一長一短はありますが、クラブの進化に着目するだけではなく、体の構造を理解することで握り方を考えてみてはいかがでしょう。
本当によいクラブの握り方はどれなのか、右手と左手の大きさの違いによって握り方を探ってみたいと思います。
左手主導と手の大きさを考慮して右手の力を必要とする握り方
基本的には左右対称と言われる人間の体ですが、実際には視力には利き目がありますし、利き手や利き足など運動能力の違いもあるものです。
その利き手や利き足は、筋肉や神経を良く使うために、若干大きさにも違いがあります。
靴のサイズは左右同じものを履くと思いますが、実際に計測すると5ミリから1センチ程度の違いがあるそうです。
また手の大きさも違い、両手グローブを選ぶときは左右セットのものよりも、片手ずつサイズを選んだ方がしっくりくると思います。
ちなみにグローブのサイズは指の長さや全体的な大きさではなく、手のひらの周囲を計ってセンチで表示したものです。
ですから身体が小さく指が短くても、手のひらが厚ければグローブのサイズは大きくなります。
手のひらのサイズが小さくても指が長ければフィンガーグリップでしっかりホールドすることができますし、手のひらが大きければパームグリップで包み込むように握ることができます。
まずはグリップで先に握る左手の大きさでフィンガーかパームかを決めて、次にサポートする右手でインターロッキングかオーバーラッピングを決めると、握りやすい形になると思います。
左手の大きさよりも右手が小さい人に有利なグリップとは
ここでインターロッキンググリップについて確認してみましょう。
インターロッキングは左手の人差し指と右手の中指を絡めた握り方で、両手の一体感を強く感じられるのが特徴です。
昔は左手の小さな人に有利な握り方と考えられていて、どちらかというと握力の弱い人、ジュニア、レディースに向いていると考えられていました。
ただし左手の人差し指の力が削がれることから、右手の力が増すためにいわゆる右手主導のスイングになりがちとも言われています。
ところが現在は世界の一流選手の多くが、インターロッキングで握っているので、必ずしも握力によるものではないと思います。
その火付け役となったのがタイガー・ウッズです。
彼の握り方がインターロッキングだったことで、多くの選手が真似をしたとも言われています。
そのタイガーの手が小さいとは思えませんし握力が弱いとも思えませんので、現在では手の大きさや握力でインターロッキングを選択することはないと考えられています。
基本通りにグリップすれば右手と左手の大きさは気にならない
次にパームグリップについて確認してみましょう。
左手の手のひらで包むように握るのがパームグリップです。
いくつかの握り方はありますが、目の前で左手人差し指の付け根を上にして垂直にグリップを合わせるのが基本的の形で、手のひらの大きな人に向いています。
手のひらの中央を斜めに握ることから、右手よりも左手の力が強くなり、左手主導のスイングになると言われています。
そして右手の力が弱まることから、腕力の強い男性などに向いていて、またアイアンでの強烈なダウンブローが可能なグリップでもあります。
ちなみにテークバックでは、右肘が折れた状態なので力は入りません。
アームレスリングで例えると「負け」の状態がトップの位置です。
当然力が入らず左手主導でダウンスイングしますが、右肘が伸びるインパクトの直前では左手よりも右手の方が強く使えることになり、強いインパクトが可能となります。
ただしグリップを握るとき、右手をかぶせた状態になりがちなので、左手首が甲側に折れやすく、トップではオーバースイング、インパクトでは左手の甲を返すローリングをしてしまう可能性が高いとも言われています。
どちらにしてもゴルファーの大半はこのパームグリップを使っていますので、手のひらの大きさに関係なく基本通りに握ることができたら安心感があると思います。
右手は添えるだけ?手のひらの大きさ一杯で包み込む握り方
左手主導でスイングするならパームブリップのほうが扱いやすいと思います。
左手は手のひらの大きさ一杯にしっかり握って右手は添えるようにすると、スイング全体は左手主導で動きます。
ただしインパクトの直前では、右腕も身体の中央で真っ直ぐ伸ばすことができているので、強いインパクトを加える役目を担うことになります。
つまり、どちらかの手だけで打つのではなく、両手を使ってスイングするわけです。
ですから左手主導だから左手だけ強く握るとか、右手は添えるだけといったものではなく、どちらもしっかり握る必要があります。
基本的にグリップは「しっかり握る」ことが条件で、自分にあった握り方を選びますが、しっかり握ることと「強く握ること」とは違います。
強く握りすぎると手首が固まり、ヘッドスピードは落ちてしまいます。
グリップしてヘッドをセットした状態ではフェースはスクエアです。
そしてテークバックでグリップを右側に引くとき、フェースの向きは飛球線と並行になります。
そのままトップの位置まで引き、そこからダウンスイングが開始されますが、このときフェースはボールに向いていません。
インパクトゾーンに入ったとき、やっとフェースはスクエアな向きとなり、インパクトに備えるわけですが、このフェースの向きが変わるときのヘッドスピードは、ドライバーであればおよそ150キロです。
そんな一瞬のうちに横を向いていた手首を直角(スクエア)にするのですから、手首がやわらかくないと早い動きに対応することはできません。
ですから適度な握力で手首をやわらかく保つことが大切です。
右手と左手の大きさがなければロングサムになるかもしれない
パームグリップには欠点があります。
それは左手の大きさがグリップの握り方に影響を及ぼします。
大きければ手のひらで包み込むように握ることができますが、小さければ横から添えて右手とともに挟むような握り方になります。
挟む握り方自体は悪いわけではありませんが、左手の親指の自由度が失われることになります。
グリップするときの左手親指の形については、個々に論争がありどちらが正しいということは言えませんが、少なくとも手のひらが小さい人がパームグリップを選択すると、ロングサムでしか握ることはできません。
親指の付け根から指全体をグリップの上に乗せるのが「ロングサム」です。
一方でインターロッキンググリップの場合には、親指の第一関節を外側に曲げて指先でグリップを押し付ける「ショートサム」と「ロングサム」の両方を選択できます。
ロングサムの欠点はトップの位置で手首が甲側に返り、オーバースイングになりやすいこと、インパクトゾーンでコックをほどくタイミングが遅れることなどがあります。
もちろん練習や慣れによって克服できる問題ですが、親指の形を気にする場合には自由度が少ない握り方といえます。
世界で戦う一流プロがインターロッキングを導入しているところを考えると、ヘッドスピードと方向性で悩みがある人にとっては、シーズンオフにでも一度挑戦してみたい握り方ではないでしょうか。
右手と左手の違いや大きさを考えて握り方を変えてみよう
道具を使う競技であるゴルフにとって、グリップの握り方はとても重要です。
特に右手と左手の違い、またその大きさによって自分にあった握り方をする方が良いと思います。
「みんながしているから」「先輩に教えられたから」と疑うことなく、グリップの握りを続けるのではなく、一度見直してみてはいかがでしょうか。