JLPGAツアー通算24勝を誇る全美貞選手のスイングはなめらかで、無理のないスイングですね。
スローモーションなどの動画で見ても、そのスムーズな腕の動きなどが見て取れます。
では、全美貞選手のスイングはどこがよいのか、見ていきましょう。
アドレス、ポスチャーなど全美貞選手はオーソドックスな構えです
全美貞選手の身長は175cmと、日本の女子プロゴルファーの中では高めです。
動画でドライバーのアドレスを見てみると、上半身の角度はつき過ぎず比較的回転がしやすいアドレスと言えます。
アマチュアは身長が高いと構えた時にボールまでの距離が遠くなり、前傾角度が深めになる人が多いのですが、プロで身長が高い選手に見られる傾向ですが、できるだけスイングアークを大きく取れるよう、アドレス時の前傾角度を深く取らない選手が多いです。
全美貞選手も身長の高さを生かす為、浅めの前傾角度でゆったり振る事が見て取れます。
スイングアークが大きければ、ゆったり振ってもヘッドスピードが取れる分、飛距離は自然と伸びるのです。
身長が低く、スイングアークが小さい選手からするとうらやましいでしょうね。
スイングアークが大きく取れなければ、その分早く振らなければならず、またその分曲がる確率も上がってしまうからです。
この様に、全美貞選手のスイングからは、腕を早く振り回してしまうアマチュアゴルファーの手本になる部分が多くあるのではないでしょうか。
全美貞選手のスイングを動画で確認しよう
全美貞選手のスイングプレーンを後方からの動画で見てみましょう。
まず、バックスイングはゆっくりインサイドへ上がっていきます。
腕と身体が作る三角形が崩れず、上半身とクラブがワンピースで上がっていきます。
トップオブスイングでは、やや手の甲がフラット(いわゆるシャットフェース)めになりますが、これはダウンスイング以降クラブが通るプレーンによって、そうなっていると考えられます。
ダウンスイングに入ると、右ひじが真下に落下し、クラブが背中から出てくる様な形になります。
この瞬間にクラブがオンプレーンに乗っているのですが、全美貞選手は更に低い位置からインパクトを迎える様なクラブ使いになりますね。
しかし、決してクラブを手や腕で扱っているのではなく、身体とくに左サイドを使ってクラブがコントロールされています。
この低い位置からクラブが出てくる事により、トップオブスイングで手の甲が比較的フラットになると考えられます。
逆に手の甲側に折れ曲がる形では、インパクトの時にフェースが開いてしまう為、戻す動きが必要になってしまうはずです。
いつも安定した反復性の高いスイングを求めた結果、この様な形になったのですね。
全美貞選手の飛距離を上げる方法が動画で確認できます
では、全美貞選手はスイングアークを大きく取り、どの様にして飛距離を稼いでいるのでしょうか。
後方からの動画で確認できますが、ダウンスイングからインパクトにかけて右足がめくれない、いわゆるベタ足のスイングとなっています。
これは、他の韓国人選手にも多く見られる傾向なのですが、アドレス時の形をインパクトでも再現しやすい方法と言えます。
また、手が体の正面を過ぎてから体の左サイドに体重が乗った際、手と身体が引っ張り合う力を利用しやすくなります。
右足が早く上がってしまうと、体重が左サイドに乗った際、身体も左サイドに流れやすくなる為、この引っ張り合う力が弱くなります。
ベタ足の効果は、フォロースルーでヘッドスピードが上がりやすい事も言えます。
そして、更にインパクト以降右足の蹴りを入れる事により、ヘッドを加速させる事ができます。
下半身がバタつきやすいアマチュアゴルファーの皆さんも参考にされてみてはいかがでしょうか。
全美貞選手のフォロースルーからフィニッシュについて
全美貞選手のフォロースルーからフィニッシュにかけての動きは、非常になめらかに、そしてぴたりと止まる動きになっています。
ダウンスイングからインパクトにかけて前述の動きにある様に、ボールを捕まえる動作は完了しているため、腕や手を意識しなくてもボールはまっすぐ放たれます。
この辺りは動画を見れば確認できますね。
上半身を特別意識しなくてもよいスイングの為、インパクト以降スムーズに体が左に回転し、フィニッシュではIの形でぴたりと止まる形になっています。
これは身体、とくに腰に負担の少ない素晴らしいスイングだと思われます。
全美貞選手に限らず、多くの韓国人プロのスイング傾向として、ゆっくり安定したスイングをする選手が多いように思われます。
これは叩きに行かなくても飛ぶ様になったクラブの進化という意味合いもあるのでしょうが、多くの練習による反復性の習得によるものが大きいのではないでしょうか。
動画でははっきりしない全美貞選手のコースマネジメントについて
全美貞選手のスイング動画はたくさん見れます。
しかし、ゴルフはコースマネジメントも大切な要素です。
自分の飛距離、曲がりなどの癖、その日の体調などによって結果が大きく左右されます。
全美貞選手が強い理由の一つとして、変に飛ばしにいったり、無理な方法でショットを決めたりしない事が挙げられます。
ティーショットが曲がり、林の中に打ち込んでしまっても、先ず安全に脱出できる方法から入ります。
決して打ち出し方向が数メートル開いてるからといって無理はしません。
普段、ギャンブル的な要素は少ない選手だと思われます。
大きく曲げてピンを狙ったり、少ししか開いていない所を狙うというのは成功した場合、一見すると格好がよい攻め方に見られますが、成功と失敗が紙一重のギャンブル的な内容となります。
プロの試合は3日間または4日間で争われます。
ギャンブルの1打で結果が3打4打と変わってしまう可能性があるのです。
そういった点で、失敗した後の挽回方法も一貫しているのが全美貞選手だと考えられます。
高いレベルで争っていても常に冷静でいられる。
これは動画だけでは分からない要素です。
ゴルフに限らず、どのスポーツにも当てはまる素質ですね。
試合の動画から見る全美貞選手の強さ
全美貞選手の強さを試合動画から確認してみましょう。
まず、ショットの安定性は多くの動画からも確認できます。
そしてグリーン上のパッティングについても、平均パット数の少なさから、いかにグリーン上でも優れた選手なのかが分かります。
プロなので、まず3パットというのは余程の事がないかぎりあまり多くは見られません。
グリーン上、平均すると2回弱程度のパット数になります。
これが、年間を通じての数字になるのですが、全美貞選手の様に強い選手というのは、年間を通じて更にこの2回程度を下回って1.7回程度の数字となります。
パーオンすれば1パットでバーディ、グリーンを外してもアプローチによる寄せで1パットという事が多いと言えます。
年間を通じての平均となりますので、この数字がいかにすごいかが見て取れます。
逆に、この位の数字にならなければ、プロとして生活出来ない事を表しますね。
普段スイング動画しか見ない方も、このパット数を意識できると、ゴルフのスコアが上がる事間違いなしです。
全美貞選手のゴルフは安定感があります
全美貞選手は、高身長、バランス、ゲームマネジメントどれをとってもトッププロの名にふさわしいのではないでしょうか。
決して力まない反復性の高いスイングから繰り出される安定したショットはアマチュアゴルファーの参考になるのではないでしょうか。
スイング動画などを使って、スイング練習に役立ててみましょう。