ドライバーの重心距離を比較すると不思議な現象に行き着く!

最終更新日:2018/02/02

ドライバーの重心距離は、ヘッドの操作性に影響があると言われています。

ボールの捕まりが良いとか、球離れが良いとかを比較しますが、実際にどの距離が長く、どこから短いのかはご存知でしょうか。

今回は重心距離の役割とその効果について紹介します。

重心距離の長さを比較してドライバーを選ぶ

ドライバーの重心距離が長いとボールの捕まりが良く、逆に短いと球離れが良くなります。

重心距離の比較で良く目にするものですが、「捕まりが良い」とか「球離れが良い」というのは感覚的なものなので、ゴルファーによって違いが出てきます。

重心距離を計測する上で基点となるシャフトの中心軸から、スイートスポットの表面点までの距離を比較すると長短の違いが分かります。

一般的に重心距離が長いドライバーは、ヘッドのサイズが大きくてフェース面が横長のタイプです。
逆に重心距離が短いタイプは、ヘッドが小ぶりでコロンとしていて、フェース面の横幅がないタイプです。

ヘッドが大きいと飛ぶイメージが強いと思いますが、その分だけ重心距離は長くなり、捕まりが良いと言うことになります。
「捕まり」をプラスに考えると、インパクトの時にヘッドスピードのパワーをボールに与えることができると言うことです。
しかしマイナスで考えたら、インパクトでボールがくっついてフックになるかかもしれません。

自分のスイングスタイルに合った重心距離を選ぶことが、球筋に影響を与えると言うことになります。

ドライバーを選ぶ時は重心距離と技量を比較しよう

ドライバーの重心距離が短いと球離れが良いと言われています。

「球離れ=初速が速い」とも解釈できますが、実際にはヘッドスピードのパワーを十分に伝えることができずに、ボールが飛び出していくために飛距離ダウンの可能性が高くなります。

飛距離ダウンのマイナスイメージがある一方で、球筋を変えられるというプラスの部分もあります。
重心距離が短いことで、ヘッドの返しなどの自由度が高くなり、ドロー系やフェード系がショットを打ちやすくなるわけです。

もちろん意図したスイングでボールをコントロールできる技量がないダメです。
ストレートの球筋を狙っているのに、フックやスライスが出てしまうと、折角の「球離れ」の良さを活かすことはできません。
さらに球離れが良いことから、いわゆるプッシュアウトという、最初から右方向に飛び出す球筋が出ることもあります。

重心距離だけでドライバーを比較するのではなく、自分の技量と重心距離を比較したほうが、良いマッチングができるでしょう。

ドライバーがスライスする時は重心距離の長さを比較して選ぶ

ドライバーの重心距離が短いとヘッドが回転しやすく、ボールコントロールの操作性が良いと言われています。
反対に重心距離が長いとヘッドは回転しにくく、安定した直進性からストレートボールを打ちやすいと言われています。

このような比較は、あくまでもノーマルのスイングをしていることが条件です。
しかし実際のゴルファーのスイングは何かしらの欠点を抱えていて、その欠点をカバーするための道具選びが必要になります。

つまりドライバーの特性よりも、自分の技量に合ったドライバー選びが重要になるわけです。

スイングを見ると、多くのゴルファーはアウトサイドインの軌道になっています。
そんなアウトサイドインになるとフェースが開き、カット打ちになります。
そのスライスを防止しようとフェースをかぶせて上から下に振るため、さらに症状は悪化していきます。

このアウトサイドインのスイングプレーンを修正するのは簡単ではありません。

しかしそんな症状の時には、重心距離が長くて重心深度が深いドライバーを選択すれば、苦もなくストレートボールを打てるようになることがあるのです。

ドライバーの重心距離を比較してもインパクトは一瞬で終わる

ヘッドの効きを左右する重心距離ですが、実際にはシャフトの長さや性能が加味されてドライバーの能力として評価されます。

単に重心距離を長さで比較して、短いからインテンショナルフックが打ちやすく飛距離アップは可能かと言えば、『NO』です。
飛距離アップにはドライバーのヘッドスピードに適合したシャフトや、フェースのロフト角や重心角などと、自分のスイングがマッチングしていることが重要です。

同じように重心距離が長くても、ストレートボールになるとは限りません。
重心深度が深く、重心角の大きなヘッドに、シャフトがマッチングしていなければ真っ直ぐに飛ばすことはできないはずです。

大事なことはプレイヤー自身のための道具だということです。
この見極めができないと、「重心距離=操作性」に頼りすぎて、自分に合っていないドライバーを使うことになってしまいます。

ちなみにヘッドの操作性というのは、ボールに当たる瞬間の入り方やフェースの向き、もしくはスピンを掛ける度合いということになります。

しかし実際のインパクトの時間は0.0005秒です。
人間はこの一瞬にコントロールすることができるのか、疑問のあるところです。

ドライバーの重心距離を比較してもわずかな違いしかない

「操作性が良い」とゴルファーにとって響きの良い言葉が流れてくると、重心距離の短いドライバーを持ちたがるのではないでしょうか。

少しドライバーが振れるようになり、やがてスコア80台が見えてくると、「重心距離の短いドライバー」を選びたくなるものです。

いわゆる上級者向きと言われる重心距離の短いドライバーですが、実際に通常のドライバーと比較すると、その「距離」はわずかなものです。

元々ドライバーのフェースのサイズが大きなものでも、縦60ミリ、横100ミリと言ったところです。
仮にスイートスポットが真ん中にあるとしたら、縦は30ミリで横が50ミリの幅しかありません。
シャフトの中心軸はライ角の関係でフェース側に寄ってくるので、実際の横幅は40ミリでスイートスポットに到達します。

最大幅でこのサイズになるとして、重心距離の長さを比較しても、わずかな違いしかないのです。

ドライバーの重心距離を物理的に比較したら答えがなくなる?

まさに瞬間でインパクトするドライバーショットですが、ヘッドスピードの速さによって飛距離に違いが出てきます。

日本を代表する松山英樹プロのヘッドスピードは50を少し超えます。
時速に換算する180キロメートルで、ヘッドを走らせています。

前述したように、インパクトの時間は0.0005秒です。

世界トップクラスのゴルファーでもインパクトゾーンで、スイングの流れとは違う動作をすることはできないはずです。
つまり操作性の良いクラブを持っていても、それをコントロールすることはできないわけです。

ましてドライバーの本来の目的は飛距離にあります。
風の影響を避けるために低い弾道にしたり、横風に乗って飛距離アップをしようとフェード系で打ち出すことはあっても、フェースがボールと接触する寸前に何かをすることはできません。
つまり重心距離の長い短いを比較しても、ドライバーに限っては操作をすることができないわけです。

ただし物理的に考えると、重心距離の違いは慣性モーメントに影響を与えるので、ヘッドが遅れてスライスするタイプのゴルファーが、重心距離の長いクラブを使うと、さらにヘッドは遅れてスライスすることになります。
でも実際に重心距離の長いドライバーを使うと、なぜかストレートボールが飛び出していきます。

「身体が反応している!」、それくらしか理由が思いつかないのがゴルフの不思議なところです。

ドライバーの重心距離を比較するよりも正しいスイングを!

以前は、ドライバーの重心距離を比較するようになると、「一人前」なんて言われたものです。

でも最近はクラブの性能が格段に進歩しているので、プレイヤーがコントロールするのではなく、クラブ自身がボールの行方を決めてくれると考えているゴルファーが増えてきています。

ただし、その条件となるのは「正しいスイング」をすることです。
そこだけは間違えないようにしてください。