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米国ツアーで身につけた上田桃子のスイングとアイアンの切れ

2017.10.4

上田桃子プロは米国ツアー用にスイング改造して、強い風にも負けない「球質の強い」アイアンショットを打てるようになりました。

硬いコンディションや強い風でも気にならない、いわゆる「重い球」を打てるような練習法と、その考え方について確認していきます。

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上田桃子が米国ツアー用に改良したアイアンのスイングとは

上田桃子プロのゴルフスタイルは「強気」です。
いわゆるガンガン攻めていくタイプで、その無謀とも思えるほどの攻めにゴルフファンは魅了されます。

ジュニア時代から「運」も味方し、ゴルフ環境のないところからスタートしてのプロ入り、とんとん拍子に勝ち進み、米国ツアーの切符を手にします。

それまでの上田桃子プロの球筋はドローです。
細い身体で思いっきりのよいショットで飛距離と方向性をキープすることができ、セカンド以降も楽な攻めができていたように感じます。

ところが米国ツアーに参戦すると、日本のツアーコースほどコースコンディションが整っているわけではなく、下地の硬いコースや時間によって強い風が吹くコースもあって、ドローからフェードに変更せざるを得なくなります。
いわゆるパワーフェードと呼ばれている、距離を稼げてしかも止まるというスライス系の球筋です。
特にアイアンの場合には、長い距離でも止めることができるスティンガーなど、女子選手としては珍しいスイングも習得していくことになります。

気になるフェード系の打ち方ですが、その前に上田桃子プロの基本的なスイングについて確認します。

上田桃子のアイアンショットはシンプルなスイングが目標

上田桃子プロのアイアンは「シンプル」にスイングします。

まずクラブの引き方に特徴があります。
女子プロの多くは宮里藍プロの影響があってか、両肩とグリップが作る三角形を維持するようにテークバックする傾向が強いようです。
ところが上田桃子プロは、最初にコックを作るアーリーコックで始動します。

コックとは、身体の前で地面と平行にアイアンをかざしたときのグリップを握った手首の形のことです。
左腕だけでグリップを握って、真っ直ぐに伸ばしてヘッドを真上に上げると、親指は上を向いています。
このとき親指と腕の角度は直角になっていて、その手首の形をコックと言います。

通常はテークバックの途中で徐々にコックが形成されていき、トップの位置で「コックが固まる」わけですが、上田桃子プロはクラブを引く前にコックを固めてしまいます。
つまり腕が動き出す前に左手甲は、ターゲットから飛球線に方向転換するわけです。

スイングが崩れる原因の1つに、このコックのタイミングがあります。
最初にコックを作ることで、あとはトップの位置までクラブを引き上げるだけ、つまりシンプルなスイングができることになります。

上田桃子がアイアンを引くときの特徴的なスイングスタイル

上田桃子プロの2つ目の特徴はインサイドインのスイングにあります。

インサイドインとは、テークバックでアイアンのヘッドをインサイドに引き、インパクト後のフォロースルーもインサイドに出すというスイングです。
これは理想系のスイングスタイルであり、滑らかで綺麗なフォームに見えるはずです。

上田桃子プロの特徴はテークバックで右足に体重を乗せることです。
本人の感覚では「右足1本で立てるトップ」と言うことですから、軸を中心から右足に完全移動しているのでしょう。

クラブを持たずに1本足で立ち、クラブをインサイドに引くとひっくり返りそうになってバランスを崩すでしょう。
ところが本人は「右ポケットにシワ」ができるくらいと表現していますが、右股関節を後ろに引いて体重を乗せると、自然と身体は右方向に回転しています。
つまり無理なくテークバックでの捻転ができて、しかも体重を乗せたインパクトが可能になります。

上田桃子のアイアンショットはインサイドに引くスイング

インサイドインのスイングが簡単にできるように説明しましたが、実際には打ち気にはやるとアウトサイドに引いてしまうものです。

「勝気」な上田桃子プロも同じような悩みがあるようで、ちょっと変わった練習をしているようです。
ちなみに上田桃子プロは、視点の違う変わった練習が得意で、ヘッドカバーでスイングスピードを上げるとか、ボールを使ってグリップの握り方を調整するとか、トッププロの中では珍しい練習法をたくさん持っているプロゴルファーです。

そんな彼女のインサイドインの練習法は、強制的なインサイドインでなければスイングができないようにすることです。
ティーグラウンドなどで張替えした箇所を、プレイヤーが足を踏み入れないようにロープで囲うときの杭を利用します。
杭は先が尖った鉄筋で、上部は丸く、内にロープが通せるように作られています。

アドレスして肘よりも少し上のラインで、飛球線に沿って2本の杭を打ちロープを通します。
アイアンを握り両腕がロープに触れるところでアドレスし、ボールをロープよりも前方に置きます。
この状態でインサイドに引き、ボールをインパクトして、インサイドでフォロースルーをとるのです。

頭で覚えるよりも身体に染み込ませるように練習を繰り返すことが必要なのだと言えるでしょう。

上田桃子はアイアンでも特殊なスイング練習をしている

練習法が豊富な上田桃子プロですが、アプローチなどアイアンのショットも珍しい練習法を行っています。

短い距離を打つときは、テークバックの引き幅を狭くして距離感を合わせます。
ただ振り幅が短くなると「振り下ろす」ことが少なくなることから、左手よりも右手のほうが強くなってしまい、通常のスイングと違ってしまうことが多くなります。
そのように右手が主導になるとインサイドに引くことが難しく、アップライトなスイングになりがちです。

そこで上田桃子プロは、片手打ちで練習をします。

最初に左手でグリップラバーの中間を握ります。
次に手打ちにならないように、右手で左肘を押さえて、テークバックでは右手の引きで左腕を動かします。

ここで大事なことは、身体全体でスイングすることです。
右手で左肘を引くことで左肩を十分に回して、テークバックからトップまでの動きを明確になります。

同じように右手でグリップを握り、左手で右肘を押さえてスイングすることでインパクトからフォロースルーまでの動きが明確になります。

元々クラブは両手で握るものですが、敢えて1つの手で打つことで役割を再認識する練習になります。

上田桃子のアイアンでのスイングは30センチ前方を狙う

そしてスイングで最も重要なのがインパクトです。

上田桃子プロがアイアンでショットするとき、スイングの最下点はボールよりも30センチ前方をイメージしています。
実際に30センチ前方に打ち込むと間違いなく空振りしてしまいますが、インパクトゾーンを長く取ることでヘッドスピードを上げたいという気持ちの表れです。

「ヘッドスピード=飛距離」となりますが、そもそもアイアンに飛距離が必要なのか、本人は「球質が強くなる」とコメントしているようですが、たぶん野球で言うところの「重い球」ではないでしょうか。
横風などにも影響されずにターゲットをピンポイントでとらえられるボールを打つことで、突然吹き出す米国の強い風に対応するための打ち方だったということです。

ここで大事なことはインパクト後の30センチ先、つまりイメージしていたインパクトポイントで両腕とクラブが一直線になるようにすることです。
このスイングによって体が起き上がらずに、前傾したままインパクトを迎えられ、パワーフェードで飛距離アップしたボールを打ち方ができるようになったわけです。

スイング改造に失敗した上田桃子のアイアンの切れが戻った

上田桃子はゴルファーとして何度かの転機がありました。

最初は家庭の事情から「お金を稼げる」という理由で坂田塾に入ったこと、次は高校時代に恩師のお陰で「強いゴルファー」になったことだと思います。

そして絶頂の中、米国に旅立ちましたが、スイング改造に失敗して失意の帰国、でも超スランプになった中での劇的な復活でした。
そんな復活ができたのはアイアンの切れが戻ったことではないかと思います。

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