飛距離アップをさせるためにとヘッドスピードばかりを気にするゴルファーがいます。
「中部銀次郎の流儀」でゴルフは物理と芸術と書かれています。
飛距離アップに必要なのは、ボール初速とミート率です。
これを物理的に考えるとより効率良く飛距離を伸ばすことができます。
するとヘッドスピードのことなんてきっと忘れてしまうでしょう。
効率良く上達するためのゴルフの物理学
ゴルフは老若男女関係なく一緒に楽しめるスポーツです。
一般男性よりもはるかに体が小さく筋力も劣る女子プロゴルファーが、飛距離を上回ることがそれを証明しています。
それは単純なパワーやスイングアークの大きさだけで起こることではありません。
ドライバーやアイアンのフルショットは、クラブヘッドの遠心力を利用し、物理的な理論、物理的な法則があるのです。
それらのスイングには基本になるセオリーがあり、それに沿ってショットをするのでどちらかというとマニュアル化しやすいのです。
韓国のプロゴルファーは教科書に沿ったマニュアル通りのスイングをします。
日本やアメリカのプロゴルファーはどちらかというと、オーバースイングだったりと個性的なスイングをします。
しかし飛距離は変わらなかったり、アメリカのプロゴルファーだときれいなスイングの韓国選手よりも飛距離が出ていたりします。
もちろんきれいなスイングは理想ではありますが、結局はどんな形のスイングをしようとも、ヘッドスピード・ボール初速・ミート率・打ち出し角・バックスピン量・サイドスピン量・飛距離が物理的に整えば、飛距離も方向性も手に入れることができるのです。
物理的に飛距離アップのカギはミート率
飛距離アップは物理の世界で、ヘッドスピードを上げ、かつインパクトのミート率を高めることです。
そしてそのミート率を高めることは、ボールの初速度を高めることであり、確実に飛距離アップや方向性の安定に繋がる重要なポイントとなるでしょう。
ミート率が高くなると、ボールの回転軸が地面に対して直角になり、正しいバックスピンで正確な方向にボールが飛びます。
ヘッドスピードだけをどんなに上げても、決してミート率は上がらないですし、飛距離は伸びません。
ミート率は、ヘッドスピードのパワーを正確にボールに伝達する効果を決める係数なのです。
ですから、ヘッドスピードを上げることと、ミート率は別物として考える必要があります。
ミート率は、ヘッドスピードにシャフトの硬さを一致させ、飛距離をアップさせるボール初速を高めるシャフト理論になります。
シャフトの波形をヘッドスピードの波形に一致させる事で、最大運動量を持ったシャフトがスイングの最下点でボールをヒットでき、100%のミートを達成することができるのです。
ミート率がボールの飛距離に与える影響とは
女子プロゴルファーのドライバーショットをイメージしてください。
飛ばし屋で300ヤード近くの飛距離がでますよね。
しかし彼女たちのヘッドスピードは、アマチュアの男性ゴルファーのヘッドスピードとあまり差がありません。
女子プロゴルファーの平均ヘッドスピードは41~42m/sくらいです。
しかしアマチュアゴルファーの平均飛距離よりも30~50ヤードは飛距離に差があります。
物理学におけるミート効率の計算は、
ミート効率=ヘッドの重量÷(ヘッドの重量+ボールの質量)+1
です。
ヘッドの重量をおよそ200g、ボールの質量およそ46gで、1.83がミート率100%になるのですが、これは真空状態での数値になるので、空気抵抗を入れると1.5で統一されています。
ではヘッドスピードが40m/sだった時にミート率が100%であれば、40×1.5×4=240ヤードの飛距離になるのです。
×4とはボール初速度、打ち出し角度、重加速から導かれた弾道計算による飛距離計算です。
ミート率が1.3で計算すると、40×1.3×4=208ヤードとなり、ミート率が0.2落ちるだけで30ヤードも飛距離に差がでてしまうのです。
飛距離の物理:ボール初速=ヘッドスピード×ミート率
飛距離への影響が一番大きいのは、ボール初速です。
ボールの初速はヘッドスピード×ミート率です。
そのヘッドスピードはクラブを速く振るしかありません。
しかしミート率は技術などで改善していきます。
この2つが揃うことでボール初速も高まり、結果飛距離も伸びるのです。
ここで、ミート率を高めるための物理的なポイントを教えます。
まずヘッドがボールにインパクトするとヘッドは確実に減速します。
ですからインパクト後のヘッドの減速を減らすことで、ボール初速が上がり、ミート率が高められます。
そのためには大きなフォローを取ることで、インパクト後のポジションでヘッドが最高速になるようにスイングするようにしてください。
当ててお仕舞いでは飛距離は得られませんから。
またより重量のあるヘッドを使うことで、インパクトで当たり負けないイメージを持てますよね。
そしてインパクト時にヘッドのエネルギーを効率良くボールに伝えることも重要です。
エネルギーを効率良く伝えるためには、ヘッド軌道と打ち出し角度を近づけることです。それには、ヘッドが水平もしくはややアッパーに動いている状態でインパクトするということです。
ボール初速を上げるには
何度も言うようですが、飛距離を伸ばすには、ヘッドスピードはある程度必要ですが、ヘッドスピードを上げようとして、強く叩いたり速く振ろうとしても飛距離は伸びません。
平均的なところまで来たら、ヘッドスピードのことは忘れて、ボール初速を上げることに重点を置いてください。
それではボール初速を上げるにはどうすれば良いのか考えましょう。
物理的に考えると、ボール初速に大きく関係してくるのはミート率ですね。
そのミート率を上げるのは先ほどお話ししてきたように技術的なことが多いので、ミート率を上げるスイングだけに意識を向けてひたすら練習するようにしましょう。
フォローの大きさとインパクト時のヘッド軌道です。
それ以外で考えられることは、ボールの選択です。
なぜならボールとヘッドスピードが合っていないとボール初速は上がらないのです。
硬すぎるボールを使っていると、ボールを潰せないので、ボールの反発をうまく利用できていません。
そういったゴルファーは、ディスタンス系のボールを選ぶと良いでしょう。
またクラブとボールがマッチングしていないのも1つの原因と考えられます。
各メーカーは飛距離を伸ばすための研究がより進化し、低スピン傾向になっています。
ボールもそれに合わせ、低スピンのボールが打てるように改良されているのです。
クラブを真剣に選ぶくらいにボールも真剣に選ぶようにしましょう。
グリーン周りに物理は通用しない
ドライバーやアイアンは飛距離や方向性が重要視され、そのための物理学が存在します。
しかしアプローチやパターには決定的な法則が実は存在しないのです。
アプローチやパターの場合は、グリーン周りの地形や形状をゴルフボールがとのように転がって、どのようにカップインするかを想像しなければなりません。
目標はもちろんカップインなのですが、芝目やラフの抵抗、アンジュレーションを把握する必要があります。
こればかりは、ドライバーやアイアンのように物理的な考えでどうにかなるわけではないのです。
ゴルフで一番感覚が重要となることなので、最も難しいことだと言えるでしょう。
ドライバーやアイアンは物理的に考え、フェアウェイやラフ、多少ライが変わることはありますが、スイングを大きく打ち分けることはありません。
しかしアプローチは、ランニングアプローチであったり、バンカー越えであったり、深いラフからだったりと状況に応じて打ち分ける必要があります。
ゴルフは経験というのは、こういった物理とはかけ離れた感覚的な部分を必要とするグリーン周りの技のことを指しているのではないでしょうか。
物理と感覚、両方持ち合わせて行うのがゴルフを面白くしていますし、より難しく、闘争心を掻き立てているのでしょう。
人間は物理通りに動けない生き物
ゴルフの飛距離や方向性は物理的に考えられます。
しかし人間はロボットではないので、物理を理解したところですぐにその通りにできるわけではありません。
しかしそれを理解することで、より効率的にゴルフ練習に取り組めると考えてください。
何も考えずに練習するよりは格段にゴルフ上達は早まるでしょう。