ゴルフスイングはコックをほどかないスタイルがスタンダード

一般的にゴルフで良いスイングと言われるのは、テークバックでコックを固めて、ダウンスイングの丁度よいタイミングでほどくことです。

でもコックをほどかないスイングの方が飛距離と方向性が増すという理論があります。

それでは先人の知恵を借りて、その秘術を探っていきたいと思います。

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コックをほどかないゴルフスイングは曲がらない?

多くのゴルファーは「もっと遠くに飛ばしたい」と考えていて、ニューモデルのドライバーが発売すると、買い求めるもしくは興味を示すものです。

確かに扱いやすいクラブは遠くに飛ばすことができます。
でもルールによってクラブが備えている反発係数は限られていて、それまでの市販のクラブを超えることはできないことになっています。
つまり道具は新しくなっても、必ず今までよりも飛ぶとは限らないと言うことです。

ただ、スイートスポットは広くなり、多少ぶれてインパクトしても芯でとらえることができるようになっているため、ビギナーゴルファーでもナイスショットが可能になっています。
またパワーがなくても良いシャフトが開発されていて、しなりでヘッドスピードを速めることができることも可能になり、道具全般でみると進化していることも事実です。

問題なのは10年前と5年前と現在のゴルファーの進化です。
この10年間、クラブの技術革新が確実に進んでいるにもかかわらず、ゴルフスイングは1957年にベン・ホーガンが唱えた『モダンゴルフ』の理論からそんなに変わっているとは言えません。
変わっていないと言うよりも、道具が進化した今だからこそ、アマチュアゴルファーでもベン・ホーガンのスイングが可能になっているのに、それを学習していたいのかもしれません。

今から半世紀以上前にベン・ホーガンが唱えた「コックをほどかないスイングは曲がらずに飛距離を生む」について考えていきたいと思います。

ゴルフの秘術とは「コックをほどかない」スイング

まずはコックについて確認します。

コックとは手首の角度、もしくは親指と腕の角度といってもいいかもしれません。

ゴルフクラブを構えたときは当たり前ですが「ノーコック」です。
そのまま両腕を伸ばしたまま、前方に上げてシャフトを立てます。
この状態で左手親指は真上を指していて、親指と腕は90度の角度を作っています。
この手首にできる角度がコックです。

一般的にセットアップしたときにはノーコックで、テークバックを開始すると、徐々にコックは形成され、トップの位置でコックは作られることになります。
そしてダウンスイングでは、ボールをとらえる前にコックはほどけています。
仮にコックをほどかないでダウンスイングすると、ヘッドはボールの上を通過して空振りすることになります。

ではなぜコックを作ったり、ほどいたりするのでしょう。

半世紀以上前に「史上最強のゴルファー」と言われたベン・ホーガンのゴルフ理論にその原点があります。
彼のゴルフ理論は非常にシンプルなもので、現在もレッスン書やDVDなどで形を変えて紹介されています。

彼のスイングの特徴は、ずば抜けた飛距離と曲がらないボールといわれる「秘術」でした。
その秘術については、生涯明かすことはありませんでしたが、著書『モダンゴルフ』からその秘密を探ることができたのです。

それが「コックをほどかない」スイングというわけです。

コックをほどかないスイングはゴルフの常識?

そもそもコックはほどくものです。
前述しましたが、手首を90度の角度に保つコックをほどかないでスイングすれば、空振りしてしまうはずです。
でもベン・ホーガンはその間違いをモダンゴルフの中の練習法によって示しています。

時計の針に例えると、3時から9時までのハーフスイングをします。
3時のときコックを作り、そこからスイングして9時で止めます。
あとはこのスイングを素早く繰り返すと、コックをほどかないでスイングしていることに気が付くはずです。

この状態でインパクトできるようになれば、フォロースルーからフィニッシュまで形を崩さずにスイングを完結することができます。

このようなスイング方法は特殊ではなく、今では多くプロゴルファーが実践している打ち方となっています。

コックをほどかなくてもゴルフスイングはできる

では実際にコックをほどかないで打つとどうなるのでしょう。

ダウンスイングのとき、インパクトまでに手首が甲側に返る可能性が高くなります。
手首が甲側に返ると、ヘッドのトゥ(先端)側が先行してボールに当たるため、フックやチーピンになる恐れがあります。
一方で、成功すれば強いダウンスイングを意識しなくても飛距離を生むことになります。
スイングプレーンの最下部でコックをほどかない場面を想定します。
身体の右側にあるシャフトを身体の正面に回すこと、インパクトゾーンでヘッドは加速されたことになり、身体の捻転を反動とするスイングを必要とせずに、飛距離を生むことができます。
つまりコックをほどいてダウンブローのように打ち込むスイングではなく、宮里藍選手のようなクリーンショットをすれば、コックを意識することなく綺麗にボールを飛ばすことはできることになります。

確かに理論的にはゆったりしたスイングで飛距離を得て、しかも曲がらずに飛ばすことはできますが、実際に自分のゴルフがその域まで達するには、かなりの練習量が必要となるでしょう。

コックをほどかないゴルフスイングの練習法

ちなみに「ノーコック打法は曲がらない」という神話のようなものがありますが、実際にはコックを作らずにトップの位置を形成するのは至難の業です。

ノーコックのテークバックは、トップがアウトサイドになる恐れがあり、スイングプレーンはアウトサイドイン、つまりカット打ちでスライスになる危険性が高まります。
ましてダウンスイングで強いインパクトを与えようとするなら、グリップエンドを意識して先行させると身体の負担もなくシャープなスイングが可能になるはずです。

このようなことは半世紀以上前とはいえ、ゴルフ界NO.1といわれたベン・ホーガンが知らないわけはありません。

彼は、連続したハーフスイングの練習でコックをほどかないでスイングしても可能であることを伝えました。
だけどそのコツは別の練習法で習得するよう紹介しています。

練習の時にはクロスハンド、つまり左手を先側に右手をグリップエンド側に握るように勧めました。
クロスハンドでスイングすると、コックをほどくことが遅れ、しかもリストを使わずにスイングできることになり、完成されたスイングを作ることができると遺しています。

コックをほどかないゴルフスイングの実践法とは

実際にコックをほどかないでショットする場合には、アドレスのときにハンドダウンで構えると分かりやすいと思います。

ハンドダウンとは通常よりもグリップエンドを下げて構えて、最初にコックを作ってしまう状態です。
テークバックでは、始動する前にヘッドを身体の側面に平行になるように回し、フェースを飛球線に平行な状態にします。

そのまま身体を捻転しながらグリップを上げてトップの位置に持っていくと、コックの形は1度も変わらずにダウンスイングを開始することができます。

ダウンスイングでは右ももの付け根に手首が下りてきたとき、グリップエンドを身体に向けます。
それまでフェースは飛球線に平行な状態でしたが、ここで飛球線に対して直角(スクエア)になります。
そのままインパクトしてフォロースルーからフィニッシュと、コックをほどかないでスイングを完了させます。

年齢や性別、もしくはゴルフの技量や体力などで不利な状況であっても、こうしてコックをほどかないスイングを習得すれば強い味方になってくれるはずです。

先人が築いたゴルフの知恵を有効活用したい

スイング練習の時に「頭を動かさない!」と言われることがあると思います。
実はこの話もベン・ホーガンのコメントから生まれたものです。

過去のスイングスタイルと侮ることなかれ、彼の理論は今も生き続け、プロゴルファーが持つPGA教本の中身は、まさに「モダンゴルフ」からの抜粋と言ってもいいものです。

先人の知恵から学ぶべきものは吸収しておきたいものです。