ウェッジを使いこなすためにバンスを削るときの利点と欠点

最終更新日:2017/09/07

市販で多くのタイプのクラブが出ている中、敢えてバンスを削るようなギアアップを必要とするのでしょうか?

ウェッジの特性を確認したうえで、バンスを削ることで得られる効果と、気をつけなければならないポイントについて検証していきます。

バンスを変えるためにウェッジを削る意味について

まずはウェッジについて確認します。

クラブは大きく分けてウッドとアイアンとパターの3種類ですが、この中でアイアンはロング(ドライビング)、ミドル、ショートがあります。
そのショートの中でピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジがあり、一般的にウェッジと言えばアプローチウェッジのことをいいますが、「バンスを削る」ときには、この3つのタイプすべてをウェッジということが多いようです。

次はウェッジの構造について確認します。

少し面倒ですがクラブの用語として確認してください。
シャフトが挿さっている部分がソケット(ホーゼル)、ボールを捉える面がフェース、フェースの最下部の刃がリーディングエッジ、底がソール、ソールの膨らみの頂点がトレーリングエッジです。

このトレーリングエッジで床面に置いたとき、リーディングエッジと床との間にできる隙間を角度にしたものがバンス角です。

このバンスを変えることで、自分が求めるボールを打つというのが、バンスを削るための意味となります。

ウェッジのバンスの役割と削る必要性とは

ウェッジのバンスが違うと、どのような状態になるかを確認します。

まずはソールの膨らみであるトレーリングエッジの働きを見ます。

底が大きく膨らんでいることをハイバンスと言います。
ハイバンスのウェッジは、底の膨らみが抵抗となっていわゆるザックリがなくなるので、ライが砂地のバンカーや深いラフなどでは安心して使用できるクラブです。
一方で底の膨らみが浅いローバンスは、フェースを開いて高い球筋で打つときや、地面が硬いコースセッティングのときに跳ねかえる心配がなく、安心して使用できるクラブです。

ハイバンスのウェッジをソールで合わせると、リーディングエッジと芝生の表面に隙間が空いてトップする可能性があります。
でもボールは芝草の葉の上に乗った状態なので、ベアグランドでショットしているわけではありません。
その少しの隙間にちょうどピッタリと刃先(リーディングエッジ)が入るバンスのウェッジを選べば、しっかりとショットすることができます。

バンスを削るということはハイバンスからローバンスに変える、もしくはすでにローバンスタイプだけど、もっと鋭角にクラブの刃を入れたいからというのが主な理由となります。

ハイバンスのウェッジは削るほうがよいのか?

葉幅が細く柔らかいベント芝のような場合、ボールが沈むためにバンスの低いローバンスのウェッジが向いています。
リーディングウェッジで切るようにスイングができるローバンスのクラブは、刃先からサクっと入ることで綺麗にインパクトすることが可能となるからです。

ただしスイングプレーンによってはローバンスのウェッジは向かないことがあります。

縦振りに近いタイプのスイングでは、刃先が手前に入るとザックリになる危険性があります。
普段からダフリ気味の人は丸みのあるトレーリングエッジ、ハイバンスのほうが扱いやすいでしょう。

ちなみにダフリを抑えるために、敢えてトレーリングエッジを削ることもあります。
本来はハイバンスのほうがダフリ防止に向いているわけですが、高さを調節するのではなくソール全体が広くなるまで削ることで、幅広ソールに変えてしまうのです。
当然アプローチのときにウェッジの底が芝の上を滑るので、ダフリを防いでくれるわけです。

つまりダフリを抑えるためのバンスとダフるからこそバンスを削ることで、2種類のウェッジを持てば2つの選択肢を持つことができるようになります。

ウェッジのバンスを削るときは自分のスイングを確認する

バンスを削るときヒールの盛り上がりになっているトレーリングエッジだけを削るわけではなく、ウェッジのトゥ(先端)側やヒール(根元側)を削ることもあります。

トゥ側を削ることでフェースを開いてスイングしても、ソールの先が芝草に影響されることなく振り抜くことができます。
またヒール側を削ることでフェースを開いてスイングしても、ヘッドの底が芝面に当たって跳ね上がる確率が少なくなります。
どちらも自分のスイングプレーンに合わせてバンスを削る必要があります。

この他にもロブショットなどを多用するゴルファーにとってはソールを削ったほうが打ちやすく、ピッチエンドランを多用する場合にはバンスを残しておくほうが打ちやすいはずです。

このように自分のアプローチの仕方によって、必要とするウェッジの形が変わり、バンス角を変えるのであれば、必要部分のみ削るようにするといいでしょう。

ちなみにバンスを削ることでメッキが剥がれ錆びが出てくるタイプが多く、雨の日や外気温が低いときは水滴がついて錆びやすくなるので、使用後の手入れには十分に注意が必要です。

サンドウェッジはバンスで脱出するかピンを狙うために削るか

ウェッジにはアプローチだけではなく、多用するものにサンドウェッジがあります。
ルール上のバンカーはハザードなので、バンカーに落ちたらワンペナだと思ったほうがよいと考えられていましたが、道具が進化したことで簡単に脱出できるどころか、ピンを狙っていくのが一般的となってきました。

バンカーから脱出するときのウェッジは、バンスのあるものの方が安定感はあり、簡単に脱出できると思います。

バンカーの砂に埋まっているボールに対してリーディングエッジからすくい上げるようにクラブを入れると、スルっとボールの下をくぐってしまい、バンカーからボールを出すことができません。
同じようにスイングしますが刃から入るのではなく、トレーリングエッジを叩きつけるようにすると、砂地にソールが当たってバンス角のおかげで自然に入射角度を作ってくれます。

ところがバンスを削るとこの恩恵を受けることはできなくなります。
ただ恩恵は受けることはできませんが、フェースでボールを捉えてヘッドを抜くことができるため、ピンを狙ったショットを打つことができます。

どちらを選ぶかは技量と求める結果にあると思います。

自分用にバンスを削ることで最高のウェッジを持つ

最初にウェッジにはピッチング・アプローチ・サンドの3種類があると説明しましたが、近年はアプローチウェッジ以外に、ロフト角が58度・60度のロブウェッジを一般のゴルファーも持つようになりました。

さらにプロが持つ64度のエキストラロブウェッジなどもキャディバッグに入れている人もいるかもしれませんが、果たしてそのウェッジを使えるコースセッティングの場面があるのか気になるところです。

確かに飛距離が出るようになっていることから、グリーン周りにたくさんの選択肢があることはスコアメイクの上で有利ですが、もしかすると1本のウェッジですべてをカバーできたほうが、使い慣れしてより良い結果を得られるかもしれません。

一般的にアプローチのロフト角は52度から53度です。
バンスを削ることで、フェースを開いて打つことに違和感はなく、もちろんフェースを立ててピッチエンドランすることも可能です。

アマチュアゴルファーにとって、使いやすいクラブというのは「慣れているクラブ」ということになるのではないでしょうか。

ウェッジのバンスは技量に合わせて削ることが大事

ウェッジのバンスを削ることは珍しいことではありませんが、何を目的に削るのかを決めなくてはいけません。

単にヘッドの抜けを良くするだけなのか、特殊な打ち方をするためなのか、他にも理由はあるかもしれませんが、技量に合わせて削るようにしたほうがいいかもしれません。