ゴルフ正しい知識を生かすルール、アンプレアブルについて

最終更新日:2017/07/30

2017年の全英オープン、優勝したジョーダンスピースが13番ホールで頭を抱える程右に曲げたショットが深いブッシュに入り次打が打てずアンプレアブルし、そのホールをボギーでしのいで、その後猛烈なプレーで優勝しました。

この様に、ゴルフのルールでは次打が打てない場合、1打を払って救済措置を受ける事ができます。

結果から見ると、この時のジョーダンスピースの判断は正しかったと言えるのですが、とかくアマチュアゴルファーは無理をして更に傷口を広げてしまいがちです。

では、ゴルフルールの1つであるアンプレアブルについて見ていきましょう。

ゴルフではアンプレアブルする事に勇気が必要

ゴルフのルールとして認められているアンプレアブルですが、明らかに無理なライ、例えば木の上や全英オープンの様な深いブッシュの中に自分のボールが明らかに止まったと判断できる場合は、アンプレアブルを宣言して1打罰を加えて他の場所から打ち直す事ができます。

しかし、このアンプレアブルを宣言するのは勇気が入ります。
なぜなら、明らかに自分のボールがそこに見えているのに1打を払う必要があるからです。

ゴルファーの心理として、1打でも少なく上がりたいというインセンティブが常に働く為、1打を払うには勇気がいるのです。

皆さんも経験があるのではないでしょうか。
アンプレアブルしてライの良い所から打った方が、結果良いスコアで上がれたのに、無理をして大けが、なんてこと1度や2度経験があるはずです。
こうした事を防ぐ為に、ゴルフのルールを活用する手があるのですが、現実はなかなかですよね。

しかし、考えてみると面白いものです。
グリーン上の1mのパッティングを外す事も1打、アンプレアブルを宣言して打ち直す事も1打、同じなのです。

1mのパッティングを外す事、アマチュアゴルファーならしょっちゅうですよね。
しかし、グリーンまでのコース内(これをスルーザグリーンと言います。但しハザードは除きます)での1打を払う勇気が気持ち的に大きすぎる為に、勇気が必要なのでしょうね。

ゴルフのルールはアンプレアブルに限らず多くの事を覚えなければならない

ゴルフをプレーしようとすれば、実に多くのルールを守らなければなりません。

ゴルフルールには公正の理念という概念があります。
すなわち、そのプレーは皆に公正に正しく行われるかという前提条件がゴルファーに課せられています。

この公正の理念に反したプレーは、ルール違反となります。
アンプレアブルもプレーできない物を無理にさせる事なく、救済しましょうという考え方ですが、しかし公正の理念として1打罰を付加するという事になります。

この様にゴルフには多くのルールが定められており、アマチュアゴルファーが全てを覚える事は不可能に近い為、自分がラウンドする時に知っておきたい、押さえておきたい基本的なルールだけでもしっかり覚えておく必要があります。

一番多い例が、カート道路や排水溝などの動かせない障害物にボールが止まった時の救済措置ですよね。

ボールをドロップできるのですが、救済処理が間違っていればペナルティになります。
そうです、公正の理念に反しているからです。
皆が間違った救済措置を取るはずがないですからね。

その他、バンカーなどのハザード内からショットする時にソールしてはならない、ハザード内の障害物を取り除けない、グリーン上の自分や同伴競技者の援助になる様な位置にあるスパイクマークなどは直せないなどは押さえておきたいルールです。

アンプレアブルを宣言した後の処置のルールについて

ゴルフルールとしてアンプレアブルを宣言した後、次打を打つ方法については、
・最後に打った所に戻って再度打つ
・ボールのあった所からホールに近づかず2クラブレングス内にドロップする
・ホールとボールとを結んだ線上後方にドロップする
となります。
是非とも覚えておきたいルールです。

どの救済措置を選ぶかは、ボールの置かれた状況から判断する必要があります。
公正の理念に則り、自分に有利な条件でショットできる方法を選べば良いのです。

例えば、一般的に最後に打った所に戻るのは、ホールに近づけない為、不利になりがちです。
この方法を取る理由はあまり無いかもしれません。

次にホールに近づかず2クラブレングス内にドロップする方法ですが、場合によっては不利になるケースがあります。
それは、飛球線上にハザードがある場合です。
グリーン手前の深いバンカーを越していかなければならない場合などが該当しますね。

最後に線上後方にドロップする方法ですが、後方の距離に制限が無い為、打ちやすい得意な番手で打てる様な所まで下がると良いですね。
ただし、ホールには近づけない為、その分打つ番手が大きくなってしまうというデメリットもあります。

状況に応じて自分に有利な方法で救済措置を受けましょう。

ゴルフではラウンド中アンプレアブルすると集中力が下がりやすい

ゴルファーなら誰もが経験があると思いますが、ゴルフは上手くいかなくなって集中力が途切れると、即スコアに影響しますよね。
順調にきていたのに、1打の失敗から大崩れなんて事も珍しくありません。
特に次打が打てない状況の所に打ち込んでしまい、ルール上アンプレアブルを宣言しなくてはならなくなった場合、そこで集中力が切れてしまう事もあります。

正直、全体のスコアからするとたった1打なのですが、この1打の罰が10打くらいに影響を及ぼす様な事にもなったりします。
もちろん、プロは1打の勝負ですので、1打をたったとは言いませんが、プライベートでゴルフをするアマチュアゴルファーに対しての感覚です。

ここで、アンプレアブルを宣言せざるを得ない状況に打ってしまったのだから、仕方ないと気持ちを切り替えられるかどうかが重要です。

ゴルフはメンタルがスコアに影響を及ぼす為、気持ちのコントロールというのは本当に重要です。
アンプレアブルに限らず、3パットやその他の失敗でも同じことが言えます。
と言う事は、気持ちのコントロールができる人はゴルフが上手いと言えるのではないでしょうか。

ゴルフのラウンド、ルールに則りアンプレアブルをする事はそうない

ゴルフのルール上認められているアンプレアブルですが、実際のラウンドで使う事はそうないのではないでしょうか。
恐らく、10ラウンドに1回あるかないか位ですよね。
どちらかと言うと、アンプレアブルよりもOBやウォーターハザードに入れてしまった事による罰の方が多いと思います。

普段、プライベートでラウンドする時というのは、ゴルフ場側もプレーの進行を早める為に、OBなら前方特設ティ、いわゆるプレーイング4、ウォーターハザードなら前方指定場所から第3打などのローカルルールが設定されている事がほとんどです。

しかしこうしたルールというのは、あくまでもそのゴルフ場だけのローカルルールであるという事を理解しておく必要があります。

通常は、最後に打った場所からの打ち直しになります。
ティーグラウンドならティーアップして打ち直しです。
しかし、ルール通りに運用すると、何回もミスショットしてプレーの進行が遅れる為各ゴルフ場はローカルルールを定めているのです。

本来はゴルフルールを守らないとペナルティが課されるので、滅多に使わないアンプレアブルだと思いますが、宣言後の処理についてはきっちり押さえておいた方が良さそうです。

ギリギリの選択、アンプレアブルが結果的に成功したメジャーの試合

2017年の全英オープンを制したジョーダンスピースは、13番でティーショットを右に大きく外しました。
ギャラリーがいる深いブッシュの中にボールが入ってしまい、どうするのかと全世界でテレビの前のゴルフファンは見ていたに違いありません。

ここで、ジョーダンスピースはアンプレアブルを宣言します。
ルール上決まった方法で次打を何処から打つのか、大会運営委員に確認を行いホールとボールのあった位置を結んだ後方線上にドロップしましたよね。
しかも、ドロップ位置は練習場です。
下げてライの良い所で打つ為に練習場を選んだと思われるのですが、メジャーの優勝がかかった場面での冷静な判断はさすがです。

結果的にこのパー4をボギーとして、次ホールからの猛チャージにつながるのですが、アンプレアブルを宣言し、ボールをドロップする位置まで、この場面では完全に成功したと言えるシーンでした。

ゴルフは時に神様のいたずらがあると言われていますが、今回の全英オープンは神のいたずら、いや神の力が働いたのかも知れませんね。

ゴルフルールの1つアンプレアブルについて知っておこう

あまり使うシーンはないかもしれませんが、アンプレアブルのルールについては知っておいたほうがよさそうです。

次打が打てないライにボールが行ってしまうという事はよくある事で、その時にアンプレアブルについての知識と次打を打つ方法を知っておけば、必ず役に立ちます。

同伴プレーヤーからもルールを知っている事で、変な指摘を受ける事もないでしょうし、また、正確にルールを知っている事はゴルファーの常識とも言えます。

多岐にわたるゴルフルールの中でも、アンプレアブルについては優先的に知っておいた方が良いですよ。