2017年5月に引退発表を行った宮里藍選手。
ゴルファーからは驚きの声と共に、ファンからは惜しまれる声が沢山でました。
そんな宮里藍選手ですが、まだまだ第一線で活躍できると思わせるスイングの持ち主と言えます。
スロー動画を見ても、しっかりとしたスイングでボールを捉えており、さすが一流プロのスイングと言えます。
では、宮里藍選手のスイング、どこがすばらしいのか見ていきましょう。
宮里藍選手のスイングをスローで見るとボールの捉え方が上手い
宮里藍選手のスイング動画をスローで見ると、ボールの捉え方が非常に上手い選手という事が分かります。
アドレスはどっしりと構え、ややストロンググリップです。
このストロンググリップでもインパクトでフェースがかぶらない様に上手く体をターンさせています。
普通グリップをフックやストロングにするとボールを捕まえる為のフェースターンが多くなり、体の回転が遅れるとひっかかりやすく左への失敗が多くなるのですが、宮里藍選手のスイングは、体の左サイドをきっちりと逃がして、引っかからない様にしています。
タイミングの取り方が上手いのですね。
また、腕の力を使っていない為、インパクトに力みはなく、この事もボールが引っかからない一因と言えます。
上手くインサイドからフェースが入って、インサイドへ抜けていっている為、捕まったドローボールになっています。
球筋から見るとまだまだ戦えるボール、プロでいう所の飯の食えるボールであると言えます。
宮里藍選手のスイングアークは大きい事がスロー動画で分かる
小柄な宮里藍選手ですが、そのハンデを補完する為、大きなスイングアークで飛ばしている事がスロー動画から見て取る事ができます。
バックスイングではコックを使わずにトップまで大きなアークを描くように上げています。
普通、大きなアークを描こうとすると、手の力だけで行おうとするケースが多いのですが、宮里藍選手は体の大きな力、背筋や肩の力を使っています。
なので、正しいスイングプレーンから外れる事なくトップまでクラブが上がっています。
コックを使わない分、バックスイングでの右サイドに若干の窮屈さを感じますが、宮里藍選手は上手くトップにクラブが収まっています。
バックスイングで大きなスイングアークを描けている為、ダウンスイングでも大きなアークで下ろす事ができます。
スイングアークを大きくしようとするとクラブが寝て下りてきやすいのですが、上手くクラブを立てて下ろせている事も特徴の1つです。
このダウンスイングの動きなら、ボールが大きく曲がる事なく飛ばせるはずです。
宮里藍選手のスイングの素晴らしい所、ダウンスイングでの手の下ろし方
宮里藍選手のスイング動画を後方から見ると、クラブがプレーン上に立って下りてきています。
スロー動画で見るとより分かりやすいのですが、クラブが寝ていない為、ボールの下からヘッドが入る様な動きが無い事が分かります。
このクラブを立てる動きを担っているのが、手の下ろし方にあります。
宮里藍選手のダウンスイング時の手の動きをスローで見ると、トップから右腕が真下に落ちる様な動きとなっています。
ここでしっかりと手を下ろす事が出来る為、クラブが寝ないのですね。
アマチュアゴルファーがよくやるスイングは、トップから手が真下に下りず、前に下りていきます。
この動きだと、必ずシャフトは寝て入る事になります。
しかも、体の正面から両腕が外れる為、いつも正確なボールを打つ事ができません。
宮里藍選手の様に、トップからの切り返しで早く真下に手が下りる様にすれば、上半身の回転と両腕の動きがシンクロしたスイングができ、インパクトも正確になります。
宮里藍選手のスイング、アプローチのテクニックが素晴らしい
長年アメリカツアーを戦っている宮里藍選手ですが、世界中のトッププロが戦うアメリカツアーで優勝する事はもちろん、シードを維持する事だけでもすごい事ですよね。
そんなハイレベルなアメリカツアーで宮里藍選手が長年戦えているのは、アプローチの上手さと言えます。
アメリカツアーが行われるコースの芝は日本のそれとは違い、粘りが強くヘッドに芝が絡みつきます。
グリーン周りの芝からのアプローチも色々な打ち方ができないと寄せる事は困難と言えるでしょう。
宮里藍選手、さすが長年アメリカツアーの第一線で戦っているだけあって、アプローチの引き出しも非常に多いです。
普通のピッチエンドランでも、絡む芝を考えてややフェースを開き気味にしたり、インパクト時に左肘を抜いてヘッドが返らない様にしたりと、ここぞという場面でのアプローチのテクニックはさすがと言えます。
こうしたアプローチのテクニックは宮里藍選手のスイングをスローで見ると分かりますので、スコアを伸ばしたいゴルファーには是非見ていただきたい内容です。
宮里藍選手のスイングが素晴らしくても敵わない欧米選手のパワー
昨今、アメリカツアーに代表される海外プロツアーの傾向として、パワーゲームになってきている所があります。
ゴルフは飛ぶ方が有利な事は言うまでもありませんが、コースには飛ぶだけではスコアにならない要素があり、かつパッティングの様にグリーンに上がった途端全く別のスポーツになってしまうような感があるのもゴルフです。
しかし、それでも飛ぶ方が有利な事に変わりはなく、実際、次打を短いクラブで打てるのは有利ですよね。
宮里藍選手のスイングが優れていても、欧米選手のパワーゲームにはついていけないのではないかと思われます。
道具の進化によってプロツアーの開催されるゴルフコースも長くなってきており、そんな中で日本人でも小柄な方である宮里藍選手が苦戦を強いられるのは自明と言えます。
特にアメリカ人ゴルファーは男女問わず大柄な選手が多く、アジア人では敵わない様なパワーと飛距離を出します。
最近では、女子プロでも平均飛距離が300ヤード近くの選手も珍しくなくなってきています。
こういった飛ばし屋プロのスイングはスローで見ると宮里藍選手のスイングとは違う事に気づきます。
今回、宮里藍選手が引退を決めた理由の1つとして、パワーゲームがあるのではないかと推察されます。
宮里藍選手だけでなく宮里兄弟のスイングテンポはスロー
宮里藍選手だけでなく、プロゴルファーであるお兄さん達のバックスイングもゆっくりスローめです。
一緒に幼い頃からティーチングプロである父親にゴルフを習ってきた影響なのでしょうが、宮里兄弟のスイングは皆ゆっくりとしています。
バックスイングをゆっくり上げるのにはメリットがあり、まずトップを深くできるという事が挙げられます。
また、スイングをゆっくりスローにする事でプレッシャーがかかった際に打ち急がなくなるといったメリットもあります。
人間、プレッシャーがかかると体が硬くなる傾向があるため、宮里藍選手のゆったりとしたバックスイングはスイングに好影響と言えます。
特に、スイングテンポが速くなるとダウンスイング時のクラブ軌道がズレる為注意が必要です。
アマチュアゴルファーのほとんどは打ち急ぎの傾向があると言えるため、宮里藍選手の様にゆっくりと大きなバックスイングを真似てみてください。
打ち急がなくなるとミスショットが減る事間違いなしです。
まだまだ戦える宮里藍選手のスイング
惜しまれながら今季で引退する宮里藍選手ですが、そのスイングはまだまだ第一線で戦えると言えます。
アメリカツアーではパワーゲームの傾向が強い為、そちらではなく日本ツアーでその活躍を見たいと思うファンも多いですよね。
少し特徴的なスイングと言えますが、しっかりと捕まったドローボールはプロの球筋と言えます。
特にダウンスイングでの手の落とし方は非常に参考になる為、アマチュアゴルファーの手本となります。