170センチで体重が平均のゴルファーが有利なゴルフ事情とは

最終更新日:2017/10/11

以前は170センチ前後で体重も平均的であれば、大型ゴルファーよりも有利と考えられていました。

でも道具の進化によって体の大きなプレイヤーが活躍するようになったわけですが、意外にも大きな人ほど短尺ドライバーを使用しています。

そこで今回は身長とシャフトの関係について確認していきたいと思います。

体重別がなく平均170センチの欧米女子プロを相手に戦う日本人

スポーツは全般的に体の大きな人が有利なようで、多くの競技は体重別を採用しています。
そんな中、ゴルフは体格によって区別することはありませんが、体力などを考慮して性別や年齢別で競技が行われています。

ただ70歳のゴルファーが250ヤード超のボールを打ち出し、中学生の女子ゴルファーがバックススピンでピンをデットに攻める時代です。
もはや体格でボールをコントロールする時代ではないと思いますが、世界のトッププロをみるとタイガー・ウッズは185センチですが、ダスティン・ジョンソンは193センチと平均すれば約190センチの長身です。

女子プロも2017年全米女子OPを獲ったパク・ソンヒョンは172センチ、史上最強の女子プロゴルファーと言われたアニカ・ソレンスタムは168センチですから、平均すると170センチ、男女ともに平均すると大柄な人が成功しているようです。

一方で現在の日本を代表する選手の松山英樹は180センチと大柄ですが、宮里藍や横峯さくらは155センチと小柄な体型です。
しから小柄だから不利とも言えないようで、しかも米国ツアーに参戦した宮里や横峯、それに上田桃子は体重も軽い、軽量級の選手です。

ここからもゴルフは身長や体重に影響されることが少ない競技と言えるのではないでしょうか。

170センチが理想の体型?平均より体重が軽く身長が高いプロ達

元々平均的な欧米人の身長や体重などは日本人よりも大きく恵まれています。
女性の平均身長が世界一と言われるオーストラリアの女性は平均で166センチもあります。

ただし体の大きさは国や民族によって違うものなので、大型選手が一流ゴルファーになるわけではなさそうです。

それが分かるのは体型と道具の進化との関係です。
昔パーシモン(木製)ヘッドにスチールシャフトの時代は、170センチの身長がもっともゴルフに適した体型と言われていました。
ところがチタンヘッドにカーボンシャフトの時代になると、長いクラブで振れるようになり、慣性モーメントが大きくなってきました。

つまり、スイング技術で飛距離や方向性を出していたのがパーシモン時代です。
でもヘッドスピードを速めてそれに見合ったシャフトを装着すれば、プロゴルファーでなくても飛距離や方向性をコントロールできるのがチタン・カーボン時代ということになります。

小柄な体型でも長いクラブを振れるようになったことから、宮里藍のような小さな体でも世界の舞台で活躍できるようになったわけです。

日本人の平均は男性が約170センチ超で体重は70キロ未満

では実際に使用している道具を見ると、大型選手ほど短尺と言われるドライバーを使用しています。

まずは国内選手を見てみましょう。
2017年シーズン当初の国内ツアーシード選手の身長を見ると、男子プロの平均は174センチ、女子プロの平均は162センチです。
一方で日本人の平均は、男性が約170センチ超で体重は70キロ未満、女性が約160センチ未満で体重が50キロ超ですから、平均値よりもわずかに身長と体重は上回っています。

ドライバーのシャフトを見ると、宮里藍が46.25インチと長く、横峯さくらは45.5インチですが、2人とも身長が155センチですから、かなり長めのシャフトを使っています。
一方で松山英樹は44.75インチと女子プロよりも短いシャフトを使っています。

実は松山英樹に限らず、世界トップのダスティン・ジョンソンは193センチの身長で45.625インチのシャフトを使っていますし、188センチのタイガー・ウッズは45.875インチと横峯のクラブとほぼ同じ長さのものを使っています。

つまり身長が高い選手は敢えて長いクラブを使わなくても、長い腕で飛距離を稼ぐことができるようです。

平均的には腕が短い170センチの人が190センチの人より不利?

クラブをスイングすると、グリップよりもヘッドのほうが動く範囲は大きくなります。
シャフトの長さに腕の長さがプラスされることで、スイングのときにグリップと比べてスイングプレーンの外側にあるヘッドは速くなります。

例えば170センチの人(腕が短い)と190センチの人(腕が長い)が、同じ長さのクラブを使って同じスイングをしたときを比べると、腕が長い分だけ身長の高い人のヘッドスピードは速くなります。
そしてヘッドスピードが速いほどインパクトの衝撃は強くなり、ボールを遠くに飛ばすことができます。

もちろん背が高いからといって、例外なくヘッドスピードが速くなるわけではありません。
また「重い球」と言われる体重を乗せた、風に影響されない球筋も重要です。
さらに飛距離だけではなく、ボールをコントロールする方向性も大事になってきます。

実際に長いクラブを使いこなすことは容易なことではありません。
平均的なミート率を考えると。短いクラブのほうが安心できるのも一理ですが、実はそれ以外にも重大な理由があります。

ライ角設定は平均170センチのゴルファーのためのもの?

男子のトッププロの中には、自分の手の長さにドライバーの長さを考慮して、短尺ドライバーを選択している場合があります。

「短いほうがコントロールしやすい」と考えるのは、アマチュア的な考え方です。
彼らは世界のトップと言われている技術を身につけていますから、わずか2.5センチ(1インチ)~5センチ(2インチ)程度の長さで扱いきれないわけがありません。

トッププロが短いクラブを選択する理由は、ゴルフクラブの形が関係しています。
元々170センチ~175センチの人が平均身長だった欧米人の体型に合わせて、現在のスイングフォームができています。
その身長や体重に合わせて道具は作られて進化してきたので、身長が高くて同じスイングをするのであれば、道具を改造するしかなかったわけです。

そのポイントとなるのはライ角です。
ボールの後ろにヘッドを置いたときに、地面とシャフトの内角がライ角と定められています。

アドレスのときに前傾します。
その状態で両腕をだらりと下げてグリップを握るとき、腕が長ければグリップの位置は低くなります。
低い位置から長いクラブでボールに合わせると、シャフトが寝た形になり、ヘッドの先(トゥ)が立ってしまいます。

そこでライ角を広げてフェースを合わせると、ダウンスイングではヒールは浮いた状態になり、フェース合わせが難しくなるので、短いクラブを選択するわけです。

170センチの人は190センチと比べて平均的なセッティングが可能

基本的にライ角についてはウッドよりもアイアンのほうが重要な条件になります。

アイアンの刃の部分にあたるリーディングエッジは、飛球線に合わせることでスクエアなインパクトができます。
ところがトゥ(先端)側が浮いた状態になると、フェースが被ったり開いたりしやすく、正確なインパクトが難しくなります。

身長の高いゴルファーの場合には、平均で考えると腕が長いために、上体を傾けると腕が長い分だけグリップ位置が低くなってしまいます。
まして長いシャフトを使う場合には、上体の前傾を抑えて、身体は立った姿勢をとります。
こうすると腕とシャフトの長さが合い、ボールまで真っ直ぐシャフトを下ろすことができます。

ところが腕とシャフトで作り出すアームシャフト角はなくなります。
腕は伸ばした形になるため、体重を乗せたスイングをすることができず、パワーを伝えることができなくなってしまうのです。

結果的に背の高い人はシャフトを短くして合わせたほうが、スムーズなスイングができることになるわけです。

170センチのゴルファーはスタンダードなクラブセッティングで大丈夫ですが、190センチの人は短尺クラブにしたほうが扱いやすいということになります。
ただしアマチュアプレイヤーが感じる「短いからミート率が高い」というのは少し違うと言うことだと理解してください。

170センチと190センチを比べても身長や体重では変わりなし!

170センチと190センチ、「ゴルファーにとってどっちが有利」と問われると、多くの人が背の高い人と言いますが決してそんなことはありません。

ゴルフは身長や体重によって有利・不利のないスポーツで、特に飛距離だけを考えると短いクラブを使っている身長の高い人が不利なはずです。